11月27日（日） 2011 J2リーグ戦 第37節
愛媛 1 - 2 草津　（13:04／ニンスタ／3,963人）
得点者：14' 杉本裕之（草津）、86' リンコン（草津）、90'+4 石井謙伍（愛媛）
スカパー！再放送 Ch184 11/28（月）後05:00〜
☆totoリーグ第４ターン開催中！
★J2シーズン表彰　投票受付中!!
----------
愛媛にとっては悔しさが残るホーム最終戦。今節の草津戦でも、8月6日の富山戦以来となるホームでの勝利をつかむことはできなかった。ゲームの内容でも、バルバリッチ監督が「負けるべくして負けた試合」と振り返った通り、らしさを発揮することなく90分が終わってしまった。一方で草津は「ゲームの終わらせ方がもったいなかった」と副島博志監督はアディショナルタイムの失点を指摘したが、それ以外の点に関してはシーズンを通じて積み上げてきたものを存分に発揮。組織としての完成度の高さを見せつけ、愛媛はそれを崩し切ることができなかった。

ここで試合をキックオフから見てみると、自分たちの形を出していたのは開始直後から草津の方だった。キックオフをして間もない時間には、サイドを変えて右から古林将太がクロスを入れると、リンコンが頭で落とし後藤涼が飛び込んだ。これはＪデビューとなったＧＫ兼田亜季重が冷静に対応して愛媛が事なきを得たが、その後も草津は右サイドを中心に突破を図った。そして、前半14分に先制点を奪ったのも右サイドから。古林のクロスにファーサイドから飛び込んだ杉本裕之が押し込み、あっさりと愛媛のゴールをこじ開けた。この場面でも、草津は左サイドから逆サイドへと大きく展開。さらにゴールへの勢いを失うことなく、もう一度ファーサイドを使ったことで杉本は完全に愛媛のマークを振り切った。

サイドを変えて揺さぶり、ラインの裏を突くボールを入れるという点で草津は狙いもはっきりしていた。「芝が引っ掛かるところがあったので、攻撃では割り切って裏にボールを入れるところがあった」と振り返ったのは御厨貴文。その最終ラインから、あるいはボランチの熊林親吾らがスペースを狙ってボールを入れることで草津は次々と愛媛のゴールに迫っていった。逆に愛媛は「相手がシンプルにくるところで、自分たちはつなごうと思ったけど足元へのボールが多くなってしまった」と赤井秀一は振り返ったように、深めの芝にパススピードも上がらず、さらにクサビも相手に狙われて前線で起点もできず、攻撃の形を作れなかった。

守備に関しても、草津は意図を持ってゲームを進めていた。後半、やや草津はブロックを低い位置に移したように見えたが「必ずしもラインを高くするというよりも、前と後ろのラインをコンパクトにすることを意識していた」と御厨が語ったように、それも狙い通りの形。ゲームの流れに応じて時間を進め、愛媛にリズムを渡すことなくきっちりと勝点3を奪うあたりは負け知らずで愛媛に乗り込んできた草津の強さを感じた部分でもあった。これで、草津は今季の勝ち越しが決定。さらに、次のホーム最終戦（12／3＠正田スタ）では北関東ダービーで7位の栃木を超えることが可能なポジションにつけるという最高の状況を手に入れた。

その草津とは対照的にシーズンの最後まで上昇ムードを作れず、試合ごとに、そして90分の試合の中でも大きな波があった愛媛。「中盤と最終ラインに安定さや安全さに欠けた」とバルバリッチ監督はシーズンを振り返ったが、失点数は昨季の34から今期は52失点と大きく増えたこともその不安定さを示す数字だろう。リーグ終盤、ゴールを奪えても勝ち切れなかった要素でもある。課題はそれだけではないが、まずは失点を減らすために何をしなければならないか、そこをさらに突き詰めていかなければ残りの公式戦でも勝利を奪うことは難しい。それでも、まだ鳥取戦（12／3＠とりスタ）と天皇杯の4回戦・浦和戦（12／17＠熊谷陸）で意地を見せるチャンスは残されている。そこで、今節の悔しさを晴らすことができるか。まだまだ、愛媛のシーズンは終われない。

以上


2011.11.28 Reported by 近藤義博