8月13日(土) 2011 J2リーグ戦 第24節
熊本 2 - 1 大分 (19:05/熊本/8,935人)
得点者:52' 三平和司(大分)、79' 長沢駿(熊本)、90'+3 市村篤司(熊本)
スカパー!再放送 Ch181 8/16(火)前05:00〜
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やっと大分に勝った。
79分の長沢駿の同点ゴール、そして90プラス3分の市村篤司の決勝ゴール、いずれも決して綺麗な得点ではないし、またこの日狙いとしていた形からではなかった。結果として得た勝点は、他のゲームでの勝利と同じ3にすぎない。だがこの日の3ポイントはとてつもなく大きい。6試合勝ちなしという苦しい時期を抜け出す、実に45日ぶりとなる貴重な勝利は、今季のバトル・オブ・九州における初勝利であり、また今シーズン初めての逆転勝ち。さらにクラブ発足時から身近な目標としてその背中を追い続けてきた大分から、遂にもぎ取った初めての勝点3ということを加味すれば、熊本にとってはある意味でターニングポイントとなる、大きな価値のある1勝である。
とにかく勝因は、「最後まで諦めなかったこと」(高木琢也監督)に尽きる。前線でのスピードとその動きを期待されてFWとして先発出場した大迫希をはじめ、長沢やファビオ、左右の吉井孝輔と西森正明など、熊本は立ち上がりから激しくプレッシャーをかけ、大分に組み立てさせなかった。前半はそうしたプレーから、また高木監督も足りないと指摘していた粘り強いディフェンスからボールを奪い、攻撃においては前を追い越す、あるいはボールを引き出すための斜めのランニングも頻繁に見られ、確かにロングボールが多い中でも大分の3バックの脇、そしてウイングの裏を突くという、この試合で狙いとする形を継続する。高木監督が「点は取れなかったが、これまでとは違うゲーム」とハーフタイムコメントで述べているように、最近の数試合と比較しても、戦う姿勢を強く感じ取れる内容だった。
だが前節と同じく、後半立ち上がりから前に勢いをかけてきた大分にセットプレーから先制を許してしまう。52分、直前のプレーでビッグチャンスを南雄太に阻まれていた三平和司がマークについていた市村に競り勝ち、宮沢正史からの右コーナーキックを頭で合わせて熊本ゴールに突き刺したのである。
「先制されて少し落ち込んだ」と話すのは、加入後2試合目となるホームでのデビュー戦でキャプテンマークを巻いた菅沼駿哉だ。しかし「自分が来たことで流れが変わったと感じてもらいたい」と話していた21歳のセンターバックは、「落ち込んだままでは変われない」と最終ラインからチームを鼓舞。しかし「サイドバックの裏を狙おう」との指示を受けて後半に臨んだ大分も、西弘則のドリブルでの仕掛けや前田俊介のキープなどでアクセントをつけつつ、後半だけで9本ものコーナーキックを得ていることからも分かる通り、主に右サイドからチャンスを量産する。
対する熊本は、ファビオに代わってトップに入ったソン イニョンが前線のターゲットとなるが、前半から飛ばした影響もあってか運動量が落ちてうまく前線で起点を作れず、押し戻せない展開が続いた。それでも71分に片山奨典を投入したことで前への推進力を取り戻すと、79分、右の市村からのクサビを大迫がワンタッチで流し、これを受けた長沢がファーポストギリギリに流し込んだ。その後熊本は吉井を下げて武富孝介をピッチへ送り、勝ち越し点を奪いに出る。一方の大分も81分、前田から三平、井上裕大と右から左へと大きく展開し、最後はチェ ジョンハンがドリブルからシュートを放つがゴールにはならず。逆に、熊本のホームの後押しと選手たちの勝利への渇望感が、最後の最後で勝ち越し点をもたらした。
アディショナルタイムに入った90+3分、西森からの大きなクロスを受けた武富がシュート。いったんはGK清水圭介に阻まれたが、ゴール前の混戦を市村が押し込んで勝ち越し。逆転ゴールに湧くスタンドの歓声が冷めぬうちに吹かれたホイッスルを合図に見えた熊本の選手たちの喜びようは、今までのホームゲームでの勝ちともどこか違っていて、苦しい時期を共に乗り越えたことで生まれた一体感を感じさせるものだった。
この場面を見て思い出されたのは、シーズン当初、キャプテンに就任した南に話を聞いた際、どんなチームにしたいかという問いに対して「アジアカップで優勝した日本代表のような、一体感のあるチームにしたい」と答えてくれたこと。もちろん攻守両面で課題はある。当然、この1勝を意味のあるものにするには、次が大事になることも確か。だが3引き分けからの3連敗という苦しい時期を経て原点に立ち返ったからこそ、単に連敗を止めて7試合ぶりに勝ったという以上に、チームとして一段ステップを上がった実感がありはしないか。
高木監督は言う。「勝てなかった時にコミュニケーションを取ったことや、自分の気持ちや周りの空気、そして勝った時のこの喜びを忘れないでやっていけば、きっとまた勝ち続けることもできると思う」。
次節、好調の徳島を迎えるまで1週間。過去の戦績は芳しいものではないが、この日の感覚を胸に刻んで臨めば、必ずや道は拓ける。なぜなら、ピッチでプレーする彼ら自身がそれを証明したのだから。
以上
2011.08.14 Reported by 井芹貴志















