やりにくさは双方のなかに存在していた。
前半41分に北九州の森村昂太が2枚目の警告を受け退場、数的なバランスを失ったピッチでは、それぞれの思惑が絡み合った。
通常では数的有利となるはずの大分だが、これまで守備からリズムを作ってきたチームは、相手が自陣に引いてブロックを作ると攻めあぐねた。ならばディフェンスの選手を削って、前線に人数をかけることもできたが、田坂和昭監督は池元友樹や端戸仁の2トップの鋭利なカウンターを防ぐには、相応の守備の人数が必要と判断した。
北九州側の見解はこうだ。
「前半に一人減るという状況になると、どうしても後半に向かってネガティブな材料を探しがちになるところを、しっかり彼らがピンチをチャンスに変えてくれた」(三浦泰年監督)
数的不利のチームは、セオリーでは前線の選手を1枚削って中盤を厚くするが、敢えて攻撃の意識を途絶えさすことのないように4−3−2の攻撃的布陣を貫いた。
リスクマネジメントを徹底した大分とリスクを冒すことを選んだ北九州。時間の経過とともに「勝たなければいけない気持ち」が強くなる大分は焦りが生じ、開き直った北九州は果敢にチャレンジする姿勢が生まれた。
大分にとっては自滅に近い敗戦だった。怒涛のシュートがことごとく外れていく。50分、CKからの作田裕次のヘディングはGK正面、74分にはCKの流れから作田のシュートはポストに当たり、こぼれ球を三平和司が押し込むもシュートは無情にもバーの上を越えていく。いくらセットプレーヤクロスから放り込んでも、ゴールネットは揺らされることはなかった。相手の倍の16本のシュートを放ちながら、カウンターから失点を許して連勝がストップした。
逆境を跳ね返し勝利した北九州は、大分の猛攻をひたすら凌ぐだけでなく、「状況に応じた判断を選手が的確にやっていた」(三浦監督)。チャンスになればリスクを冒してでも攻撃し、守備でも球際で激しくいき、失点を許さない。
5試合ぶりの白星となった北九州は、「一人減ってもプレスのかけ方やボールの運びからなど、チームとしてやるべきことがハッキリしている」(川鍋良祐)と、手応えを口にする。次節もバトル オブ 九州が続くが、隣県のライバルチームに勝利したことで、燻る何かを呼び覚ましたことは間違いない。それを確固たる力へ昇華できるのか、すべては次節の戦いに懸かっている。
以上
2012.08.13 Reported by 柚野真也













