青く澄んだ空とアスファルトに残った白い雪が鮮やかなコントラストを見せる3月の札幌。25000人を越える観客が詰めかけたドーム内は独特の高揚感に包まれていた。期待と不安が入り交じる今季開幕戦。
今季初戦で顔を合わせた両者は互いに勝点1を得て今シーズンをスタートさせた。明暗分かれる形でおよそ4か月後の再戦を迎えることになったが、泣いても笑っても残り17試合。リーグ後半戦を白星でスタートさせるのはどちらか。
今季森下仁志新監督の下でスタートを切った磐田は勝点27の6位で前半戦を折り返している。第2節の鳥栖戦で今季初勝利を掴むと、続く第3節には長年勝てていなかった万博でG大阪に勝利。さらに第4節には昨季リーグ覇者・柏をホームで撃破している。第6節の静岡ダ―ビーで今季初黒星を喫したものの、第11節にはホームで長年勝てていなかった鹿島に勝利。6月のリーグ再開後こそ神戸、名古屋に続けて敗れて足踏みすることになったが、リーグ開幕前に山崎亮平(左橈骨骨折)、金園英学(右足第5中足骨再骨折)、さらに開幕直後に川口能活(右アキレス腱断裂)といった複数の主力選手を相次いで欠いたことを踏まえれば、けして悪い順位・勝点ではないだろう。前節は広島に0-2と完封負けを喫しているものの、ここまでリーグトップタイの34得点をマークしている点も見逃せない。
トレーニングメニューだけを見てもチームのステップアップは見て取れる。シーズン前に行っていたスモールコートの『3対2』はやがて『4対4』のミニゲームへと派生し、現在はさらに人数を増やした『6対6』にまで発展した。4から6と人数が増える分難易度も高くなるが、1タッチ制限という条件をつけてもテンポよくボールを動かせるようになってきた。この点、ただ単にメニューだけを進化させているわけではなく、選手たちが指揮官の要求に応え、前進している雰囲気を感じさせる。開幕当初は選手たちが指揮官の目指すスタイルをやろうとするあまりどこかに力みも見えたが、練習と試合を積み重ねるごとにグループ間の連係は深まり、オートマティックな動き出しも増えてきた。
9日には韓国・城南一和より即戦力FW・ハン サンウンの加入を発表。Jデビューは最短でも次節・浦和戦となるが、韓国代表経験もあるレフティーの加入で前線の競争は激化し、新たな刺激も生まれるだろう。前線のみならず、ボランチ、センターバックといったポジションの競争も開幕から数カ月が経った今も依然として激しい。無論、どの選手も決め手に欠く、といった類のネガティブな競争ではない。
スタイルの浸透と競争の激化。チームの成長が目に見えてわかるからこそ、後半戦は前半戦以上の結果を期待せずにはいられない。
森下監督は札幌戦前の定例会見で再び報道陣へ「これはぜひ書いていただきたいのですが…」と切り出している。脳裏にあるのは6月下旬のリーグ・F東京戦(ホーム・ヤマハで3-1と勝利)である。ヤマザキナビスコカップ・最終節で仙台に敗れ、目前で決勝トーナメント進出を逃した直後のホームゲームだった。「仙台戦の後にああいった結果を得られたのもサポーターのみなさんから勇気をもらったからこそだと思っています。札幌戦は後半戦の“開幕戦”。ぜひたくさんの方に来ていただき、背中を押していただきたい」(同監督)。スタンドと一体となって相手を迎え撃ち、後半戦白星スタートを狙う。
一方、札幌は第2節からリーグ7連敗を喫するなど思うように勝利を掴めず、勝点4でリーグを折り返すことになった。最下位で後半戦最初の試合を迎え、J1残留圏内の15位・大宮との勝点差も15と予断を許さない状況ではあるが、残り17試合ある。ここからいかに巻き返すかだ。
ただし、負傷離脱者は少なくない。5月には守護神・イ ホスン(左足アキレス腱断裂)と今季攻撃の柱として獲得した前田俊介(左足もも裏肉離れ)、6月には右サイドバック・高木純平(右膝半月板損傷)、さらに前節の新潟戦で主将・河合竜二(右膝内側側副靭帯損傷)がいずれも長期離脱。これだけ多くの中心選手を欠くチーム状況には経験豊富な石崎信弘監督もさすが頭を悩ませているだろう。
前節は中盤の中央のボランチを3枚並べる新システム[4-3-3]を採用したものの結果は伴わず、0-1で敗戦。ホーム・札幌厚別で今季ワーストの8連敗というシビアな現実を突きつけられることになった。後半戦へ向けネガティブな話題ばかりが並ぶが、逆境がグループの結束を強めることは決して珍しくない。11日には全北現代モータースよりDF・キム ジェファンの獲得を発表。反撃の下地を整えているだけに今節が踏ん張りどころと言えるだろう。
シーズン開幕当初と比べ「お互いメンバーも違うし、チーム状況も違う」と話すのは磐田・森下監督。確かにピッチに立つのは生身の人間であり、チームである。開幕当初と一概に比較することはできないのかもしれない。むしろ過去を振り返ることなく、勇気を持って未来へ歩み出さなければ厳しいリーグで勝ち残ることはできない。
今節より二順目の対戦ヘと入るJ1だが、第1節と同じカードはこの試合のみ。再戦の舞台は梅雨の静岡。もう一つの“開幕戦”が今、始まる。
以上
2012.07.13 Reported by 南間健治
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