前節、昇格争いを戦っている多くのチームが足踏みしたように、8月の5試合のうち3試合を消化した現時点でも、J2は上位の混戦が続いている。6位までの勝点差が4の横浜FCはもちろん、勝点差11の水戸にとっても、まだまだチャンスは残っている状況だ。今節は、中2日の水曜日開催ということで、真夏の暑い中体力的には厳しい試合となるが、ここを勝ち抜けたチームにこそ、昇格争いの道は開かれると言って良い。前節のJ2の結果は、上位対決だけが重要なのではなく、1つ1つをタフに戦うことの重要さを教えてくれている。今節の横浜FCと水戸の対決は、過去の歴史がそうであったように、間違いなく試合終了間際まで激戦になるだろう。
横浜FCと水戸の対戦の歴史は長い。横浜FCが創立されJFLに参戦した1999年からのライバルだ。水戸は2000年に一足早くJ2に昇格したが、横浜FCがJ2に昇格した2001年からJリーグでは実に35回対戦しており、横浜FCの14勝12分9敗という結果になっている。この対決はホーム有利の傾向があり、三ツ沢(ニッパ球、三ツ沢公園陸上競技場)のホームゲームでは横浜FCの9勝6分2敗、水戸ホームでは水戸の7勝6分5敗という結果が残っている。横浜FCが三ツ沢で水戸に敗れたのは2004年10月23日まで遡る必要がある。また、三ツ沢での水戸戦は、最後まで目の離せない試合となることが多い。2011年8月7日には90+7分のラストプレーでの野崎陽介の決勝ゴールを決め、2009年9月6日には時計上で89分57秒に水戸の荒田智之が先制した後に横浜FCの中野裕太がアディショナルタイムのラストプレーで同点に持ち込み、2006年8月6日にも城彰二がアディショナルタイムに決勝点を挙げている。試合終了間際、アディショナルタイム、そしてラストプレーにドラマがあるカードなのだ。そして、8月の三ツ沢での対戦となると、上記の2006年、2011年の2回で、共に横浜FCが勝利している。横浜FCにとっては少しゲンの良い試合かもしれない。
冒頭に書いたように、真夏、そして週中の連戦ということで、体力的には厳しい中、試合を分けるのは勢い、そしてタフさになる。勢いという意味では、「勝負の8月」と位置づけ、前節(8月19日)は京都に敗れたものの、湘南、山形と昇格争いのライバルを破ってきている横浜FCには自信に裏付けられた勢いはある。京都に対して、後半にギアを入れパス回しで上回る時間を多く作ることができた。山形戦(第28節、8月12日)は後半守りきる展開だったが、京都戦では自ら勢いを取り返すアクションをできたことは大きい。一方の水戸は、前節大分相手に、85分の市川大祐、そして90+2分の吉本一謙のゴールで見事に逆転勝ちを飾った。新加入の吉本が守備で存在感を見せており、大きな勢いを付けて三ツ沢に乗り込むことになる。
そして、タフさは横浜FCの山口素弘監督の新たなキーワードだ。山形戦の記者会見で「シーズン半分折り返すときに、上(優勝)を狙うということを伝えたときに、それまでもタフに戦ってたけれども、より上をめざすにはよりタフに戦わないとということを伝えた」と振り返ったが、前進する保持というコンセプトでチームに芯を通した上で、昇格争いという実戦での厳しさで勝ち抜くタフさを付けることをチームに求めて、それが結果に繋がってきている。先の記者会見のコメントは以下のように続く。
「最後、体を付けたり、体を張ったり、これこそが本当に昇格争いのゲームだなというふうに思ってましたので、本当に集中を切らさずに、みんな歯を食いしばって、一歩、1センチ、1ミリを体を動かした」
これが、昇格争いに必要なタフさの部分。京都戦で中村充孝に決められた2点目は、堀之内聖が「2失点目はディフェンスラインとしては耐えなければいけなかった」と振り返ったように、タフさの面で悔いを残したプレーだった。この点で、もう一段レベルアップできるかが注目だ。もちろん水戸も、十分タフなチーム。それは、前節のアディショナルタイムでの逆転勝ちが証明している。このカードの見所である、終了間際、アディショナルタイムを制するのは、タフさで上回った方になる。
このカードの今シーズン1回目の対戦は、開幕戦(3月4日@Ksスタ)だった。試合の入りは、横浜FCが勢いを見せて大久保哲哉のゴールで先制したが、水戸が逆転勝ち。横浜FCはタフさを見せられずに敗戦し、その後の監督交代に繋がった。それから5ヶ月、横浜FCが積み上げたサッカーとタフさという成長を試すのに、水戸はまたとない相手。最後のホイッスルが鳴るまで死闘を続ける両チームの戦いに期待したい。
以上
2012.08.21 Reported by 松尾真一郎
J’s GOALニュース
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