勝点6。共に2勝2敗の神戸と清水の対戦だが、ここまでのプロセスは対照的である。ヤマザキナビスコカップのアウェイ鹿島戦から3連敗中の神戸に対し、清水はヤマザキナビスコカップを含むとホームで3連勝中。ここ最近の対戦成績では神戸がリーグ戦3連勝中と相性の良さを見せているものの、勢いでは清水が勝っているという図式になる。
清水は4月4日のヤマザキナビスコカップで新潟を1−0で退けた。しかも、U-17ワールドカップで活躍した石毛秀樹やルーキー白崎凌兵ら若い選手が中心のフレッシュな布陣で勝利を手に入れた。試合後、アフシン ゴトビ監督が「われわれはエスパルスというものを作っていますし、エスパルスの戦い方というものを作っています。誰が出てもエスパルスのサッカーは見ていて美しいというものを作っていきたい。今日はそれを証明できたと思いますし、そのビジョンに近づけていると思います」とコメントしていることから考えても、順調にチーム作りは進んでいるように思われる。
そして攻撃に変化を付けられる小林大悟も出場時間を増やしている。小野伸二と小林を軸にした清水のパスサッカーは、さらに美しさを増し始めている。前線の大前元紀、高木俊幸、アレックスも好調をキープしており、神戸の和田昌裕監督が「前3人+小野」に警戒をしているのもうなずける。
とはいえ、神戸の敵は目の前の対戦相手よりも、むしろ自分たちの中にある。
第3節のF東京戦で試合をほぼ支配しながら0−2で敗れ、前節のアウェイ鳥栖戦は0−3と大敗。和田監督は「(ここ2試合は)失点が多いので、まずは守備を意識してやっていきたい」と言う。また、キャプテン吉田孝行が鳥栖戦を「守備でやろうとしていることがバラバラだった」と振り返れば、大久保嘉人は「攻守の切り替えや球際の厳しさとか、いい時の神戸が全く出ていなかった」とコメント。出口の見えないトンネルに片足を突っ込みかけていた。
だが、今週の火曜日。日本列島を襲った春の嵐で午後練習が中止となり、そこである話し合いが行われたと大久保は言う。議題は、これからどう戦うか。結論は“神戸らしさ”を取り戻そうである。ハードワークで前線から厳しく仕掛けるプレッシングスタイルへの回帰。これを再確認したという。
そして水曜日の午後、ムードメーカーの近藤岳登はこんなコメントを残している。
「(F東京と鳥栖戦は)チームが成長するための試練だと思っている。今は去年からの神戸をやりながら、新しい技術(選手)を噛み合わせていくしかない。清水戦では、前から潰しにいく神戸らしさを取り戻したい」
“雨降って地固まる”ではないが、つかの間の休息が神戸にとって好転のきっかけとなるか。清水の美しさ(=パスサッカー)を潰し、神戸がホームで連敗脱出を狙う。
以上
2012.04.06 Reported by 白井邦彦
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