前節、岡山との「陰陽ダービー」に敗れて2連敗となった鳥取と、最下位の町田にホームで敗れて6位に後退した千葉。鳥取はJ2残留、千葉はJ1昇格を目指し、ともに仕切り直しを期す一戦となる。
鳥取は26節で岐阜を下して20位に順位を上げ、JFL降格圏内から脱出したが、その後に京都と岡山に連敗。21位の富山も2連敗したため、順位こそ踏みとどまっているが、最下位の町田が1勝1分だったため、下位2チームとの勝点差が2に縮まり、追い上げられるプレッシャーを感じている。町田との直接対決となる次節を前に、少なくとも連敗は止めておきたいが、この夏に千葉から期限付き移籍で加わったFW久保裕一、DF藤本修司が、契約の問題で出場できない。出場可能となった25節以降、前線へのロングボールを収めて2列目以降の攻め上がりを促す久保、左サイドからの攻め上がりや、リスタートからの正確なキックでチャンスを作る藤本の存在は、大きな戦力アップにつながっていただけに、欠場は非常に痛い。
ただ、不在を嘆いていても始まらない。吉澤英生監督は「こういうチャンスは作ってあげられるものではない。2人が入ったことでポジションを失った選手が奮起しなければいけない試合」と位置付け、戸川健太も「新しく入る2人が自分の特徴を発揮してくれると思うし、発揮しなければいけない。代わりではなく、これを機にポジションを奪い返す気持ちでいくべき」と語る。今節で先発する2選手のプレーぶりは、チーム全体のパフォーマンスに直結する要素となるだろう。
千葉は前節、最下位の町田にホームで0―1の完封負け。序盤に決定機を作ったが先制することができず、徐々に攻めのリズムが崩れたところで後半に先制され、そのまま逃げ切られた。今回同様、ホームで0―1と敗れて連勝が6で止まった17節の岐阜戦もそうだったが、今季の千葉は、早い時間帯でのチャンスを物にできないことをきっかけに敗戦、または苦戦することが多い。攻撃の中心となる兵働昭弘をつぶされると攻めが停滞する傾向も見られ、柏から加入したリカルド・ロボも、チームにフィットし切れていない。
ただ、千葉は19節にホームで鳥取と対戦したときは、開始わずか40秒で先制点を奪い、流れを引き寄せて3―1で勝利を収めている。ほかにも同様の形に持ち込んだ試合は快勝していることを考えると、先制点が試合のカギを握ることになりそうだ。鳥取は先制されると、今季は17戦全敗、昨季からの通算も1勝1分39敗と、ほとんど勝点を取ることができていない。前述の19節は自陣での横パスをカットされ、ショートカウンターから先制点を奪われており、同様の致命的なミスが起これば、連敗を止めることは非常に難しくなるだろう。とにかく無失点の時間をできるだけ長くすることが、鳥取が勝点を取るための絶対条件と言える。
逆に千葉は粘り強く守られても、自らリズムを崩す展開は避けなければならない。F東京から復帰し、個の力で変化をつけられる谷澤達也は、すでに練習に合流しており、主力組に加わってプレーすることもあった。こう着状態を打ち破る存在として、この試合はもちろん、今後の昇格争いのキーマンとなるかもしれない。
全42節で争われる今季のJ2も、あと14試合。鳥取は力の差を覆す意地と粘り、千葉は厳しい状況をはね返す精神力を発揮し、残り3分の1の戦いにつながる勝点獲得を目指す。
以上
2012.08.17 Reported by 石倉利英
J’s GOALニュース
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