10月22日(土) 2011 J2リーグ戦 第32節
鳥取 1 - 0 札幌 (17:03/とりスタ/3,108人)
得点者:78' ハメド(鳥取)
スカパー!再放送 Ch184 10/23(日)深01:00〜
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試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、とりぎんバードスタジアムは久しぶりの歓喜に沸いた。4‐0で完勝した6月19日の湘南戦以降、リーグ戦でのホームゲームで4分5敗と未勝利だった鳥取が、J1昇格争いに加わっている札幌を1‐0で下し、実に4カ月ぶりとなる勝利を収めた。
開始19秒で札幌の砂川誠がシュートを放ち、連敗脱出への強い意欲を感じさせて始まった一戦は、序盤に試合の流れを左右するシーンがあった。8分、鳥取がCKからのサインプレーでゴールを脅かした直後、ロングカウンターから札幌の内村圭宏がフリーで抜け出す。しかし、1対1からのシュートはGK小針清允にブロックされ、先制のチャンスを逃した。
プレビューで記した通り、札幌は3日前の京都戦で、立ち上がりに多くの決定機を作ったが決めることができず、逆に数少ないピンチで失点して、終わってみれば0‐4の大敗を喫している。鳥取は同じ3日前の岡山戦で、序盤に守備が乱れ、最初の17分間に2失点して1‐2で敗れた。内村のゴールが決まっていれば、双方の心理状態にも大きく影響を与えていただろうが、ここから試合の流れは鳥取に傾いていく。
札幌は、前節の出場停止から復帰したジオゴが、徹底マークに遭って前線でボールを収めることができず、ロングパス主体の攻めが機能しなくなっていった。それでも鳥取のミスなどから何度かチャンスを作ったが、35分に河合竜二のパスから砂川が抜け出しかけたシーンでは、フリーだった砂川がボールコントロールをミスしてシュートを打てず。43分には、またも内村がフリーで抜け出したが、シュートは右へ。砂川は「前半の立ち上がりは良い入り方ができたけど、そこで点を取り切れなかったことが試合を難しくしてしまった」と振り返った。
前節と同じ展開になってしまった札幌とは対照的に、鳥取は前節の反省を生かしてリズムをつかんだ。岡山戦はショートパスをつなぐことに固執し過ぎて、相手の厳しいプレッシャーをかいくぐれず、ミスからのボールロストを繰り返したが、この日は、相手が高い位置からボールを追ってきた時間帯は、効果的にスペースへのロングパスを活用した。さらに前々節の大分戦は、プレッシャーが厳しくないときでも横パスやバックパスで逃げることが多く、局面を打開できなかったが、その点も改善できたことで、主導権を握ったときはショートパスをつないで攻め込む。松田岳夫監督も「ゲームの入りは非常に良かった。意図した通りにゲームをコントロールできた」と振り返った。
しかし、最終局面の1つ前のパスが乱れたり、ペナルティーエリア内まで入り込んでのシュートを打つことができないため、こちらも得点できない。28分にはハメドがゴール正面約25メートルから左足で強烈なシュートを放ったが、惜しくも右ポストに当たって決まらず、結局前半は両チーム無得点で終わった。
ハーフタイムが終わると同時に雨が降り始めた後半、ハーフタイムに石崎信弘監督が「サイドチェンジを意識しよう」と指示を送った札幌は、サイドを幅広く使った攻めでゴールを目指すものの、良い形でフィニッシュに持ち込むことができない。66分にはジオゴに代えて岡本賢明を投入し、ジオゴを1トップに置いた4‐2‐3‐1から、内村と近藤祐介を前線に並べた4‐4‐2にシフトしたが、押し込まれる展開は変わらなかった。一方の鳥取も、ショートパスに加えてサイドを大きく変えるなどの攻めを繰り出すものの、72分にはハメドのパスから、美尾敦がフリーになりかけたところでトラップが流れてしまうなど、大事なところでミスが出てしまう。
しかし、ますます雨が激しくなってきた78分、鳥取が先制点を奪う。尾崎瑛一郎のFKがゴール前ではね返され、カウンターからピンチになりかけたが、近藤から内村へのパスを、尾崎がインターセプトして、小井手翔太へ。小井手のグラウンダーのクロスは雨に濡れたピッチで加速し、ゴール前を通過するかと思われたが、ファーサイドに飛び込んだハメドが、うまく左足でミートして枠内に飛ばし、ネットを揺らした。
ここから札幌は、古田寛幸と上原慎也を投入し、ロングパスを前線に送り込むパワープレーを仕掛けた。しかし、ゴール前の混戦から宮澤裕樹が左足で狙ったシュートは、GK小針の好セーブに遭う。88分の宮澤のヘッドも小針の正面を突くなど、鳥取の粘りに屈し、最後まで1点を奪うことができなかった。
これで札幌は今季初の3連敗。最終的にはやはり、前半の決定機を生かせなかったことが響いた。ここまでは徳島と千葉の失速に助けられて3位を維持していたが、23日の結果次第では4位以下に後退する可能性もある。次節は、その徳島との大一番。試合間隔が1日長く、コンディショニングでは優位に立てるはずだが、石崎監督が「まずは精神的なところ、気持ちの切り替えのところをやっていかなければいけない」と語った通り、重要なのはメンタル面だろう。砂川は「チームとして試されている時期。下を向いていても仕方ないので、上を向いてやっていきたい」と語った。昇格争いの重圧をはねのけられるかどうか、チームの真価が問われている。
鳥取にとっては、久しぶりのホームでの勝利という結果はもちろん、内容を伴った勝利であることが大きい。過去のホームゲームを振り返っても、攻勢の時間帯に得点できず、逆に先制されて、最後まで1点を奪えずに0‐1で敗れたのが、8月の横浜FC戦や、9月の東京V戦。同様の展開で、失点こそしなかったものの、やはり最後まで1点を奪えずに0‐0で引き分けたのが、4月の富山戦や、前々節の大分戦だった。だがこの日は、得点できなくてもリズムを崩さずに攻め続けて1点を奪い、ピンチでも粘り強く守って完封。「じっくり勝てた、というか。向こうもミスが多かったし、攻撃が単調だったことに助けられたところもあったけど、今まではそこで先制されていたところを、踏ん張れたのは良かった」と服部が振り返ったように、これまでにJ2で挙げた7勝とは、質の違う勝利だった。
松田監督も「こういうゲームを物にできたのは非常に大きいと思いますし、良い形で次のゲームにつなげていきたい」と語った。前々節まで公式戦3試合連続の無失点、2勝1分けと調子を上げていたところで、前節は岡山との『陰陽ダービー』に敗戦。再び失速しかねない状況だっただけに、勢いを取り戻す意味でも、非常に価値のある勝利となった。
以上
2011.10.23 Reported by 石倉利英
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