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【J2日記】町田:3月30日に登録されて即ベンチ入り。アルゼンチンで「仕事人」に化けた加藤恒平選手(12.04.05)

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FC町田ゼルビアのアルディレス監督は、元アルゼンチン代表の名選手だ。荒川友康コーチもアルゼンチンで8年間のサッカー修行を積んだ経歴を持つ。そんな町田に、アルゼンチン帰りの加藤恒平選手が加わった。3月30日に選手登録を済ませ、4月1日の東京ヴェルディ戦では早くもベンチ入りを果たしている。

「小さい頃からずっと海外でやりたいと思っていた」と言う加藤選手は2010年、立命館大学3年生の夏休みにアルゼンチンへ渡った。2カ月ほど滞在したが、ケガによりクラブ加入のためのテストを受けられず帰国、2011年7月に再びアルゼンチンへ飛ぶ。
当時の加藤選手は、立命館大学産業社会学部の4年生。用意周到な彼は、留学に備えて3年までに全ての単位を取り終えていた。「将来的にはスペインでやりたい」と言う彼だが、受け入れ環境がよく、同じスペイン語圏ということでアルゼンチンを選んだ。「ヨーロッパへの輸出国なので、いろいろなスカウトが見ている」という計算もあった。彼が現地で生活していたのは「セファール」という施設。クラブとの契約を持っていない選手が集まり、生活し、チームを作って対外試合を積むアルゼンチン特有の「浪人寮」である。

いざ現地に足を踏み入れると計算違いもあった。日本で勉強をしていたスペイン語も、最初は聞き取りができなかったという。「テレビや新聞を見て、わからない単語があったらすぐノートに書く」という努力で言葉を覚え、少しずつ現地に馴染んでいった。アルゼンチンのテレビでは昔の試合がよく放送されているそうで、その中で彼の目を引きつけたのは90年代にアルゼンチン代表の中盤を支えたシメオネとレドンド。アルゼンチン留学を契機にボランチを始めた彼にとっては、絶好のお手本だった。

加藤選手は当地に今年2月中旬まで7カ月ほど滞在し、プロ契約を目指した。「サカチスパス」というクラブの監督からは高評価を受けたとのことだが、試合出場に必要なビザが下りず、帰国することになる。そんな彼に助け舟を出したのは、千葉U−18時代の加藤選手を知る唐井直GMだ。3週間の練習参加を経て能力を認められた彼は、町田との契約を果たす。
千葉U−18時代の加藤選手は、2列目でプレーする技巧派MFだった。しかし20歳を過ぎて「特に足が速いわけでもないし、クロスがうまいわけでもない。サイドハーフとして限界を感じていた」と振り返る。留学先で「お前はボランチのほうがいい」と言われたことが、彼にとって転機となった。アルゼンチンサッカーの“激しさ”はご存じの通りである。「身体の使い方や手の使い方が全く違って、学ぶところが多かった」という日々の中で、彼はボランチらしさを身につけていった。大学時代から続けていた筋力トレーニングの効果もあり、今の加藤選手は出足の鋭さ、当たりの強さを売りにする「仕事人」タイプである。町田の練習に加わってからは、最終ラインでも試されている。中央大、早稲田大とのトレーニングマッチではセンターバックとして先発を果たした。173cmと決して大柄ではない彼だが、アルディレス監督が名指しで賞賛するプレーを見せた。
加藤恒平選手プロデビューは、アルゼンチンやスペインでなく町田になりそうだ。庄司悦大、下田光平と「89年生まれ」のボランチ同士でポジションを争わねばならないこのクラブは、アルゼンチン以上にタフで、彼を鍛える環境だ。用意周到で逞しい加藤選手だから、これくらいの壁は乗り越えてくれるはずだ。

以上
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