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【J1:第32節 山形 vs 福岡】レポート:5得点のゴールショーで福岡が山形を圧倒!ついに今季初めて最下位脱出を果たす。(11.11.20)

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11月19日(土) 2011 J1リーグ戦 第32節
山形 0 - 5 福岡 (17:04/NDスタ/5,053人)
得点者:2' 鈴木惇(福岡)、11' 松浦拓弥(福岡)、36' 高橋泰(福岡)、88' 牛之濱拓(福岡)、90'+2 牛之濱拓(福岡)
スカパー!再放送 Ch184 11/20(日)後11:00〜
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右タッチライン際でボールを受けた成岡翔がヘッドアップするタイミングで、ボランチの鈴木惇がスルスルとランニングを始めた。すでに山形のどの選手の視界からも外れていた。クロスは逆サイドから飛び込んだ松浦拓弥へ。ここは宮本卓也が体を寄せてシュートを阻んだが、こぼれたボールに鈴木がジャストのタイミングで飛び込んだ。勝点2差の17位・山形と18位・福岡の対戦は、開始2分、福岡の狙いどおりの先制ゴールで幕を開けた。

ともに来シーズンのJ2降格が決まり、週中の天皇杯でも敗退が決まっている。リーグ戦に集中せざるを得ない状況で、ともに高いモチベーションをもって臨んでいた。「今までの一番下の順位から抜け出すというところのモチベーションを今日は選手たちに言って送り出した」(浅野哲也監督)のは福岡。開幕戦で新潟に0-3で敗れ、9連敗を喫しては、順位浮上は容易なことではなかったが、この直接対決でついにチャンスがめぐってきた。迎え撃つことになった山形も、リーグ戦では6試合勝利なし。最近の3試合ではすべて無得点の3連敗を喫していた。そして天皇杯での敗退。「天皇杯のミスを今日修正して、選手、スタッフもそうですけど、認めてもらいたいというのがすごくあって、そういうのを押し出したゲームにはした」(小林伸二監督)と中2日と短い期間でも準備をしてきた。福岡の先制点が、その緊迫したバランスを打ち砕いた。

先制ゴールのシーンで、顔面にスパイクを受けた松浦が治療でしばらく離れ、一人少ない福岡が攻め込まれるシーンが続いた。8分に松浦が戻った直後にも、右サイドをえぐられマイナスクロスが2本入れられたが、この危機を脱した11分、鈴木のくさびが高橋泰を経由し、3人目で飛び出していた松浦が前を向くと、さらにそこから3人をかわし、GK清水健太との1対1も制して追加点を挙げた。天皇杯3回戦・京都戦で、山形は9分までに2点を先制したもののバランスを保てずに逆転を許しているが、この日の福岡はボールを支配していることもあり、リードを巧みに利用していた。山形が取りに来なければバックラインでキープし、前から来たらボランチにうまく預ける。

自陣で確実につなげない山形は常に福岡の高い位置からのプレッシャーに晒され、コントロールミスは相手に拾われる。ボランチが押し込まれ、両サイドハーフも外に開いているために、縦に蹴ってもまずは2トップだけで押し上げを待たなければならず、パスがつながるケースは限られた。秋葉勝のパスミスから与えた岡本英也の決定機は清水が防いだが、36分、末吉隼也とのワンツーで抜け出した高橋にミドルシュートを打ち込まれた。左サイドバックの小林亮が高橋のファーストタッチに詰めるがかわされ、末吉にはセンターバックの石井秀典が競りにいくが間に合わず、ポッカリとスペースが空いた左サイドを使われるという、拙すぎる対応が生んだスーパーなゴールだった。

後半、3点を追うことになった山形は懸命の攻撃を仕掛ける。小林のスルーパスに宮沢克行が走り込み、山崎雅人がクロスを放ったり、秋葉の奥行きへのクロスにセットプレー後に残っていた西河翔吾がボレーシュート。77分には秋葉のクロスに途中出場の太田徹郎が逆サイドから飛び込んだが、シュートはバーに阻まれる。山形は前半以上に運動量を増やし、前を取るプレーも増やしたが、3点のリードを背景に落ち着いて対処する福岡の守備を崩せず、その焦りから、山崎が強引にシュートに持ち込もうと個人のプレーに走り、かえってチャンスの芽を潰すシーンもあった。

そして、試合はまだ終わっていなかった。途中出場の重松健太郎が激しいチェイスで相手のミスを誘いボールを奪うと、右サイドのスペースにフリーで飛び込んだ牛之濱拓がパスを受ける。山形DFにコースを塞がれたが、咄嗟にボールを浮かせるという、落ち着き払ったプレーでプロ初ゴール。さらにアディショナルタイムでも、小原章吾からの長いフリーキックで裏に飛び出した牛之濱が見事なコントロールでボールを置き、相手のディフェンダーの位置も把握しながら体を入れて右足を振り、連続得点。福岡のゴールショーを締めくくった。

積極的な試合運び、得点後の守備での集中など、福岡は課題をしっかりとクリアし、勝点3を得るにふさわしいパフォーマンスを発揮し、念願の順位も上げた。しかし試合後、浅野監督は選手たちに「たとえいい結果が出たとしても、そこで絶対に満足するな。絶対に次の試合は、もっともっと厳しい戦いになる」「出来に満足せず、トレーニングでもそうなんですけど、常に今日の自分を超える、今日のチームを超えるようなパフォーマンスが必要だ」と伝え、引き締めることを忘れなかった。次節、ホーム最終戦は残留争いの渦中にある浦和を迎える。「明確な目標は浦和みたいにはないけども、勝点3めざして、もう1回チームとしてまとまるのが大事だと思います」(鈴木)。気持ちはもう、次節へ切り替わっている。

歯車が噛み合ない山形は、ついに最下位に転落。失点を重ねるごとに余裕を失っていった。「自分たちがボールを運ぶのを、ボールと自分だけの関係っていうんですかね。一生懸命でボールが運べないような状態だったなと思います」(小林監督)、「みんなやる気とか気持ちを持ってやってると思うけど、それをつなぎ合わせていかないと、個々で、その場その場で、みんな一人ずつが頑張っているのが今の悪いときの状態だと思う」(宮沢)と、チームとして戦うことと、ここ数試合の内容の修正へのトライはまたも実を結ばなかった。残り2試合で現状が劇的に改善される可能性はきわめて低い。幸いなのは、悔しさの燃料タンクが満たされていること。真面目に続けられるトライを、多くの人が見つめている。

以上

2011.11.20 Reported by 佐藤円
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