3連戦の最後の試合ということで、愛媛も岐阜も体のキレや判断のスピードに欠ける場面が目立ってしまった。ともに9試合勝てていないという状況も、『勝ちたい』というよりも『負けたくない』という気持ちを先立たせる要因になってしまっていたように思う。愛媛は攻めてもリスクを負えず、岐阜はブロックを作って守勢に回る場面が多くなってしまった。どちらも抱えた課題を解決するまでには至らず、宿題は持ち越された。
まず、連戦と移動の疲れから岐阜は全体的に運動量も少なかった。その中で、愛媛は右サイドの関根永悟が度々攻撃に参加してきたことで岐阜はこのサイドを中心に防戦に回ってしまった。本来、岐阜としては染谷一樹の突破力を生かしてこの左サイドから攻めたかったところだが、カウンターを繰り出す場面もほとんど作れなかった。ラインもなかなか押し上げることができず、ロングボールを佐藤洸一に当てても、そのセカンドボールは愛媛が拾う回数が増えた。
しかし、対する愛媛もボールを動かすものの、なかなかスピードアップができない。岐阜が高い位置からプレッシャーをかけてこなかったこともあり、最終ラインからビルドアップをすることはできた。ただ、しっかりとブロックを構える岐阜を崩すことができない。前線が動き出しても岐阜の最終ラインが整った状況になっていてラストパスを入れられず、ゴールへ向かうボールが入らなかった。唯一可能性を感じたのは右サイドを駆け上がる関根永悟の突破だが、それも岐阜の守備を混乱に陥れるまでには至らなかった。
そして、最終的にはミスからボールを失うという悪循環。愛媛としては幸いにも、岐阜には攻撃に転じるパワーがなかったことでそのミスからピンチを迎えることはなかったが、試合は完全に膠着した状況になってしまった。
そして、愛媛にまだ運がないことを示すかのようなプレーだったのが後半15分のコーナーキック。園田拓也がタイミングよく飛び込んだものの、シュートは味方の伊東俊に当たってしまった。そのこぼれ球は村上巧が思い切りよくミドルシュートを放ったが、これは岐阜のGK時久省吾のファインセーブに阻まれた。どちらのチームも決定打を繰り出せないまま、結局、試合は最後まで動きがなくスコアレスドローに終わった。
しかし、両チームとも未勝利試合が10試合に延びてしまったが、収穫がないわけではなかった。岐阜に関しては、2試合続けての完封。攻撃に関しては形を作れず課題を持ち越してしまったが、守備の落ち着きは成績が安定するための必須条件。続けて結果を出すことで自信を深められただろう。
一方の愛媛に関しても5月20日の水戸戦以来、実に16試合ぶりの完封試合。こちらも、数字として結果が出たことはポジティブに考えたい。ただ、先に挙げたコーナーキック以外にも、ちぐはぐなプレーが散見されたことは確か。勝利が遠く、焦りや慎重な気持ちが各選手の間で入り混じっている状態がプレーにも表れてしまっている。この状態を抜け出すためには勝利をつかみ取るより他はない。試合後、選手たちは下を向いてしまっていたが、とにかく今は気持ちを切り替えること。勝利を目指し、チームとして向かうべき方向をトレーニングですり合せていって欲しい。
以上
2012.08.27 Reported by 近藤義博
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