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【J2:第22節 岐阜 vs 栃木】レポート:決着はついたが、両チームに警鐘を鳴らした一戦。(11.07.24)

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7月23日(土) 2011 J2リーグ戦 第22節
岐阜 0 - 1 栃木 (18:04/長良川/3,218人)
得点者:63' リカルドロボ(栃木)
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立ち上がりは両チームとも非常にゆっくりした試合展開であった。試合前、栃木のMF水沼宏太が、「この試合は負けられない試合。順位は上の方にいるけど、ここ数試合は勝ち切れていないし、悪い流れにならないためにもどうしても勝ちたい」と語っていたように、栃木にとっては絶対に勝ちたい試合だったため、慎重に入りすぎていた。
それに対し、岐阜は思い切りの良さが足りなかった。相手が慎重になるということは、岐阜にとっては勢いを作り出せるチャンス。最下位で2連敗と岐阜にとっても勝ちたい試合なのは間違いないが、栃木の置かれている状況とは違って、思い切ってリスク覚悟で仕掛けられる状況だった。20分を過ぎると、岐阜のリズムが生まれ始めたが、それでもバイタルエリアでの仕掛けが少なく、DFに引っかかり、なかなか決定的なチャンスを作ることが出来ない。
こうなってくると怖いのが岐阜の悪癖が出てくること。岐阜の悪癖はDFライン全員がボールウォッチャーになって、簡単にボールに食いついて、簡単に裏を突破されることにある。21分にはFWリカルド ロボに簡単に裏に抜け出され、決定的なピンチを迎えるが、これは復帰2戦目のGK野田恭平のファインセーブに阻まれた。ただ、前半はこの1本のみで、両チームともに決め手のないまま、前半をスコアレスで折り返した。

この0-0という状況は、どちらにとって優位なシチュエーションだったのか。答えは栃木だった。
「崔 根植がいなくなったことで、オートマチックにできていたことが、滞った。廣瀬浩二と崔ではタイプ違うし、廣瀬が背後に飛び出して、相手のクリアを拾って2次攻撃というリズムを作ってほしかったのですが、足元足元になってしまい、全体の意思統一がとれなかったことで、流れがスムーズではなかった。それが停滞の要因でした」と松田浩監督が語ったように、前半、栃木はエラーが生じていた。前述したように、一見慎重に見えた立ち上がりは、実は栃木にとって、思惑通りではなく、予想外の苦しい展開だったのだ。
しかし、岐阜は「相手の出方が分からない状態だったので、前半は相手を見極めて、後半ホームの利を生かして、得点を取って勝点3を取りたいと思った」と木村孝洋監督が語ったように、慎重に出過ぎてしまったことで、相手のエラーを突くチャンスを逸してしまった。

結果としてスコアレスで迎えた後半に、相手に修正を施されてしまった。「何かを変えてもらいたいと思って、切り札で使った。停滞しているムードを変えてもらいたいと思った」(松田監督)と、60分、廣瀬に代えて、FWサビアを投入。サビアがロボの周辺を動き回ったことで、徐々に岐阜のDFラインも縦横に揺さぶられだし、徐々にほころびが生じてくる。

すると63分、ついに恐れていたことが起こる。ロングパスを水沼がヘッドですらすと、これを受けたMFパウリーニョがそのまま右サイドをドリブル突破。追走する押谷祐樹。ペナルティーエリア内に切れ込んでいくパウリーニョに対し、押谷はあまりにも不利な体勢だった。しかし、岐阜のDF陣は中央のケアを気にしすぎるあまり、肝心のパウリーニョに対するカバーに誰ひとりとしていかなかった。この状況が迎えた結末は、押谷が後ろからパウリーニョを倒してPK。ちょっと厳しい判定であったのは事実だが、こうなることが容易に予想出来る、岐阜の守備のミスといえるPKであった。
このPKをロボにきっちりと決められ、岐阜がまたしても自らのミスで失点を喫してしまった。今の岐阜に、この1点を返すだけの力はなかった。勢いづいた栃木に、これまでまったくと言っていいほど作らせていなかったチャンスを作られるようになる。GK野田恭平のファインセーブなどで、追加点は奪われなかったが、0-1のままタイムアップ。

「今日は悪くなかった。むしろやりたいことは出来ていたし、相手もミスをしていた。でも、勝てなかった。悔しい」。
試合後、DF菅和範は唇をかんだが、もっと前半の段階で相手のエラーに気づいていれば、エラーにつけ込むような判断がチーム全体で出来ていれば…。正直、岐阜にとっては勝てる試合だった。
せっかく相手が見せてくれた付け入る隙。ここを突けない限り、勝ちきることは難しい。この0-1の敗戦は、『惜しかった』という言葉で片付けてはいけないし、よりリアルなチーム状況を映し出していると考えないといけない。希望的観測は大事だが、それではチームは良化しないことは、京都戦以降で経験しているはずなのだから。
一方の栃木も、この内容は修正を施していかなければならない。ここまで大きな隙を見せてしまうと、修正する前に勝負が決まってしまいかねない。この1勝は、一つの警鐘であると受け取ったほうがいいだろう。
両チームに警鐘を鳴らしたこの一戦。この警鐘を教訓として生かしていくのはどちらのチームか。岐阜担当者として、岐阜がそうしてくれることを心から願いたい。

■この試合のCOOL BALLER:野田恭平(岐阜)

以上

2011.07.24 Reported by 安藤隆人
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