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【J1:第23節 広島 vs F東京】レポート:シュートよ、何故に枠に飛ばない。広島の想いは真夏の夜に飛散。ルーカスの一発に膝を屈す。(12.08.26)

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いつも明るい元気者・石川大徳は、ずっと下を向いていた。
サポーターから叱咤が飛ぶ。
「ノリッ。顔をあげろっ!」
しかし石川は、その言葉に応えられない。青山敏弘が近づき、手で顔を覆った若者の肩を叩くと、石川は天を仰いだ。敗戦の重さを、一人で背負うかのように。
93分45秒、左サイドのファン ソッコが放った高精度クロスは飛び込んできた青山の裏から、さらに勢い込んで走り込んだ石川にピタリ。完璧にフリーとなって放ったシュートは、広島サポーターの悲鳴と共に、バーを超えた。「俺が決めていれば」。悔恨は石川の身体を包む。

だがビッグチャンスを逃したのは、石川だけではない。前半、ミキッチのクロスを青山が強烈なヘッド。高萩洋次郎もクロスを一度高く浮かし、落ち際をボレーで叩く高等技術でF東京ゴールを脅かした。後半も佐藤寿人が二つの決定的なシュートを放ち、森崎浩司のシュートも強烈。森脇良太のミドルが権田修一の手にわずかに触れてバーに当たったシーンを含め、広島は多くの決定機を創った。だが結果は無得点。放ったシュートの多くが枠をそれ、与えたゴールキックは14本を数えた。

一方のF東京は、後半初めてのチャンスで「得点」という果実を手にした。立役者はルーカスだ。
梶山陽平のパスを受けたF東京のヒーローは、まずしっかりとボールをおさめ、右側へチョンと小さく蹴った。その動きに合わせるかのように、マーカーの森脇は左足を出す。だが、ルーカスのターゲットは、その瞬間に開いた森脇の股の下。狙い通りに股下を抜けたシュートは西川周作の手が届かないコースを辿ってネットに収まった。このシュートの直前、石川直宏が斜めに走ったことで千葉和彦と森脇が釣られ、一瞬ルーカスがフリーになったことで「アイディア」を発露する余裕も生まれた。記録に残らない石川のアシストと言っていい。

森崎和幸は「後半、相手に与えたチャンスは(自分たちのミスを除けば)あのシーンのみ。与えてはならない失点だった」と指摘する一方で、こんな言葉をつないだ。
「毎試合、完封することは現実的に難しい。得点できなかったことが痛かった。そこはチーム全体として反省したい」
その責を一身に背負ったのがエース・佐藤だ。
「二度の決定機は、どちらも決めることができた。問題は全て、自分の中にある。決められなかった責任を感じる」
79分、高萩のスルーパスを呼び込むバックステップはマーカーだった高橋秀人を置き去りにしてフリーになった。90+3分、森崎浩の高精度クロスに対し、日本一と言える初速スピードによる飛び出しで二人のDFをボールウオッチャーにさせた。佐藤ならではのクオリティで決定機を創り出し、「あとは決めるだけ」と思わずにはいられないシーン。
しかし森保一監督は「寿人を責める気持ちなど、全くない」と断言する。「これまで、彼がどれほどのゴールをチームのために決めてくれたことか。チャンスを決めるという課題は、チームとして背負うべきだ」と。

F東京は広島対策として、3-4-2-1のフォーメーションを引いた。守備時には徳永悠平・椋原健太の両ワイドが最終ラインまで下がって5バックを形成し、相手のサイドアタックを封じようと試みた。だが、広島はミキッチや石川、ファンとサイドから決定機を演出。「(F東京の)守備は人数をかけていたがプレスは厳しくなかったし、守備の甘さが見えた」と森崎和が指摘したように、F東京が陣形を分厚くした中央からも高萩を中心にチャンスをつくった。「攻撃でサイドから基点をつくれなかった」とポポヴィッチ監督は語ったが、攻守にわたって新フォーメーションは機能したとは言えない。後半は広島の猛攻にさらされ、相手ミスからのカウンターしかチャンスはなかった。

だが、それでも勝利を握ったのはF東京。うまくいかなくても我慢し、集中し、身体を張って全員で広島の圧力をしのいだ。わずかなチャンスを活かしたルーカスの個人能力も見事だったが、勝利を求めた全員の強い気持ちがピッチで表現されたことが結果につながった。

広島も最後まで諦めずに闘い「あわや同点」という場面を何度もつくった。2万3656人の大声援がピッチを覆い、両チームの激闘を加速させた。結果はF東京に歓喜、広島に痛恨。明暗は分かれたが、彼らが見せた闘志のぶつかり合いがサッカーの魅力を真夏の夜空に発散させたことは、間違いのない事実である。

以上

2012.08.26 Reported by 中野和也
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