一つ一つのパス、一本一本のシュート精度の違いが最終的には大きな差となってゲームの結果に表れた。14位草津は勝点1差で上を行く12位北九州を迎撃して中位進出を狙ったが、前節北関東ダービー水戸戦に続いての完敗で痛恨の2連敗。試合後、草津のコアサポーターが陣取るバックスタンドからが今季初めてブーイングが起こり、不甲斐ない戦いを演じたチームに喝を入れていた。
ゲームに漂っていた重苦しいムードは、湿度87%というコンデションのせいだけではなかった。松下裕樹、櫻田和樹ら主力3選手が出場停止となった草津は山本啓人と林勇介を起用、若手に希望を託す。立ち上がりにCKからの決定機を外すと、しだいに暗雲が立ちこめてくる。右SB小柳達司、左SB永田拓也の両サイドは果敢なオーバラップを仕掛けていったが前線とのコンビネーションが噛み合わずチャンスを活かせない。
守備の要宮本亨を出場停止で欠いた北九州は、小森田友明とキローラン木鈴の両CBに加えて、前線に竹内涼、端戸仁を起用するなど大胆なメンバー変更と4−3−3へのシステムチェンジで連敗脱出を狙う。抜擢された選手たちは序盤からアグレッシブなプレーを魅せて指揮官の期待に応えていく。草津との違いは、ゴールへ向かっていく姿勢だった。
序盤こそイーブンだったがゲームが動いたのは17分だった。草津は自分たちのミスからゲームを壊してしまう。林勇介がセンターライン付近でパスをカットされると、北九州の鋭いカウンターを受けて守備が乱れる。池元友樹のシュートは北一真が一度ブロックしたが、そのこぼれ球を渡大生に詰められてボールはゴールへと転がっていった。GK北一真は「14番の選手がファーサイドへ出したパスに振られて防ぎきれなかった」と失点を悔やんだ。
草津が戦えたのは前半までだった。草津は両サイドを起点に決定機を演出していくが迫力不足は否めない。致命的だったのは38分のヘベルチのプレーだ。GKと1対1となり余裕を持って相手をかわしながらもゴールマウスを捕えることができずに天を見上げた。存在感が試合のたびに薄れていくヘベルチの状況が、いまのチームを如実に表している。ヘベルチだけに限らず、選手の長所ではなく短所が目立ってしまうのだ。これはチームの完成度が低いからにほかならない。
後半は完全に北九州のゲームだった。北九州は苦しい場面でもポゼッションでボールをつなぎスタイルを貫き通した。連敗脱出のためにメンバーを入れ替えたが指揮官のチャレンジが奏功し3試合ぶりの勝利を呼び込んだ。三浦監督は「これまでは結果だけを求めてしまっていた。昨季のチームをスタンダードにしてそれを超えるチームにしなければいけない。今日をきっかけにしてさらに良いチームにしたい」と手応えを口にした。このゲームは北九州の進路を明るく照らした。
新たな力に期待した草津だが、脱皮に失敗してゲーム終盤はまったく戦えなかった。熊林親吾は「こんなに悔しい試合は初めてだ。選手はもっと自覚を持たなければいけない」と肩を落とした。草津は過去2年間、チームの主軸は変わっていなが、それは世代交代が進んでいないことを意味している。悲観するわけではないが、今ゲームからは来季以降の光がまったく見えなかった。スタンドに目を移せば観客数は今季最低の1447人。平日ナイトゲームとはいえあまりにも寂しい数字だ。フロント、チームが一体となって改革に臨まなければクラブの未来は悲しいものになってしまう。
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2012.04.28 Reported by 伊藤寿学













