鹿島が浦和を迎え撃つ。互いに赤を基調とするチームということや、浦和の台頭とともに数々の因縁が生まれたことで、これまでも1年の中で県立カシマサッカースタジアムが最も燃え上がる1日として注目を集めてきた。「お互いに意識しあう相手なのは間違いない」と、徐々に安定感が高まってきた守備を最終ラインから統率する岩政大樹も試合を楽しみにしていた。
いまだ、リーグ最下位にいる鹿島だが調子は上向きつつある。3月31日のJ1第4節横浜FM戦、今月4日のヤマザキナビスコカップ大宮戦と2試合続けての無失点。良い守備から良い攻撃に繋げることが調子のバロメーターであることを考えると、高い位置でボールを奪う場面は確実に増えてきた。
岩政は言う。
「最初のうちは、監督の言うサッカーがどういうものかわからず、考えながらやっていた。でも、戦う気持ちや姿勢の方が大事なんだということが、みんなわかってきた」
確かに、これまでの試合のなかでジョルジーニョ監督が最も評価したのはヤマザキナビスコカップの神戸戦。この試合を「僕が見たい鹿島アントラーズだった」と話し、「選手たちがスパイクの先までハートを込めてプレーしたということが、大きな大きな収穫」と述べている。監督が重視するものがなんなのか、物語る一件だろう。
シーズンの最初、ダイヤモンド型の[4-4-2]をジョルジーニョ監督が採用したことで、それまでのボックス型との変化に戸惑う選手たちは多かった。しかし、忠実に監督の言うことを実行しようとすればするほど、臨機応変な判断力が失われてしまう。
「どうしても言われたことにとらわれすぎてしまうところがあった」(岩政)
監督が求める姿とは逆方向に進んでいた。
しかし、時間の経過とともに選手たちも課題を消化してきた。それが、試合内容に反映され始めて来たことは、先に述べたとおりだ。今節は非常に楽しみな試合となるだろう。ただ、残念なことに先の大宮戦で、気の利いたポジショニングでチームに大きく貢献していた柴崎岳が左太ももを負傷。大事には至らなかったが、復帰まで「1〜2週間くらい」(柴崎)ということで、今節の出場は難しそうだ。
対する浦和は、阿部勇樹と槙野智章の出場停止処分が明け、ピッチに戻って来る。二人を欠いた磐田戦では、4ゴールを許してしまう悔しい結果に終わり、二人の重要度を改めて証明した。鹿島戦では攻守において、バランスをもたらしてくれるだろう。
また、磐田戦は敗れたとはいえ攻撃面では3ゴールを奪った。高橋峻希、小島秀仁といった期待の若手にゴールが生まれたことも、ペトロヴィッチ監督の下、新しい浦和をつくろうとしているチームに勢いをもたらすはずだ。
「お互いに監督が変わって、チームをつくっている最中。完成されている部分がまだ少ないなか、勝点を分けるのはほんの小さなところだと思う。シーズン序盤にセットプレーでポコッと取られていましたけど、そういう部分をつきつめて試合に入らないといけない」
岩政大樹の言葉は、両チームの選手の気持ちを代弁するものだろう。熱い戦いが期待できそうだ。
以上
2012.04.06 Reported by 田中滋
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