6月9日、気象庁は仙台市を含む東北南部の梅雨入りを発表した。同日のユアテックスタジアム仙台はその通りの強い雨に見舞われ、プレー精度が奪われる気象条件で仙台とC大阪は戦うこととなった。
しかしJ2時代から好勝負を繰り広げてきたこの両チームは、ミスがどうしても多くなるこの条件下でも、可能な限り最善のプレーを選択してゴールを狙っていた。
代表招集で清武弘嗣、キム ボギョン、キム ジンヒョンを欠き、扇原貴宏、酒本憲幸、播戸竜二が出場停止となったC大阪は、中盤をこれまでの箱形から菱形に変えてこの一戦にのぞんだ。「左利きの丸橋(祐介)と右の山口(螢)が攻撃に向かうパワーを持っていることを生かし、トップ下のブランキーニョも三人目のストライカーとしての能力を生かしたかった」(セルジオ ソアレス監督)。この三人に限らず、柿谷曜一朗のドリブル突破やケンペスの力強いシュートやポストプレーなどで、C大阪は「グラウンダーのボールをしっかりつないで内容のあるゲームができた」(セルジオ ソアレス監督)。「試合の入り方は難しかったが、90分を通していい戦いはできた」と柿谷も振り返った。
しかしこの日は仙台の状況判断が、C大阪の個性の競演を上回った。上本大海、関口訓充、赤嶺真吾、鎌田次郎といった主力を負傷で欠く仙台は、リーグ戦ではボランチでプレーする角田誠を最終ラインに下げるかたちを最近は続けているが、この日は角田に代わるボランチに梁勇基を配置した。当初は二列目に入った松下年宏とのポジションチェンジでC大阪を攪乱するゲームプランもあったが、まずはC大阪の中央の攻撃を止めるために守備のブロックを崩さないこと、そして相手のダイヤモンド型の中盤の脇すなわち松下や太田吉彰のところにボールのおさまりどころを作ること、以上二点の理由から、ポジションは大きく変えずにC大阪に対抗した。
この戦い方でゲームを徐々に支配した仙台は、63分に先制する。左サイドをかき回したウイルソンはクロスを送ったが、これは中央で藤本康太にクリアされる。しかしこのこぼれ球に、ボランチから攻め上がっていたためフリーになっていた梁が詰めた。藤本と高橋大輔は中原貴之と競っていた状態からリカバーできず、カバーに入ろうとしていた横山知伸も止めきれなかったために、軌道が変わった梁のシュートはC大阪のゴールに吸い込まれていった。
1点を追うC大阪は前節に活躍したルーキー吉野峻光を投入するなどして攻め立てるが、仙台は中央の守備を固めて対応。さらに、柿谷やケンペスが連続して迎えたシュートチャンスには、「みんなが体を張って(シュート)コースを限定してくれた」という林卓人が立ちはだかった。4分のアディショナルタイムには相手陣内でのキープで時間を使い、仙台が逃げ切った。
このカードはリーグ戦でもカップ戦でも僅差のゲームが続くが、今回も1-0というスコアで終了。「勝点3が必要だったので、まずは結果が出て良かった」とは梁。激戦の末に、両チームの勝点は9で並び、ともに最終節に決勝トーナメント進出をかけることとなった。
公式記録によればこの試合での湿度は90%だった。しかし同じ勝点で最終節に向かう両チームの闘志は湿っていない。それどころか、決勝トーナメント進出を目指し、燃えさかっている。
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2012.06.10 Reported by 板垣晴朗













