徳島の小林伸二監督は「終わってみると良い時間帯に点が取れた」と振り返った。前半終了間際に先制し、後半終了間際に2点を追加してダメ押し。徳島が過去3戦全勝、しかも1点も奪われていないという相性の良い鳥取を、効果的な3得点で下した
徳島は立ち上がりから前線にボールを集め、ラインを下げてはね返そうとする鳥取を尻目に、セカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛けた。しかし、2分の上里一将のミドルシュートがクロスバーに当たるなど、良い形を作りながらも先制できず。その後はミスが増えてペースダウンし、鳥取にサイドを崩されて危ない場面を迎えるなど、徐々に互角の展開となっていった。
さらに38分には、センターバックの橋内優也が、かねてから太ももを痛めていた影響で、西嶋弘之との交代で退いた。近年、主にサイドバックでプレーしている西嶋は、「ハシ(橋内)が危ない、ということは昨日、一昨日から分かっていた」と語る一方で、「センターバックは2年半くらいやっていなかったので、練習も、ほぼできていなかった」というスクランブル出場。ところが結果的に、この交代が“ケガの功名”となる。
前半終了間際の45分、徳島は西嶋の出場後初めてとなるCKのチャンスを得る。鳥取はそれまでセットプレーの守備では、戸川健太=ジオゴ、水本勝成=福元洋平、尾崎瑛一郎=橋内優也というマッチアップにしていたが、西嶋の交代出場に伴い、戸川=西嶋、水本=ジオゴ、尾崎=福元に変更していた。その様子に西嶋は「相手が、僕を誰が見るのか、迷っていたところがあった」と、鳥取の混乱を感じ取っていたという。太田圭輔が左CKを蹴る瞬間、西嶋は福元と、福元をマークしていた尾崎をうまく利用して戸川のマークを振り切り、ファーサイドに流れてフリーに。ヘッドでたたきつけ、先制点を奪った。
前々節で町田に敗れ、前節は湘南と引き分けていた徳島にとっては、3試合ぶりの得点。「うまくリスタートから点を取ることができた」と小林監督も振り返ったように、なかなか得点できずに嫌なムードになりかけていた徳島にとっては、非常に大きなゴールとなった。一方の鳥取にとっては、尾崎が「最初の失点がすべてだった。本当にもったいなかった」と振り返った通り、痛恨の失点。この前半終了間際の攻防が結果的に、勝敗を分けるポイントになった。
鳥取は前回のホームゲームとなった29節で、千葉に逆転勝ちしている。後半の立ち上がり、徳島の青山準の決定機をGK小針清允の好セーブで防ぐと、53分、千葉戦の再現を狙える瞬間が訪れた。徳島が先制点を決めたのと同じ左CKを藤本修司が蹴り、中央では久保裕一が完全なフリー。鳥取にとっては、この日最大の決定機だったが、ひねり過ぎたヘッドは大きく右に外れ、同点とはならなかった。
それでも勢いづいた鳥取は、久保にボールを集めて攻略にかかるが、徳島は粘り強い守備で対抗。西嶋と福元の急造センターバックも連係良く中央を固めて球際で譲らず、久保のシュートもしっかりブロックするなど、良い形を作らせなかった。結局、53分のシーン以降は、GKオ スンフンも「今日はあまりボールが来なかった」と語ったように、決定機を与えなかった。
87分には、オーバーラップした平島崇が水本をかわしてセンタリングを送り、ファーサイドで待っていたジオゴが詰めて追加点を奪った。これで勝負は決し、終了直前のアディショナルタイムには西嶋が、今度は上里の右CKに右足で合わせて、「プロでは初めて」という1試合2得点目を奪い、3―0とした。
徳島は、J1昇格が可能になる6位以内に希望をつなぐ3試合ぶりの勝利で12位に浮上。その6位との勝点差は13だが、西嶋は「目標をあきらめたら、そこで終わり。最初の目標は昇格だし、去年、悔しい思いをしている分、そこは最後まで絶対にあきらめたくない」と語る。そのためには下位チームにしっかり勝つことだけでなく、上位からも勝利をもぎ取ることが重要。山形、栃木、(14位の水戸を挟んで)横浜FC、京都、甲府と、上位相手が多い次節以降の戦いに向けて、大いにはずみがつきそうな勝利となった。
鳥取は逆に3試合ぶりの敗戦。岐阜、町田、富山の下位3チームがいずれも勝てなかったため、19位は維持したが、引き分けた20位の岐阜との勝点差は1に縮まった。前々節は千葉に逆転勝ちしたものの、先制されると勝点獲得が遠のく現状は変わっていない。できるだけ長く無失点でしのぐことが、目の前の試合での勝点獲得と、その先にある残留に向けて、最も重要であることを、あらためて強く認識させられる敗戦となった。
以上
2012.08.27 Reported by 石倉利英
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