今季、千葉が前節終了時で最下位のチームに負けるのは、第17節・岐阜戦以来で2度目になる。だが、試合後の千葉サポーターのブーイングは、単に千葉が最下位チームに負けたからではなく、その戦いぶりから勝利への執念で町田に負けたと感じられたからではないだろうか。フクアリのアウェイ側ゴール裏スタンドには『絶対残留』の横断幕が掲げられていた。そして、J2に残るため勝利を渇望する町田のプレーは気迫に満ち、攻守にボールへの執着心が強く出ていた。もちろん千葉の選手も勝つために必死だっただろうが、町田のようなガムシャラさに欠け、相手に脅威を与えるようなパワーが感じられなかった。
今節の千葉は、攻撃力に秀でた右サイドバックのDF高橋峻希が移籍後初出場となるスタメンの一方で、前節まで2試合連続スタメンだったFWリカルド ロボが8月9日に右足に違和感が出た影響かベンチスタート。最終ラインからパスをつなぎ、3バックの一角に新戦力のDFイ ガンジンが加わった町田の守備網を破ろうとするが、効果的な攻撃の形が作れない。スタメン選手の特長の問題もあるだろうが、キックオフ直後に高橋がペナルティエリアにドリブルで仕掛けたものの、前半は少し強引でも攻撃のアクセントになるようなドリブル突破が少なかった。そんな中でも、30分にはMF兵働昭弘のスルーパスからMF米倉恒貴が町田のGK修行智仁と1対1となるが、落ち着いて対応した修行がシュートを好セーブ。勝負の縦パスも動きもほとんどないパス回しは仕掛けられるスペースを町田に埋める時間を与えてしまい、ボール奪取後のスピードアップが少ない前半だった。
前半は長めのパスを前に入れてディフェンスラインを押し上げつつ、千葉のボールホルダーにプレスをかけた町田。50分、左サイドのDF藤田泰成のアーリークロスがニアサイドへ動いたFWドラガン ディミッチのそばでバウンドし、ファーサイドでFW平本一樹が折り返す。それにドラガン ディミッチが利き足とは逆の右足で合わせ、町田が先制点をゲット。試合後、千葉のDF山口智は自分がドラガン ディミッチについていってゴール前を空けたうえにシュートを許したこと、DF武田英二郎がカバーしきれずに平本の折り返しを許したことを悔やみ、高橋はアーリークロスを上げさせたことを反省していた。
短めのパスをつなぐだけでなくロングパスも織り交ぜた町田の攻撃にプレスがうまくかからなかった千葉は、逆にポゼッションに、最後まで崩してのフィニッシュに強い意識がありすぎたように見えた。ゴール前に相手が多くいるとはいえ遠目からの思い切ったシュートは少なく、無得点だった前節と同様に相手の守備の予測範囲内の攻撃ばかり。唯一、意表を突いたと思われる62分の兵働の素早いリスタート(前回対戦時はこの形からFW藤田祥史が得点)でのFW深井正樹の決定機は、深井のボールコントロールがうまくいかず、シュートはGK修行がセーブ。他の決定機もシュートの精度を欠いて決められなかった。
試合に勝つには、監督の采配も含めた戦術、選手個々の状況判断や技術などの要素も必要だろう。だが、今節のように攻守に労を惜しまず、闘争心あふれる粘り強いプレーを町田が今後も続けていけば、『絶対残留』は実現に近づくはずだ。まずは次節が重要となる。
パスが何本つながってもゴールが生まれる可能性が少ない消極的な攻撃はいらない。美しい崩しの形でなくてもいい。失点後に慌ててエンジンがかかってバタバタするような攻撃ではなく、試合開始直後からガムシャラに泥臭く『1点』を取る攻撃が見たい。本当に欲しいところで『1点』を取れるチームにならなければ、J1昇格は今季も厳しい。
以上
2012.08.13 Reported by 赤沼圭子
J’s GOALニュース
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