後半戦に入り、山形はアウェイ2連戦を1分け1敗。栃木戦ではオウンゴールで失った1点を取り返せずに敗戦を喫し、前節・富山戦でも得点は前半終了間際の石川竜也の直接フリーキックのみ。前半は攻撃が機能せず、後半は逆にチャンスを増やしたが2点目を奪うことができずに追いつかれている。「もったいない試合を2試合やってるので、(上位争いで)『離されなくてよかった』という感覚はまったくないです」と悔しさをあらわにするのは山崎雅人。自らのパフォーマンスにも忸怩たる思いを抱くチームキャプテンは、「低調な内容で終わっているので、次になんとか挽回したい」と巻き返しに闘志を燃やす。
3節前には首位に立っていたが、この2戦で首位と2差の5位まで後退した。ただし奥野僚右監督は、まとわりつく停滞イメージを何事もなかったように振り払う。「いっぱい警告をもらった試合があったり、PKをゴールにつなげられなかったりと、そういう些細なところでちょっとでも引きずられるものがあったとしたらもったいない話で、それなら『さっと忘れちまいなさい』とね」。そして、大混戦が続く状況にも、「今は本当に自分たちが飛び出すチャンスだなと思います。そのチャンスを活かさなきゃいけないし、活かそうとすることが大事であって、別に悲観する必要もなければ楽観する必要もない。チャンスだという認識を、とにかく強く持ちたいですね」と話す。
今節は、8勝2分け1敗と圧倒的な勝率誇るホームでの戦い。DF西河翔吾が出場停止となるが、秋葉勝が出場停止明け。さらに、前節の出場を回避した宮阪政樹もすでに全体練習に合流している。シーズン序盤に見せた攻撃でのダイナミックさを、今節、ホームで取り戻したい。
大混戦の昇格レースで、首位から8位までJ1経験クラブが占めるなか、福岡は唯一、水を空けられて14位に位置している。ともに四国のチームを迎えてのホーム2連戦で後半戦のスタートを切ったが、雨中の愛媛戦は前半の城後寿がゴールを挙げリードを保ったまま試合を終わらせ、3試合ドロー後の勝利。しかし、続く前節・徳島戦は後半に突き放されて1-3の敗戦となった。今節、警告累積で出場停止の小原章吾が古巣との対戦を果たせないのは、本人はもちろん、山形のサポーターにとっても残念なことだが、入れ替わりで古賀正紘の出場停止が解ける。
前節終了後、前田浩二監督は「ロッカールームで選手たちに話したのですけれど、『2失点目を喫してからあと38分あった。そこで落胆している暇はない。声をかけて、走って、味方を助けて、やって行くのがサッカーだ』と。それが逞しさということなんでしょうけれど、逞しさということで言うと、まだまだ成長過程だなと思っています」と認めたうえで、開幕2連勝以降、連勝がないことについて聞かれると、「確実に攻撃のバリエーションを含めて進歩はしていると思うので、そこをもっと分厚く、根気強く、したたかにということを、選手たちと一緒に詰めていきたいと思います。それが出来れば連勝は出来ると思っています」と前向きにとらえた。
アウェイ2連戦では、自陣でブロックを築く相手に苦しんだ山形。しかし、今節の福岡戦はやや状況が違ってくる。福岡のラインは浅く、3ラインはきれいにそろっているが、ブロックの間は突きやすい。ボールを奪った直後にプレッシャーをかいくぐる必要はあるものの、ミスなくいかにそこを外しゴール前まで運ぶことができれば、ゴール前にスペースがなく攻めづらいというケースは少ないだろう。さらに、より攻撃を得点機に結びつけようとすれば、サイドバックの攻撃参加は欠かせない。前節の失点もサイドにセンターバックが引き出された際に喫しているが、リスク管理と兼ね合わせたなかで、サイドチェンジからサイドを押し込むケースがどれだけつくれるかも大きなポイントとなる。
福岡最大の得点パターンもサイドからのクロスだが、それをもっとも効果的に実現する方法は、FW高橋泰のプレー。高橋が抜群の引き出しで間で受ければ相手の守備が中央に寄り、そこから大きなスペースが得られるサイドへと展開できる。全体としてプレー中のポジションチェンジこそ少ないが、局面で先手が取れれば、そこからに一気にゴールを脅かすスキルは兼ね備えている。また、相手が高橋の起点を潰そうとセンターバックからアプローチすれば、今度は裏へ飛び出す坂田大輔のスピードが生きてくる。高橋はヘディングの巧みさもあり、フリックオンも含め、2トップのコンビネーションで坂田が飛び出すパターンから、決定的なシーンをこれまでも数多くつくっている。相手の起点に対し、守備で自陣まで戻るサイドハーフには運動量が求められるが、縦の速さを活かしつつ、二の矢、三の矢として攻撃に厚みを持たせることも勝利へのカギとなる。
前回対戦は第14節。山形は萬代宏樹の出場停止で、秋葉勝をトップ下で起用する4-4-2。その秋葉のゴールで山形が先制し、後半に城後のゴールで福岡が追いつく展開でドロー決着に終わった。先制点を挙げた秋葉の記憶を埋めているのは、得点を決めた場面以上に、同点に追いつかれる直前に決めきれなかったフリーの場面。「前回の福岡戦では僕が外して勝てなかったので、個人的には、そういうのを秘めて戦いたいと思います」。勝利に飢えた両チームの対戦。それだけに、強い気持ちがぶつかる一戦になる。
以上
2012.07.14 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
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