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【J2:第22節 鳥栖 vs 京都】レポート:誰もが望んだ先制点。少ないチャンスを生かして鳥栖が5試合ぶりに勝利。京都は攻めの形は作るも、ゴールまであと一歩及ばず。(11.07.25)

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7月24日(日) 2011 J2リーグ戦 第22節
鳥栖 2 - 1 京都 (19:03/ベアスタ/4,825人)
得点者:18' オウンゴ−ル(鳥栖)、67' 豊田陽平(鳥栖)、72' ドゥトラ(京都)
スカパー!再放送 Ch185 7/26(火)前07:00〜
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試合終了のホイッスルと同時に、幾人もの選手がピッチ上に伏した。
互いに労をねぎらう姿よりも、その姿の方が多かったことは、この試合がどれだけハードなものだったかを物語っている。死力を尽くした90分間の疲労のせいだろうか、微動さえ見せずにただひたすら時間の経過だけを求める選手たちの姿がピッチ上に多く存在した。

放ったシュートは、鳥栖の6本に対し京都は13本と圧倒した。特に前半のシュート数は鳥栖の1本に対して今日とは6本と数値上は京都に得点の予感を感じる内容だった。しかし、先制点は鳥栖に入った。
18分、左サイドラインギリギリでMF金民友が京都選手を切り返しでかわして、そのまま京都陣内奥深くと入っていった。京都のDFは3人で、奥深く入ることで優位な状況になりやすいところを突いた素晴らしい状況判断であった。金民友のクロスは、遠目のポジションから走りこんできたFW豊田陽平と金民友のドリブルに合わせてラインを下げたDFの間に入った。
「先に触ったのは事実。あれでコースが変わったし、結果的に先制点につながっている」と豊田陽平が振り返ったシーンは、京都のオウンゴールとなり、待望の先制点が鳥栖に入った。
この金民友の個人技と豊田陽平のゴールへの執念が結果になって表れたゴールであったが、ゲームの流れを完全に引き寄せるまでには至らなかった。
「先制点を挙げた時の鳥栖は強い」(7月21日早坂良太練習後コメント)はずだが、この日の京都の攻撃は途絶えることはなかった。
鳥栖の追加点は、67分に左サイドをゴールライン近くまで攻め上がったDF磯崎敬太の左足のクロスから生まれた。中央でボール受けたMF岡本知剛のパスを左サイド奥深くへと運び、グラインダーのクロスを入れて演出したものだった。しかし、得点差を広げたものの京都にとどめを刺すまでには至らず、京都の攻撃は緩むことはなかった。

アンカーに入ったMFチョン ウヨンが攻撃の最終ラインとなり、その前をMFの内藤洋平と安藤淳が縦横無尽に動いてパスコースを作り続けた。FWドゥドラは前線でタメを作り、中山博貴はその近くで楔のパスを出し続けた。ショートパスをダイレクトでつなぎ、鳥栖の守備陣を翻弄し続けていた。そして、機を見てのミドルシュートは、鳥栖の出足を封じ込めるのには有効だった。前半に6本、後半の7本のシュートは、どれをとっても京都の攻撃力を見せつけるものであったが、京都の得点は72分のセットプレーからのこぼれ球をドゥドラが押し込んだ1点のみであった。
長短のパスで鳥栖を崩し、「ゴールの直前までは良かったが、ゴールだけが足りなかった」(チョン ウヨン/京都)ことが、今節の京都をすべて語りつくせる内容だった。

少ないチャンスを生かし確実にゴールにつなげた鳥栖と、多くのチャンスを作りながらもゴールが遠かった京都。試合終了のホイッスルと同時に、幾人もの選手がピッチ上に伏した理由は、死力を尽くした90分間の疲労のせいだけではなかったようだ。

ゴールの影に隠れてしまいがちだが、特筆しておかねばならない選手が2人いる。少しだけだが紹介しておきたい。
それは鳥栖のMF岡本知剛と京都のMFチョン ウヨンである。
岡本知剛は、カバーリングで危険の芽を摘み攻撃のスイッチを入れる役目を最後まで行い続けた。
チョン ウヨンは、攻撃の下支えをアンカーの位置から行い続け厚みを増し続けた。
“カバーリングと素早い攻守の切り替え”と“中盤からの攻撃参加”、どちらもボランチに求められる要素である。
FWのシュートやGKのセービングほどの華はないものの、彼らの90分間のプレーはチームの好守を支えていることがわかるものである。ボールの先にあるスペースやボールの軌道の起点に彼らの姿を見つけることができるだろう。
彼らに注目してこの試合を見直すとサッカーの面白さとゴールまでの過程の複雑さが見えてくるに違いない。

「やっていることは悪くないが、結果につながらない」
今節を迎えるまでの鳥栖の選手から聞こえてきた言葉である。

「ピンチも少なかったし、チャンスも多くあったけど結果が出なかった」
今節を終えた京都の選手が試合後に語った言葉である。

サッカーは、シュート数やパスの成功率で結果が出るスポーツではない。単純に相手のゴールの中にボールをどれだけ入れたのか、自分たちのゴールにどれだけ入れられたのかで決まるスポーツである。
「なかなか得点が入らないから・・・」というのは、サッカーより野球を好んで観戦する人たちの理由のトップであるらしい。
しかし、サッカーをこよなく愛する我々は、「なかなか入らない得点に至るまでの過程に面白さがある」ことを知っているのである。
サッカーの魅力は、感受性が強い人ほど多く感じることができるのかもしれない。

■この試合のCOOL BALLER:豊田陽平(鳥栖)

以上

2011.07.25 Reported by サカクラゲン
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