11月3日（木） 2011 J1リーグ戦 第31節
仙台 0 - 0 広島　（17:03／ユアスタ／17,215人）
スカパー！再放送 Ch184 11/4（金）深02:00〜
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ハーフタイムの両チーム監督のコメントは、「焦らずに攻撃をすることができている」（仙台・手倉森誠監督）、「引き続き慌てずに我慢をしよう！」（広島・ペトロヴィッチ監督）というものだった。ともに、スコアレスに終わった前半から大きくやり方を変えるよりも、「焦らず」「慌てず」という心理的な落ち着きの下、自らの持ち味を継続して発揮していくことを選んだ。

両チームが持ち味を出した前半は、アウェイチームの広島が優勢だった。立ちあがりこそ一進一退を予感させるようなボールの奪い合いが中盤で見られたものの、「前半の中盤くらいからボールを握られるようになってしまった」（手倉森監督）。ボールをつなぐ力に優れる広島が仙台陣内に攻めこむ時間が、増えていった。しかし仙台もこの試合を前に対策を練ってきた守備が機能し、朴柱成と菅井直樹が両サイドで相手のスピードを落としたり、出場停止の曹秉局に代わって出場した渡辺広大を中心に広島の1トップ2シャドーの出入りを食い止めたりしてゴールを許さない。

仙台の守備、広島の攻撃という、互いに磨き続けてきた持ち味が発揮された前半の流れを続け、双方ともその流れの中からチャンスをねらい続けよう。後半を前に、両指揮官はそのようなメッセージをチームに送っていた。しかし後半途中から、流れが変わる。仙台が52分に太田吉彰を投入すると、この快足ドリブラーが右サイドを中心にチャンスメーク。太田に引っ張られるように、徐々に仙台もボール支配率を上げてきた。しかし広島は広島で、最初は仙台のスピードアップに手こずることはあっても、守備陣が食らいついてゴールを許さなかった。ボランチの森崎浩司や青山敏弘がコンパクトな中盤を維持しようと奮戦し、最終ラインの森崎和幸や水本裕貴はツボを押さえたプレッシャーで、ゴール前でボールを刈り取る。何よりGK西川周作が、相手GK林卓人同様の好セーブでゴールに鍵をかけ続けていた。

終わってみればシュート数もスコアも同じ、0-0という結果が残った。「広島相手に無失点という結果だけを見れば良かったが、ホームゲームも残り少ない中で、サポーターに勝つ姿を見せられず悔しい」と渡辺も振り返るように、双方とも順位を上げられない結果にとどまったことを選手達は悔やんでいた。

しかしそれぞれのチームには、今シーズンのわずかに残された試合で果たすことが、まだ残っている。「まだ4位の横浜FMは一試合でひっくり返せる位置にいる」（関口訓充）。「最低でも賞金圏内（＝7位）に入りたい」（森崎和）。それぞれの目標達成に可能性を持たせる内容を、両者はこの日の試合で見せてくれた。

広島のペトロヴィッチ監督は、試合後の会見で質疑応答を終えると、自ら切り出してメッセージを送った。「今日のゲームで、我々はどうしてもいいゲームをしたかった。被災地の方々が試合中の2時間だけでも楽しんでいただけたら幸いです」。この言葉通りの試合をピッチ上で展開してくれた両チームには、残り少ない今シーズンの試合でも好ゲームを演じ続けることが期待される。

以上

2011.11.04 Reported by 板垣晴朗