11月3日(木) 2011 J1リーグ戦 第31節
柏 4 - 0 新潟 (14:03/柏/10,623人)
得点者:8' レアンドロドミンゲス(柏)、34' レアンドロドミンゲス(柏)、55' ジョルジワグネル(柏)、90'+1 田中順也(柏)
スカパー!再放送 Ch183 11/4(金)深02:00〜
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柏が序盤からペースを掌握した理由は大きく分けて2つある。まずは先制点に至る展開と時間帯。新潟DF千葉和彦がクリアボールの対処にもたつく間に、柏FW工藤壮人が素早く寄せ、ボールと千葉との間へ強引に体をねじ込む。見応えある両者のぶつかり合いの後、工藤のパワフルな突進に対し千葉の仕掛けたタックルがファウルを呼ぶ。レアンドロ ドミンゲスがPKをゴール左下へ沈め、8分に柏が先制した。
「スカウティングの情報でも3ボランチで来るという予想をしていた」(ネルシーニョ監督)ため、柏は新潟の出方をある程度想定し、綿密なプランを練り上げることができていたと思われる。これが、柏がペースを握ったもうひとつの理由だ。新潟には「小林(慶行)が真ん中でバランスを取りながら本間(勲)と菊地(直哉)で中に入ってきた相手の外国籍選手を見る」(黒崎久志監督)という狙いがあったのだが、実際には大谷秀和と菊地、茨田陽生と本間というボランチ同士のマッチアップが出来上がり、新潟が最も警戒していたレアンドロ ドミンゲスとジョルジ ワグネルに、アンカーである小林の周囲と両サイドにスペースを与えてしまう格好となった。
新潟は決して試合の入り方が悪かったわけではなかったが、柏の先制パンチに腰が引け、さらに「4−3−3のシステムの攻撃面の特徴を出す前に守備の弱点を突かれて流れを奪われてしまった」(本間)。田中亜土夢、チョ ヨンチョルは、サイドのスペースを埋めるために引かざるを得ず、また、攻撃時には柏の2トップ、北嶋秀朗か工藤が小林をケアしてきたため、中盤からのパスの出どころがなくなり、結局は後方から前線を目掛けたロングボールに頼らざるを得ない状況へ陥る。サポートを受けられないブルーノ ロペスは孤立した。
新潟のロングボールを近藤直也と増嶋竜也が弾き返せば、大谷か茨田がセカンドボールを処理し、柏が2次攻撃を仕掛ける。追加点はそれを象徴する場面となった。34分、近藤がヘディングでクリアしたボールを大谷がジョルジ ワグネルへつなぎ、そこから縦パスを入れて工藤とパスを交換する。この瞬間、工藤が降りたことで生じた前線のスペースへ走り込んだのはレアンドロ ドミンゲスである。柏の誇るブラジリアン・デュオの感性がシンクロし、ジョルジ ワグネルの浮き球スルーパスを懐に入れながらレアンドロ ドミンゲスはターンをした後、GKの位置を見定めてフワリと浮かした柔らかいシュートでゴールネットを揺らした。
後半開始と同時に新潟は2選手を代え、4−4−2へ戻した。従来のシステムを敷いたことで新潟がボールを保持する時間帯が増し、前半より改善の兆しが見られた感はあった。ただ、これは言い換えれば2点をリードして無理をする必要のない柏が、新潟が前に出てくるようにおびき出し、隙を突いてトドメの3点目を狙うといったゲーム運びへと移行したゆえのものであり、それは黒崎監督が「どっちにしろ一緒みたいな感じになってしまった」と認めるように、柏が攻撃のギアを入れた時のマーキングは前半同様に掴み切れておらず、55分にはスルスルとゴール前へ上がったジョルジ ワグネルが橋本和の左クロスからヘディングシュートを決め、柏が目論見通りに勝敗を決する3点目を挙げた。
局面では酒井宏樹とのサイドでのマッチアップを凌駕したチョ ヨンチョルのスピード感溢れるドリブル突破はさすがに圧巻の一言であった。柏守備陣のミスから生まれたチャンスもあれば、56分にはチョ ヨンチョルのシュートがポストを直撃する非常に惜しい場面もあった。しかしながら、全体的に見て単発感は否めず、もちろんミシェウの不在が大きく響いたのだろうが、3連勝中の新潟に見られた攻撃の迫力をほとんど感じられずに精彩を欠いた。首位との対戦に続き、次節は2位のG大阪が相手となる。この敗戦で得た教訓をどう生かすのか。目前まで迫った残留を決定付ける鍵はそこにあるだろうか。
柏は交代出場の田中順也が後半アディショナルタイムに約1ヶ月半ぶりのゴールを挙げて4−0。戦術的にも新潟を上回り、さらにはブラジリアン・デュオの大活躍もあって内容に違わぬスコアで快勝を収め、首位を堅持した。同時にこの勝利で来季のAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得、一昨年の広島、昨年のC大阪に続く『J2経由ACL行き』の切符を手にした。だが、目の前の一戦を全力で戦うというスタンスを崩さない柏の選手たちの視野には、当然のごとく来年のアジアのステージはまだ入っていない。初優勝へ向け、彼らの視線は残りのリーグ3試合だけに向けられている。
以上
2011.11.04 Reported by 鈴木潤













