首位で迎えた前節vs松本山雅戦に、東京Vは3−2で惨敗した。今季8敗目という結果に加え、「前半は今季最低」の内容に、川勝良一監督は会見の場で「過信しか持っていない」「血管が切れそう」「はらわた煮えくり返っている」「ふざけるな」と、怒りを隠さなかった。当然、選手たち自身もそれぞれが不甲斐なさを感じており、今週のオフ明け火曜日(10日)には、森勇介を中心に選手ミーティングの時間が持たれたようだ。「いろんな角度から、いろんな声があった。どれも思うところばかりだった」(中谷勇介)それぞれが思っていることを口に出し合い、感情の溝を埋めた。それでも、さまざまな意見交換の末にたどり着くのは、やはり「戦う姿勢とか、球際をもっと激しくとか、最後まで抜かないとか、本当に基本的なところ」(飯尾一慶)の再確認だという。そして、最後は全員が「まだまだあきらめる順位じゃない。こういう時こそ、チームワークが今まで以上に大切」(深津康太)との思いを統一し、今週の練習、そして今節に臨んでいる。「本気でまとまるかは、次(今節)だよね。ホームで、たくさんのサポーターに見られている中でどんな試合をするのか」(川勝監督)。2年半かけて築き上げてきている現在の川勝ヴェルディが、J1に相応しいチームへと進歩しているのか。昇格へのターニングポイントともなり得る一戦だけに、東京Vサポーターにはぜひ注目して欲しい。
チーム全体の戦いぶりはもちろんだが、実は、注目すべきポイントは部分的にもいくつかありそうだ。まずは、メンバー。前節の戦いぶりにあれだけの苦言を呈しただけに、当然指揮官はテコ入れをしてくるに違いない。その筆頭が、前節の選手交代を見ても察することができる通りボランチではないだろうか。中後雅喜の第2節以来、今季2試合目の先発起用が濃厚だ。前節も、中後の投入でチームは落ち着きを取り戻し、一時は同点にも追いついた。また、試合終了間際には得点も決めており、「(長期離脱で)今までチームに何もできなかった分、これからはしっかり貢献したい」と、気力も体力も充実させている。「フラットにポジションをとって、チャンスの時にはトップ下のところまで上がっていって攻撃に厚みをつけてくれる。長い距離も走れる。常にチーム全体を見渡せるし、戦術眼も確かで展開力もある」と、新・背番号8の長所を語った川勝監督は「年齢的にももっと成長できるはず。西(紀寛)もウチに来てもう一度さらに評価を上げているように、中後もそれができる」と、大きく期待する。積極的なミドルシュートも、チームの攻撃力をさらにアップしてくれることは間違いない。楽しみだ。
また、それ以上に注目なのが、GK。いよいよ、土肥洋一の出番が訪れそうだ。これまで安定したセービングを見せてきた柴崎貴広のパフォーマンスが悪いというわけでは、決してない。ただ、前節3失点。そのシーンを振り返り、「声さえ出ていれば捕まえられるところで、捕まえられなかった。伝達の問題で自滅した。事前に『どこを断て』の声を出すことがいかに重要か。コーチングの声も技術的なスキルの1つ」。前節からの守備力の上積みを期待するとしたら、土屋征夫の復帰が最善と言えるところだが、残念ながら復帰は難しいとみられる。だとすれば、“守備全体”という意味で、変化を最後方でつけることを川勝監督も決断した模様だ。「声ひとつでチームが変われるなら、いくらでも出して貢献したい。ずっとベンチからも声は出していたけど、やっぱりピッチ上でしか伝えきれないものはある」。使ってもらえるかまだわからないよ、と、軽く交わしながらも、2011年5月4日以来の先発ピッチへ、土肥が胸に秘めている思いは相当強いはず。あの日以来、『土肥さんとともにJ1へ』と、掲げ続けているサポーターの思いもまた、真の意味で新たな一歩を踏み出す日が訪れるかもしれない。
そしてもうひとつ。この試合直後、いよいよロンドン五輪へ向けて旅立つ杉本健勇の東京Vでの勇姿もまた、ファンにとっては必見である。試合後には、壮行セレモニーも行われる予定だ。「一旦、五輪のことは忘れて、ヴェルディの試合に集中したい。温かく送り出してくれるチームやサポーターに、点決めて、良い形で感謝の思いを見せられればいい」19歳の五輪戦士は、恩返しに燃えている。ぜひ、期待したい。
対する鳥取は、第21節で草津に勝利し、連敗を6で止めたものの、前々節、前節と再び連敗。厳しい状況が続いている。今季はJ2にも降格というシステムが存在するため、20位という順位的にもなんとか勝点1でも積んでおきたいところだ。
3位につける東京Vは、何といってもリーグ屈指の得点力を誇ってる。ここまでの総得点を比べても、東京Vの44点に対して鳥取は18と差は歴然だけに、勝点を奪うためには撃ち合うよりも、まず守備を徹底的に固めて失点を防ぐほうが得策と言えるのではないだろうか。相手に攻めさせておいて、点が決まらず苛立ち始めたところで、カウンターで一撃。実は、これが東京V対策としては最も有効かもしれない。そこでポイントとなるのが、猛攻に耐えうる守備力があるか否かだが、残念ながら鳥取は失点数もリーグワースト。前節の栃木戦でも、前半はなんとか栃木の一方的な攻撃を耐え忍んだが、無失点には抑えられなかった。特に後半立ち上がり15分までの失点が非常に多いだけに、全員がいつも以上に高い集中力と強い守備意識を持ち続ける必要があるだろう。「攻めさせている」という考え方に持っていき、メンタル的な負担を軽減することも、ひとつの策かもしれない。
東京Vには、先制されるとどうしても焦りがでるという悪癖があるだけに、鳥取としては是が非でも先制したい。そのためには、チャンスに確実に決めることがテーマとなるだろう。前節は美尾敦がボランチに入ってから、良いボールが前線へと入るようになり、チャンスが生まれた。いずれにしても、FW起用の場合でも、ボールがおさまる美尾の存在は、東京Vにとっては警戒が必要なことは間違いない。逆に鳥取としては、攻撃力・守備力ともリーグトップクラスの東京Vから勝点を奪えれば、相当の自信になることは言うまでもない。J2残留へ向けても、勢いつけられる最良の相手だろう。重要な一戦と捉え、自分たちの手で自信を掴み取りたい。
以上
2012.07.14 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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