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【J2:第10節 京都 vs 大分】レポート:GW初戦は大分が勝利。大分は連勝、逆に京都は連敗へ(12.04.28)

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GW連戦の初戦。西京極では京都は大分に敗れ、京都は連敗、大分は連勝でのスタートとなった。
京都はディフェンスに秋本倫孝が復帰。福村貴幸が左サイドに入り、試合に臨む。
試合は早々に動く。10分、大分陣内でのFKで、作田裕次のクロスにイ・ドンミョンが頭で中に落とすと、森島康仁が外を周る高松大樹に送る。DFの背中を取った高松がこれをきれいに蹴り込み大分が先制。その2分後、左サイドでFKを得た大分。これを三平和司が頭で合わせ追加点。開始12分で大分が2点を先行する展開に。
京都は相手から即ボールを奪う厳しいディフェンスでボールを支配。17分にはチョンウヨンから宮吉拓実に渡り決定機を作る。しかし大分も21分。左サイドで京都のマークをかいくぐると、京都DFの頭を越えるパスで高松へ。京都DFは完全に裏を取られ、GKと1対1に。これは京都GK水谷雄一のビッグセーブ。京都は難を逃れた。
32分には安藤淳が相手のクリアボールを収めると中へドリブルしシュートを放つなど、京都は大分を攻め立てるが前半、無得点に終わる。

後半に入っても京都ペースでゲームは進む。57分には左サイドの福村貴幸の駆け上がりにチョンウヨンがパスを通しチャンスを作る。
そして64分、右サイドからの宮吉のクロスに中村充孝が受けると、すぐ隣に入り込んだ安藤が原一樹へ。これを原が冷静に決めて2−1と京都が1点差に詰め寄る。これで原は4戦連続ゴールとなる。
その後も京都は、中村がエリア内で持ち込んでチャンスを作り、チョンウヨンがミドルシュートを放つなど大分ゴールに迫る。だが、粘る大分守備陣を崩し切ることができず結局、2−1のままタイムアップ。大分が勝点3をものにした。

試合後、田坂和昭監督は、攻撃ではなかなか思う様に出来なかったとしながらも、「1失点目を奪われても慌てなかったこと。去年なら1点目を取られた後にがたがたと来ていたが、今年は1点取られた後に慌てず隙を観て攻撃に出ることができたのではないか」と成長点を挙げた。それが勝点3を引き寄せた。

対して京都。今節、個人的には信じられないシーンがあった。後半23分ごろ、左サイドからのCK。チョンウヨンのインスイングのクロスで、ファーサイドの選手が合わせられず流れていったボールを中盤から工藤浩平が追いかけていった場面だ。個人的に、CKの流れたボールで、ゴールキックになる様なボールをエリア外の中盤の選手が追いかけていったのを観たことが無かったので、驚いた。
これが得点につながったかと言えば、違う。ひょっとしたらそれよりも自分のポジションについた方が効率的だったかも知れない。でも、工藤がどういう気持ちだったかは充分に伝わる。そんなシーンだった。
逆に42分、ボールが足元に収まらず流れていったボールを追いかけようとして、でも追いつかないか、と思って一度足を止めた選手がいたが、意識の低さを感じさせた。
2失点したのだから批判されても当然だ。だが、今節の京都のボールへの寄せ、球際の強さ、ボールを奪おうという意志、これらは今年に入って、というより、大木監督下の試合の中で一番だった様に思う。だが、敗れたことで、それは評価されなくなる。レポートを書く者としてはそれが一番悔しい。

21分の高松がディフェンスの裏を取ったシーンも危なかったが、今節の失点はセットプレー2本。だから「セットプレーが…」、と言われるのだろうが、多分、そうなのだろう。
試合後、大木監督が「2失点のゲームがこれで5試合」と口にした。失点とセットプレーの関連性を今節から少し遡ってみる。まず今節、先制点をセットプレーで許した。前節(横浜FC戦)は、2失点目がセットプレー。福岡戦は同点弾をセットプレーでやられた。鳥取戦は先制点をセットプレーから。
気になるのは、前半にせよ、後半にせよ、相手のファーストチャンスでやられる傾向があるということ。個人的には、こちらの方が気になる。敗れた試合では、相手のチャンスの方が圧倒的に少ない。の、だが、その数少ないチャンスで決められている印象がある。こちらの方が気になるのである。

一番気になるのは攻撃だ。あれだけ支配して1得点だけというのは少し考えたくなる。
今節よりも、前節の方が顕著だったが、両サイドが攻撃姿勢を強く押し出していた。負けているから当然だが、前節なら左に黄大城、右に伊藤優汰がいた。そして、中央にFWと中盤がいる。
かなり強引だが、両ワイドがいて中央でポゼッションを高める。これはバルセロナ(スペイン)と似た考え方と言ってもいいだろう(もちろんバルセロナとは雲泥のレベル差があるのだが…)。ピッチを広く使い、ワイドに選手を配置。後は、アンカー(ピボーテ(回転軸))を置いて、シャビ、イニエスタ、メッシがいて、FWがいる。FWは前線にはおらずつなぎに加わるから計5人で数的優位を作る。FWがつなぎに加わるから相手センターバックは付くべきマークがいない。サイドバックはバルセロナのワイドに引っ張られるため、センターバックとサイドバックの間にはスペースがある。これでバルセロナは中盤で数的優位を作り、かつスペースも作りやすくする。
京都はどうか、チョンウヨンがアンカーで、軸となる。後は、中山、工藤、中村がいて、宮吉、原が下りてくれば数的優位は作れる。だからつなげる。ワイドが常に高い位置を取らないので、対戦相手は逆サイドの中盤を寄せ易く密集になる、という違いはある。
さて、バルセロナはFWがいないのにどうやって点を取るかというと、誰かが前に入り込むのが一般的。注目されるのがメッシで、中盤から相手DFの裏、横のスペースに入り込む、或いは相手DFと対峙する(守備的MFの背後に入る)状況を創る。
大木監督語録を借りれば「相手の背中を取る」様な動きがある。京都の攻撃も参考にできるのではないか。相手のセンターバック、サイドバック、或いはボランチの、その背中を取って何をするか。今節なら、相手の2シャドーの背中は取っている。だが、相手の懐に入り、喉元に切っ先を突きつけるのなら、そこから誰がDF、ボランチの背中を取り、そこにボールを通し勝負するか(もちろん、個人の突破でも構わない)、の様な気がする。

バルセロナのサッカー、哲学。それを比較に出すのは恐れ多いと思われるかも知れないが、考え方で、参考にできる部分は結構あると思う。何に気づいて、そしてサッカーを楽しめる状況を創るか、というのもあっていいのではと思うのである。

以上


2012.04.28 Reported by 武田賢宗
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