9月17日(土) 2011 J1リーグ戦 第26節
広島 3 - 1 磐田 (19:04/広島ビ/11,894人)
得点者:3' 李忠成(広島)、20' 佐藤寿人(広島)、25' 前田遼一(磐田)、57' 李忠成(広島)
スカパー!再放送 Ch183 9/18(日)後02:00〜
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この試合のポイントは、どこに存在するか。試合前、各監督は知恵を振り絞って考え抜くのが常だ。
もちろんスポーツは、戦略どおりにはいかない。将棋であれば、金は常に金だし、飛車はいつも飛車である。だが生身の人間は、常に100%の実力を発揮できるとは限らない。だがそれでも、指揮官たちは考えに考える。組織スポーツであるサッカーにおいて、知性と戦略が勝敗に大きく影響することを、熟知しているからだ。
この試合で広島・ペトロヴィッチ監督がはじき出した答えは、「サイドで勝負する」。サイドは磐田のストロングポイントだが、そこであえて勝負を仕掛けたい。ポイントは、広島のスピードスター=ミキッチの存在である。
磐田の左サイドバック・那須大亮は、堅実かつアグレッシブな守備が持ち味。だが、決してスピードがあるタイプではない。その那須にミキッチがスピード勝負を仕掛ければ、局面を打開できるのではないか。発想の原点は、そこにある。
だが、磐田はサイドに二人の人員を配置するフォーメイション。那須の前にいる山田大記は技術も高い。数的不利な状態では、ミキッチの攻撃力も半減されてしまう。何とか1対1で、しかも高い位置で勝負させたい。
J1復帰以降の対磐田戦で、広島の攻撃がガッチリとはまった例はほとんどない。その要因は、磐田の組織的な全員守備が広島を封じていたこと。広島は攻撃時、一人のボランチが最終ラインに下りてストッパーが開く形(数字でいえば4−1−5)になる。その時、磐田の下がり目のFWが広島の1ボランチに、両サイドのMFがストッパーに圧力をかけ、パスの出どころを潰してしまって、ミキッチの出足を封じる。
そこでペトロヴィッチ監督は、戦術の微調整を試みた。最終ラインにボランチがおりず、ストッパーも開かない。そうなると磐田のFWがボランチにつくことができないから両サイドのMFが中に絞ってボランチを見る形になり、結果的にストッパーがフリーになる機会が増える。パスの供給源を得たミキッチは、高い位置で那須に勝負を仕掛けることができるのだ。
一方の磐田・柳下監督は、広島の1トップ2シャドーにマンマークを試みた。ボランチのロドリゴ・ソウトも含めたセンターの3人が広島の得点源である前線をしっかりとマークし、もう一人のボランチ(小林裕紀)がセカンドボールを拾って速攻。だがその思惑は、試合開始早々に崩れた。
3分、広島がポゼッション。いつもと違ってボランチが二人いる状況に、磐田の守備陣は戸惑いを隠せない。左MFの山田も絞ってボールを持った青山をマークにいくも、その距離感がつかみづらい。次の瞬間、ピンポイントのパスが切り札に供給される。ミキッチだ。スピードで那須を振り切り、クロス。ニアに佐藤寿人が飛び込み、ファーの高萩へ。彼のマーカーであるロドリゴ・ソウトがクリアするも、そこにはフリーになった李忠成が待っていた。クロスへ対応せざるをえなくなった古賀正紘のマークをかわした李は、得意のボレーでしっかりと流し込む。先制だ。
さらに広島は、ミキッチに仕掛けさせる。キープ力に優れたストッパー・森崎和幸が磐田の選手たちを引きつけ、ミキッチの動き出しに合わせて正確なパスを供給。那須とのスピード勝負に勝利したミキッチの背中を那須が思わず押してしまった。PKだ。佐藤寿人が川口能活との駆け引き合戦に勝利し、見事にゲット。差を2点に広げた。狙い通りだ。
その5分後、ワンツーで右サイドを崩され、前田遼一にまたもゴールを許す広島。だが前節と違い、ここで広島は崩れない。しっかりと我慢し、自らのやるべきことを遂行してチャンスを待つ。57分、森崎浩司の正確なボールを二人のマーカーの間隙をついた李がヘッドで叩き込んだ。大きな勝ち越しだ。
磐田は駒野友一のサイドを軸に、反撃を試みる。だが山岸智・水本裕貴の厳しい守備が突破を許さない。クロスに対しても「集中が高かった」と柳下監督が嘆くように決定機はほとんど許さなかった。83分、速いリスタートから菅沼実、そして荒田智之が決定機をつかむも、GK西川周作の積極性とゴールポストが跳ね返して得点できず。試合前に降っていた大粒の雨があがった空に向かい、広島の選手とサポーターの歓喜がわき上がった中、サックスブルーの戦士たちは悔しさを噛み締めた。静岡ダービーに勝利した勢いに乗り切れない。今季連勝が一度しかないチーム状況を象徴する試合となった。
もちろん、戦術的な要素も広島の勝因。だが、そのベースには、前節の屈辱にまみれた選手たちの強い気持ちがベースとなった集中力。それを、ネガティブな状況になった時も全員で継続できるかどうか。広島の成長は、ここから試される。
以上
2011.09.18 Reported by 中野和也















