フォトニュースにある「決着をつけようじゃないか!」の文言が、両チームのファン・サポーターの士気を高めているに違いない。横浜F・マリノスと川崎フロンターレによる「神奈川ダービー」のリーグ戦・通算戦績は7勝3分7敗と、全くのイーブン。前回対戦も0−0に終わっているだけに、18回目を迎えるライバル対決は、真夏の熱闘で白黒はっきりさせてくれるはずだ。
6月23日に行った神奈川ダービー第一ラウンドを、「主導権を握られていた」と振り返ったのは横浜FM・小林祐三。今季終えた21試合の中で、試合結果を抜きに最も敗北感を味わったのは、その一戦なのではないだろうか。特に前半は、相手のいいようにパスを回され続けた。
「風間監督は僕が(筑波)大学のときの監督だったので、やりたいサッカーはわかっていました。けれど正直、大学時代の相手チームはこんなにきつかったのかなと感じました」
開始6分に負傷退場した中村俊輔と交代出場した、森谷賢太郎のコメントが劣勢ぶりを表す。川崎Fは前からボールを奪いにきた相手に対し、球離れの早いテンポ良いショートパスを繋いで、いなした。
その中心にいたのが、中村憲剛。プレースタイルは、闘牛と対峙するマタドールのよう。猛然とプレスをかける相手を華麗にかわし、際どいスルーパスを送り、中途半端に前がかりになっていたトリコロールの最終ラインを混乱させた。
ただし、後半に入って横浜FMは守備を補修。“パスを回されている”劣勢から“パスを回させている”自分たちの流れに持ち込んだ。守備ブロック構築を徹底し、ある程度、相手を泳がせ、守備の網へ入ってきたら人数をかけてボール奪ったのが、具体的な修正点か。前へ突っ込まない相手に対し、“マタドール”中村憲もなす術なく、時間の経過とともに存在感を薄めた。
よって、横浜FMは前回の後半を踏襲し、守備で主導権を握ろうというスタンスで、ダービーに臨む可能性がある。その分、攻撃時間は減るかもしれない。また、風間宏希・宏矢の兄弟を加えるなど、試合を重ね一層風間イズムが浸透した川崎Fのパスワークに、前節以上に苦戦する可能性も否定できない。
だが、横浜FMは、一発必中の“ワイルドカード”を持っている。中村俊輔だ。前節アルビレックス新潟戦では、すべてセットプレーから3アシストとまさに絶好調。今節も黄金の左足が勝敗を左右するだろう。また、ロンドンオリンピック帰りの齋藤学も注目の的だ。五輪では5試合に出場したが、3位決定戦には出場できず、ゴールという結果を残せず、「悔しい想いがある」と完全燃焼には至らなかった。そのうっ憤を復帰初戦でぶつけたい。
順位は横浜FMが5位で川崎Fが9位ながら、勝点差はわずか「3」。今節、勝敗をつける重要性をお互いよく理解しているに違いない。いざ、決着をつけようじゃないか。
以上
2012.08.17 Reported by 小林智明(インサイド)
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