試合を決めたのは2発のセットプレーだったが、試合内容を考えれば浦和の勝利は必然だった。「最終的には2−0で勝利するに値する内容だったと思う」とはミハイロ・ベトロヴィッチ監督。浦和は苦手としていた神戸を蹂躙し、リーグ戦2連勝を飾った。
浦和は序盤から試合の主導権を握った。この日も選手たちは「ボールがないところでの動き」を怠らず、立ち上がりから3人目の動き出しが頻繁に見られ、胸躍るような連携から神戸の守備網を切り裂いた。
今季のサッカーの生命線である後方からのビルドアップも健在だった。序盤、神戸は前からプレスを掛けに行ったが、それを浦和の3バック+ボランチ2枚のユニットが落ちついて交わして見せた。猪突猛進の闘牛をいなすマタドールのように舞った。「向こうのプレスのタイミングとこっちのパスのタイミングにズレが生じて、うまく運べていた」と永田充は振り返る。
浦和は試合を重ねるごとに進化しているところも示した。これまでは梅崎司、槙野智章など攻撃能力の高いタレントが左に偏っていることもあって、左サイドが攻撃のストロングエリアになっていた。右サイドは左に比べて大人しいことが多かったが、この日は右サイドがホットゾーンに。特に前半は中から右というパターンで平川忠亮が躍動し、次々とチャンスが生み出された。
一方、神戸はプレスが全く機能せず、逆に空いたスペースを使われて劣勢を強いられていたが、前から取りに行くのをあきらめてコンパクトな陣形を保って待ち受ける形にしてからは守備が安定した。ただ、前に出てボールを奪ってショートカウンターを仕掛ける以外に攻撃の手だてがないので、守備の安定と引き換えにチャンスを作れなくなり、試合は前半30分過ぎくらいからこう着状態となった。
浦和としては「引かれてからは僕と阿部さんが持たされる時間が増えて、スムーズにビルドアップはできなくなった」と永田が話したように、神戸の対応が変わったことで攻めにくくはなったが、同時に相手カウンターの脅威も減少したので危険な流れになることはなかった。「なかなか点を取れなかったが、焦れずに続けていこうと話していた」と梅崎が明かしたように、ボールを落ち着いて回していればチャンスは必ず来るという考え方で確実に神戸を追い込んでいった。
均衡が破れたのは53分。柏木陽介が左CKを蹴ると、槙野の飛び込みに神戸DFの2、3人がつられ、背後に流れたボールを阿部勇樹がトラップから素早く流し込んだ。神戸はCKに対してゾーンディフェンスで対処していたが、この得点シーンの数分前にも槙野は助走をつけてゾーンの間に入り、決定的なヘッドを放っていた。阿部の得点には、相手DFに強烈なイメージを刷り込んでいた槙野の隠れたアシストがあった。
浦和はこの得点で勢いに乗り、次々と決定機を作り出して神戸を圧倒。そして77分にはマルシオ・リシャルデスがFKを直接叩き込みリードを拡大したが、ここでも神戸の選手を揺さぶるプレーがあった。ボールをセットした際に左利きの柏木、右のマルシオ、そしてパワーシューターの槙野の3人が立ち、相手に的を絞らせない工夫を施していた。結果的には「あれは1人でも決まっていたと思う。スーパーコースに行っていた」と柏木が感嘆したように、マルシオのキックはGKにとってノーチャンスのコースに飛んで行ったが、ゴールの確率を少しでも上げるための工夫を怠らなかったことは評価に値する。
この2点で試合の趨勢は決した。終盤になっても運動量を惜しまずに攻撃を仕掛ける浦和に対し、神戸はカウンターにも持ち込めずに防戦一方。神戸は試合終了間際にセンターバックのイ グァンソンを前線に上げてパワープレーに持ち込もうとしたが、それもうまくいかなかった。
浦和は試合を重ねるごとに進化しており、明確な方向性を持って前に進んでいる。「我々はまだ改善しないといけない点があるが、6節でポイントを重ねられたことは素晴らしい。これからも1センチ1センチ前進していかないといけないが、この6節で進むべき方向性は示せたと思う」と指揮官も手応えをつかんでいる。
対する神戸はフィジカルの強さを生かしたプレー、ハードワークなど昨季見られた長所は出ていたが、攻撃のバリエーションが少ないのが気になるところだ。大久保嘉人が「ダイレクトに縦に当てて、それで終わるからみんなが動かないし、連動がない」と話したように、わかりやすい攻撃の形しか出せていないので相手に読まれやすく、ショートカウンターを発動できないと攻め手がなくなってしまう。この敗戦で4連敗となり、4試合連続ノーゴールと苦しい状況が続いているが、なんとか浮上のきっかけをつかみたいところだ。
以上
2012.04.15 Reported by 神谷正明













