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【J2:第22節 横浜FC vs 北九州】レポート:カイオの退場がもたらした難しい状況。攻め続ける姿勢を見せた北九州が、アディショナルタイムに劇的な勝点3をもぎ取る。(11.07.25)

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7月24日(日) 2011 J2リーグ戦 第22節
横浜FC 1 - 2 北九州 (18:03/ニッパ球/8,828人)
得点者:38' 森村昂太(北九州)、42' 西田剛(横浜FC)、90'+1 池元友樹(北九州)
スカパー!再放送 Ch182 7/25(月)後00:00〜
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本来であれば、90分を通して中盤での激しい攻防が期待できた試合。しかし、ある大きなアクシデントが、試合の様相を大きく変えてしまう。そのアクシデントとは、18分に起きたカイオの退場劇だった。

試合の立ち上がりにペースを掴んだのは横浜FC。今週の練習では、北九州独特のボールの運び方に対するプレスの掛け方について、かなり綿密に調整を行っていた。その成果を発揮し、1分、4分と立て続けにシュートを放ち、その他にもゴールのにおいをさせていたのは、横浜FCだった。しかし、18分、宮本亨に倒されたカイオが報復行為(記録では乱暴な行為)で、一発警告を受けてしまう。「ゲームプランが正反対になった。(2人での)前線での相手のパスコースの限定が大事なのに、それが出来なくなった」(西田剛)というように、せっかくの攻勢に水を差す退場で、試合のベースは一気に北九州に有利な状況となった。当然、1人多い北九州が押し込み、横浜FCが守りながらカウンターを狙うという展開となる。そして北九州が1人多い状況を徐々に生かし始め、38分に池元友樹がドリブルを仕掛けた後のこぼれ球を森村昂太が左足で押し込み先制する。

一方の横浜FCも粘りを見せる。三浦泰年監督が「カードをもらっているにもかかわらず軽率なファールをして相手にリズムを与えてしまう」と悔やんだように、カイオへのファールでカードをもらった宮本のところで競り合いを挑んだ三浦知良の老獪なプレーでFKを得ると、そのFKの続きで得たCKから、42分に西田がヘディングで押し込み同点に追いついた。押し込まれていた横浜FCにとっては勇気を与える同点ゴールでハーフタイムに入った。
岸野靖之監督が「守備の際にブロックをしっかり作ろう」と指示を出す一方、三浦泰年監督が「簡単にボールを失わないこと。相手は少ない。確実につないで展開しよう」と指示を送るように。後半は、たとえラインが低くなってもブロックを固めて少ないカウンターのチャンスを狙う横浜FCに対して、北九州は1人多い状況を生かしてブロックをこじ開けようとする構図となる。しかし、前半終了間際の同点ゴールに力を得た横浜FCが、高い集中で北九州に決定的な仕事をさせない時間が続く。むしろ、「アクシデントが起きた時に、どう対応できるのか」(三浦泰年監督)という点で、1人多い状況を生かし切れない北九州が攻めあぐねる展開となった。

横浜FCが不利な状況ながら勝点1をもぎ取る展開となると思われたアディショナルタイムの90+1分に、ついに北九州のプッシュが実を結ぶ。森村からの浮き球のパスを途中出場の林祐征が納めると、最後は池元が右足で押し込み勝ち越し。横浜FCに同点に追いつく力は残っておらず。試合は、好調さを最後に見せつける形で北九州が劇的な勝利を得た。

横浜FCにとっては、自らの力を出し切れない、今季の不振を象徴するようなゲームとなった。綿密な練習の成果として思い通りの立ち上がりを見せるが、それを自ら手放すような自滅といってよい退場劇。今季、1人少ない状況で逆転勝ちをした試合もあるが、自ら1人少ない状況を招きながら勝利を重ねられるほど、サッカーは甘くない。11人だったら、という仮定を考えるのではなく、目の前の1試合1試合に丁寧に取り組むという最低限のスタンスをチームとしてキープできるか、その点を改めて問われる試合となった。この試合で再び19位に転落。上位進出も見えにくくなる状況の中で、まずは1試合1試合、確実に実力を出し切るための取り組みが必要と言える。

一方の北九州は、得意の終盤での得点で勝点3をもぎ取り、成長過程にあると指揮官が述べるチームのさらなる成長に繋がる試合と言える。後半の流れは、決して1人多い状況を生かし切っていたとは言えなかった。それは、ショートカウンターを中心にしてきたこれまでとは別のサッカーへの対応力を問われたと言って良い。この試合では、その点は今後の大きな課題となったが、アウェイであきらめない姿勢を見せ続け、それが実ることを経験しただけに、新たな成長への糧となったことは間違いない。

予想外の退場で、本来のサッカーの醍醐味とは別の見所が大きくなったこの試合。その対応で明暗が分かれた形となったが、次回の対戦では、期待していた通りの、より魅力のある攻防となることを期待したい。

■この試合のCOOL BALLER:池元友樹(北九州)

以上

2011.07.25 Reported by 松尾真一郎
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