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【J1:第6節 鳥栖 vs 広島】レポート:放ったシュートは倍以上の13本、無念の敗戦となった広島。守備の意識を全員で共有した鳥栖が守りきる(12.04.15)

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地団太を踏んだ一戦とは、この試合のことを言うのではないだろうか。敗れた広島の森保一監督は、「何も変えるところない」と広島の戦い方を振り返った。GK西川周作(広島)も、「試合そのものは悪くはなかった」と評価した。確かにスタッツを見ると、広島のシュート13本に対して、鳥栖のシュートは半分以下の5本。しかもその5本全てが、前半に放ったもので、特に後半は広島が攻め続けた内容だった。
しかし、試合の過程において優位さがあったにせよ、敗れたのは広島で勝ったのは鳥栖だった。この試合を観戦した人たちは、この試合をどう評価するだろう。広島が決めきれなかったのか、鳥栖が守り抜いたのか…。試合を振り返りながら、検証してみたい。

キックオフを得た広島は、開始早々右サイドのMFミキッチの突破力を使って鳥栖陣内に攻め込んだ。鳥栖は、4分にFW豊田陽平、6分には左サイドでボールを奪ったMF金民友から右サイドMF水沼宏太へ送りシュートで反撃した。広島は、DFからのロングボールを起点に、19分にMF高萩洋次郎からMF大崎淳矢につなぎ、ラストはFW佐藤寿人がシュートを放った。24分にも左サイドを抜け出した佐藤寿人がシュートを放つ。この直後の25分、鳥栖も自陣ゴール前からMF藤田直之、MF水沼宏太、FWトジンとつないで、ラストは水沼宏太が右足でシュートを放つ。
攻守の切り替えが早い一進一退の攻防の後、31分に広島はFKのこぼれ球をサイドDFファン ソッコが右足シュート。しかしゴール右へ逸れた。
39分、鳥栖GK赤星拓からのロングフィードを豊田陽平が競ってFKを得る。このFKは一度は広島DFにクリアされるも、金民友が拾い、前線に残っていたセンターバック・キム クナンに預け、最後は走り込んだ水沼宏太が約20mを豪快に蹴り込んで先制点。

前半のシュートは、鳥栖の5本に対して広島の6本と数字の上では互角の戦いといえる。文字に起こすと、互いに攻め、互いに守ったように感じるかもしれない。しかし、内容を思い返すと、広島はセンターバック・千葉和彦からのロングフィードを生かし、鳥栖の高いDFラインの裏を狙う作戦を多用した。
ここがこの試合の大きなポイントであった。広島がDF裏を狙うロングフィードを多用したのか、鳥栖がそうさせたのか。立場によって意見がわかれるところだろう。広島サイドから見れば、あれだけのスピードとテクニックを持った選手たちを前線に揃えれば、選択した戦術は間違いなかったといえる。鳥栖のDFラインも高い位置を取り続けたので、広島としては自由に使える大きなスペースが目の前にあり、そこを狙うのは至極当然のことだ。
鳥栖サイドから見れば、広島の特徴でもある中央のスペースを使った攻撃は何としても避けたいところで、そこを埋めるためにMF藤田直之とMF岡本知剛は、広島のMF青山敏弘に入るパスコースを消し続けた。この両ボランチだけでなく、中央のスペースを埋めるためにセンターバック・小林久晃を中心とした鳥栖DF陣がラインを高くする。そうなると、広島の攻撃陣はDFラインに合わせて引かざるを得ない。この状態になると前述したような展開になるのは、ある程度予想できることだった。

ここで、広島にブロックを敷いた鳥栖の守備を崩すアイデアがあれば…。鳥栖は、もっとプレスをかければシュートを放てたのに…。などと、両者に求めるのは酷なことである。それだけ、お互いに置かれた状況の中でベストな選択を行い、持てる力を出していたからである。

後半は、さらにこの状況が顕著になった。48分、60分と広島が決定的な場面を迎え、鳥栖が崩されないように必死に攻防ラインを守り続ける場面が続いた。32分には、今季リーグ戦初出場となったMF森崎浩司の惜しいFKもあった。後半だけで、広島は7本のシュートを放ち、鳥栖のシュートを0本に抑え込んだ。しかし、前半にあげた先制点を鳥栖は守りきり、守備での組織力を見せ付けた。

戦前の予想では、広島の攻撃力に鳥栖のプレスがどこまで通用するのか…と広島優位を予想した人が多いだろう。筆者も然りである。しかし、広島の強力な攻撃は90分間繰り返され、鳥栖も90分間を通して狙い通りの守備ができていた。戦前の予想とは大きく違い、互いの持てる力を90分間出し続けた試合だったといえる。広島は無得点だったが攻撃力を見せつけ、鳥栖はシュートを倍以上打たれながらも組織的な守備力を見せつけた。

どんなに優位な内容で試合を推し進めても、結果は得点の多さで決まるのがサッカー。
どんなに押し込まれようとも、相手より失点が少なければ勝利者になれるのもサッカー。
見ている人にわかりやすく、応援している側にも熱が入りやすいスポーツである。
サッカーを観るには、難しい講釈はいらない。純粋な気持ちさえあればいい。

以上

2012.04.15 Reported by サカクラゲン
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