新潟は現在15位。降格圏付近から遠ざかるためにも首位・広島をたたかなければならない。攻撃の要になるのはMF田中亜土夢。前節横浜FM戦では今季初の2得点をマークした。広島戦では自身初の2試合連続得点を挙げて、チームの浮上をけん引する覚悟でいる。
広島は首位固めのためにも落とせない一戦。前回の対戦では、ホームで新潟に敗れているだけに、ここはきっちりと借りを返したい。

「まだやったことがないので、狙っていきます」。田中は連続ゴールへの意欲を明確にした。対広島に必要な自身の動きも整理されている。「クロスに走り込む、裏に抜ける、そういうプレーが多く出せれば、チャンスは増えてくると思う」。自分の特長を出すことが、ゴールへの近道だ。

2得点を挙げた横浜FM戦がそうだった。1点目はカウンターに反応して、ゴール前に走り込んだところで平井将生からのクロスを押し込んだ。2点目は三門雄大のマイナスのクロスに走り込んだもの。「ここでシュートを打てる、点を取れるという部分が分かってきた。90分の中でそういうプレーが何度かある」。柳下正明監督も得点感覚が身に付きつつあることを認めている。

主に左サイドハーフとして、ここまでチーム最多の21試合に出場。3得点はブルーノ ロペスと並んでチームトップ。夏場に入って体重は2キロ減った。ただ、体調不良によるものではない。体の切れを意識して、トレーニングした結果絞れたもの。

4試合連続フル出場と夏場の連戦にもコンディションは維持している。「調子は普通です。まだまだ上げないと」。好調さは向上心を刺激する。「次も2点取りたい。千葉さんを狙おうかな」。昨季までのチームメイトで親交の深い、広島のDF千葉和彦を相手として名指しする余裕も。自信を持って、首位撃ちに臨む。

広島はここ3試合で1勝1分1敗。すべて1点差以内の接戦だ。もっとも、攻守のバランスを崩すことはない。分厚い中盤でボールを奪ってから、カウンターを仕掛け、効果的な縦パスから佐藤寿人の得点パターンを構築する。

特に佐藤は得点ランクでもトップ（＝16点）を独走し、ここ5試合でも4得点と、得点力は高く安定している。新潟があっさりと佐藤を自由にするようであれば複数得点の可能性も高い。前回の対戦では14本のシュートを放ちながら、無得点。0-1で敗れた。佐藤はシュート2本に抑えられた。前回の雪辱のためにも新潟の堅守攻略がポイントになる。

新潟は連敗は避けたい。なにより、2試合足踏みが続いているJ1通算100勝をホームで達成することは、勢いにつながる。広島は首位戦線をリードするために連勝を目指す。

ともに勝点3を狙っての真っ向勝負。攻守の切り替えで上回った方が主導権を握る。

以上

2012.08.17 Reported by 斎藤慎一郎（ニューズ・ライン）