得点ランク頂上決戦となったこの試合、最初に存在感を見せたのは広島のエース・佐藤寿人だった。試合開始わずか1分、ロングパスのこぼれ球を拾うとミドルレンジから迷うことなく右足を振り抜きゴールを狙う。序盤からアグレッシブに仕掛け、立て続けにCKを獲得したことが後に実を結ぶことになる。
勝点43の首位で今節を迎えた広島は前節より2人を入れ替えてアウェイゲームに臨んだ。前節・FC東京戦で負傷(左ひざ内側広筋損傷)し、しばらく戦列を離れることになったミキッチに代わり、ファン ソッコを右ワイドに起用。また、ここしばらく先発出場を続けていた石原直樹に代わり、今季リーグ初先発となる森?浩司を2シャドーの一角に置く布陣を採用してきた。結果的にこの起用が当たったのが20分。森?浩司のCKを佐藤寿人が頭で合わせ、広島が先制点を奪う。エースの今季18点目のゴールはセットプレーから生まれた。
この直前に山田大記がポスト直撃のシュートを放っていた磐田にとっては悔やまれる失点となったが、同点のチャンスはすぐにやってくる。24分、駒野友一のCKを頭で合わせたのは前田遼一。ゴール前でフリーとなるビッグチャンスだったが、枠内にシュートを飛ばすことができず、スタンドからは悲鳴が漏れた。だが、同じく日本代表に名を連ねる駒野友一が黙ってはいなかった。34分、自らのドリブル突破でFKを得るとゴール右からキック。右足で正確にコントロールされたボールは広島・西川周作の手をすり抜けゴールへ一直線。背番号5の一撃で磐田がゲームを振り出しに戻した。
広島にとって手痛いアクシデントとなったのは40分のボランチ・青山敏弘の負傷退場(腰痛)である。今季ここまで全てのリーグ戦に先発し、チームの屋台骨として攻守で存在感を見せていた背番号6を欠いた広島は森?浩司をボランチにスライドさせ、前線のシャドーに石原直樹を投入。試合途中での配置転換を強いられた広島・森保一監督は「青山をけがするまではいろいろな攻撃のバリエーションを作れていたし、CKから上手く先制できた」とゲームを振り返る。71分に高萩洋次郎が惜しいヘディングシュートを放つなどビッグチャンスも作ったが、終わってみれば勝点1。仙台が勝利したため2位に後退することになったが、「アウェイの難しいゲームで勝点1を取れたことを前向きに考えていきたい」(佐藤寿人)とチームはポジティブなムードで会場を後にした。
一方、勝点3をより欲していたのは磐田サイドである。これで首位との勝点差は『7』に広がった。試合後、ロッカールームへ引き揚げてきた選手たちは悔しさを隠せなかったという。中でも人一倍悔しがっていたのはやはりエースだろう。試合後は「残念です」と多くを語らずスタジアムを後にした。前半のビッグチャンスを決めきれなかった無念は残りのシーズンで晴らすしかない。それがエースの宿命である。「悔しさを忘れずに日々のトレーニングをやっていくしかないし、そこでさらに突き詰めてやっていきたい」とゲームを振り返ったのは磐田・森下仁監督。残り10試合、地道に勝点を積み重ねていくしかない。
上位決戦は互いに勝点1を分け合う結果となったが、両エースの明暗ははっきりと分かれた。ヤマハでの激闘はエースが背負いものの大きさをまざまざと見せつけた90分でもあった。
以上
2012.09.02 Reported by 南間健治
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