11月26日(土) 2011 J2リーグ戦 第37節
湘南 0 - 2 札幌 (14:03/平塚/7,828人)
得点者:61' 古田寛幸(札幌)、83' 宮澤裕樹(札幌)
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61分、敵の攻撃を凌いだあとのことだった。内村圭宏がドリブルで仕掛け、砂川誠がフォローする。砂川からのパスを途中出場の近藤祐介が中央で受け、体を張ってキープする。落としたところへ走り込んだのは、左サイドへポジションを移していた古田寛幸だ。「祐介さんがやさしいパスを出してくれた。うまく決めることができてよかった」と、殊勲の二十歳曰く。迷いのない弾道がゴールを対角に射抜き、札幌が先制に成功する。
後半に入り、流れは徐々に札幌へと傾いていた。札幌・石崎信弘監督は言う。
「相手の攻撃の際にアジエルがかなり自由になっていた。どう抑えていくかというところでシステムを3−5−2に変更した。また前に人数が足りなかったので、攻撃のポジションに3枚置きたかった。アジエルのところをうまく消すことができ、うちのリズムになったのではないかと思う」
実際、前半は湘南がペースを握っていた。アジエルが数多くボールに触り、ときにスルーパスを狙って攻撃のリズムを喚起した。ホームで魅せる最後の一戦をまえに、背番号10はポルトガル語を引きつつこんなふうに語ったものだ。
「楽しいサッカーを見せたい、サッカーができる喜び、“アレグリア”を伝えたい、それが僕のベースにある。僕は幸せを感じてベルマーレに加入した。だから、あのときとおなじ幸せ、アレグリアを噛みしめながら、ベルマーレを去りたい」
いままでどおりチームに貢献できるよう全力を尽くす、そう語っていたアジエルを中心に、坂本紘司や臼井幸平、永木亮太らが積極的にかかわり、追い越していく。たとえば永木は、「アジエルがいいパスを出してくれるのでゴールに直結する動きをしたい」と、戦前から話していた。また臼井が幾度も上下動し、右サイドを活性化した。前半だけで3本を記録した彼のシュート数に、ホーム最終戦に対する思いと攻撃をやりきる意志が浮かび上がる。
湘南は、しかし惜しいシーンをつくってもゴールネットを揺らすことはできなかった。こと前半においては、ときにペナルティエリアを8人が守る札幌の粘りがまさった。そして昇格の懸かる彼らは、重心を前に傾け先取点を挙げたのちも辛抱強いディフェンスを続け、再び得点機を迎える。中盤で奪うと、近藤が持ち込み敵を引きつけ、フリーでラストパスを受けた宮澤裕樹がねじ込んだ。83分、勝負を決定づけるのに十分な札幌の追加点だった。
堅守と決定力という特徴を発揮した勝利によって、札幌はホームで迎える最終節に昇格の希望を繋いだ。「舞台は整った」という砂川の言葉に、すべてが凝縮されていよう。札幌ドームを歓喜で満たすべく、彼らは最終戦に臨む。
かたや湘南は連敗ストップならず、今季ワーストとなる6連敗を刻んだ。反町康治監督の退任とアジエルの契約満了が伝えられたなかで、ホーム最終戦を勝利で飾ることは叶わなかった。「全員で崩す、動きのあるチームをつくってきた。結果はまったく逆に行っているが、いろんなかたちで得点チャンスをつくれるようになってきた」最終節を睨み、指揮官は言った。3年前をふと思う。新たに就任した指揮官はモーションとエモーションをキーワードに掲げ、そして選手たちはいきいきと躍動してきた。根底に貫いたその湘南らしさを発揮すべきリーグ戦は、あと1試合しか残されていない。「それをお見せして、最後の仕事、38試合目の指揮をしっかり執りたい」。反町監督のもと、培った原点がある。
以上
2011.11.27 Reported by 隈元大吾
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