大阪・長居公園にあるキンチョウスタジアムに14,336人の観衆を集めたJ1第23節、14位C大阪対5位横浜FMの一戦は、山口螢の2試合連続弾、そして、柿谷曜一朗の3戦ぶりのゴールで、C大阪が2-0と勝利。前節での悔しい逆転負けを振り払い、ホームゲームでは今季初の連勝を果たした。一方の横浜FMは16試合ぶりの黒星を喫し、順位を6位に下げた。
「しっかりと今日は自分たちのサッカーができたと思う。チーム全員で勝ちを取りたかったという気持ちがすごく強かった」(扇原貴宏)、「我々が今日はやるべきことをしっかりとやって、相手にチャンスを作らせなかったし、さらには我々の見せるべきアグレッシブな姿勢も存分に出せていた」(シンプリシオ)とC大阪のイレブンも言うように、今節はまさにC大阪の完勝だった。
山口や扇原らを中心とする積極的なプレスで流れを得たC大阪は、序盤から立て続けにチャンスを作り、柿谷、ケンペス、山口、シンプリシオらが相手ゴールを脅かす。ただし、前半は横浜FMのGK飯倉大樹のファインセーブなどもあり、なかなか得点につながらず。逆に一瞬の隙からピンチを招くこともあったが、そこをしのぎ、前半はスコアレスで折り返す。
「全体のバランスはとてもいい。前からのプレスもしっかりかけ、後ろもしっかりブロックを作れている」とC大阪のセルジオ ソアレス監督もハーフタイムで選手たちを称えたなか、臨んだ後半。ペースの落ちないC大阪は、65分、ついに均衡を破る。決めたのは、C大阪のロンドンオリンピックトリオの1人、山口。「自分が点を取って勢いづかせたいという気持ちや、自分が取って勝てればいいなと思っていた」という6番は、得意のプレスで横浜FMの左DFドゥトラからボールを奪うと、そのまま中にカットインしながら、左足を豪快に振り抜き、ホーム凱旋試合にて、C大阪サポーターの目の前で、先制点を見事にゴールネットに突き刺した。
これに続いたのは、C大阪の攻撃の要、柿谷だ。この日はシュート精度に欠くことが多かったものの、前線から献身的に走り回っていた姿勢が、77分に実を結ぶ。相手CKからのカウンターで、横浜FM齋藤学の後方へのバックパスに鋭く反応した13番は、これを奪うことに成功。そして、GKとの1対1を冷静に制した。「螢がああやって思い切ったプレーで流れを変えてくれたので、あとはチームとしてやることが決まっていたかなと思うし。あの(自ら奪った)追加点は、すごく意味のあるものになったと思う」と、柿谷。今週初めに頭を丸め、気合いを示した男が、今季6点目となる価値あるゴールを決めた。
2-0とした後も、C大阪は受けに回らず。守備陣も、第15節F東京戦以来の先発となる高橋大輔らが奮闘。その高橋や、センターバックの茂庭照幸が足をつらせて交代を強いられるほど、イレブンは走り回り続けた。終盤には横浜FMの反撃を浴びたが、最後まで集中をとぎらせず、相手を完封。ここ2試合での課題だった「リードしてからの戦い方も修正できた」(扇原)ことで、8月最後のリーグ戦を最高の形で締めくくった。
それでも、C大阪の順位は14位のまま。同日、G大阪、新潟も勝利したため、J2降格圏内である16位新潟との勝点差は2と変わらず、依然として苦しい状況は続く。「こういう戦いを続けて行ければ、勝っていける自信もあるし、これをしっかり継続することが大事」と扇原も言うように、今節のような内容を示し続けることが、C大阪が下位から脱却するためのポイントになるだろう。
逆に、横浜FMとしては、「今日はウチのチーム全体がよくない試合をした」とマルキーニョスも言うように、「結果どおりの完敗」(樋口靖洋監督)だった。「ゲームの入りから、運動量や、いわゆるアラートさ、こういったところがなかなかチームとして見えなかった」と樋口監督も振り返るように、前半から動きも重く、ミスを連発。「2失点ともウチの個人的なミス」とドゥトラも認めるように、相手の勢いに押され、自滅した。無敗記録は15でストップしてしたが、「ひとつ負けたことで、もう1度見直す、そういうきっかけになるんじゃないか」と指揮官は述べ、「連敗しないことが大事」と、次節での巻き返しを誓っていた。
以上
2012.08.26 Reported by 前田敏勝
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