「(バトル オブ 九州で)2年連続1位になりたい。偶然じゃないと思わせたいし、サポーターも1位になることで喜んでもらえると思う」。キャプテン・木村祐志が熱っぽく話した。前週は北九州に来て初めて累積警告のために試合を外から眺め、改めて北九州の志向するサッカーを脳裏に焼き付けた。「一人一人、やることを理解できている。これからも続けてやっていくことが大事」。2年連続の九州の頂点へ、そしてリーグ6位以内へ、重要な9月緒戦がまもなく始まる。
8月を3勝2分の無敗で終えた北九州。27節(8/5)終了時点では15位まで下がっていた順位はじわりじわりと浮上し、現時点で11位につけている。前節の東京V戦では出場停止選手が出るなど前の試合から4人が入れ替わる中、ゲームの主導権を握り難敵を2−0で下した。「誰が出てもお互いの特徴が分かっている」と池元友樹。試合に出続ける選手だけでなく、選手全員に浸透している『戦術理解』によって、北九州のサッカーはさらに深化している。
夏場の好調。指揮官は「キャンプから積み上げてきたものが8月の夏場になると、暑い、痛い、疲れたとネガティブな言葉が出がちになるが、選手は言い訳せずに戦った」と分析する。三浦泰年監督が深化の可能性を与えている北九州サッカーは、決して簡単なものではない。持ち合わせるべき技術、メンタル、戦術を理解し実践する能力はハイレベルである必要があり、開幕戦から100パーセントを出すのは難しい。昨年がそうであったように、新旧の選手が同じモチベーション、同じ距離感を得て、ひとつの戦術に収まるには時間は要する。今年も遅咲きにはなったかもしれないが、誰もが「ネガティブな言葉」を出したくなる時期を耐え、今季の北九州サッカーは花開いた。攻撃的で魅惑的で、岡山戦後の三浦監督の言葉を引用すれば「エレガントなサッカー」をいよいよ展開。「上位に入れるチャンスはまだある。6位以内を目指していきたい」と端戸仁。好調を維持することは、深化、継続に挑戦する心意気に重なり、最終順位へと繋がっていく。ダービーで幕を開く9月はまさしく勝負どころになる。
ところで、九州内のJ2・4チームの対戦を「バトル オブ 九州」と呼んでいるが、現在の状況を整理しておきたい。
消化試合数に差があるのが残念ではあるが、1位は勝点7で北九州(2勝1分2敗)と福岡(2勝1分1敗)が並び、勝点5の大分(1勝2分1敗)、勝点2の熊本(0勝2分1敗)と続く。どのチームにも優勝のチャンスがある状況だ。
ただ北九州はこの熊本戦がバトル オブ 九州の最終戦で、一足早くダービーを終える。ここで勝点を取り逃がすと2年連続の優勝は遠のいてしまうだけに、冒頭の木村はもちろん、新井涼平も「1位で終えておきたい」と意気込む。ダービーで今季はまだ勝利がない熊本も、前節は1万人以上が詰めかけたホームゲームで3−0で快勝し、勢いをつけて本城に乗り込む。
パスサッカーの北九州は、いくつかのオプションがある中で「ゴールに直結するパスをと思っているし、そういう中でも(得点を)狙っていきたい」と話す端戸仁をトップ下に置く布陣を敷き、バイタルエリアを効果的に使って決定的な場面を作り出している。このポジションに安田晃大が入っても攻守の切り替えに安定感は増すだろう。いくつかのオプションを考えながらの起用となるだろうが、トップ下を軸に、2トップ、中盤やサイドバックの押し上げから前線にボールを溜め、決定機を作り続けることが結果へと直結する。「繋いでいくのはベースとして、そこから前で持ち、もう少し後ろの選手も絡めればもっと攻撃的になれるだろう」とは新井。今節はリスク管理でも貢献度合いの高い木村が戻ってくることで、前節以上に人数を割いた攻撃が可能となりそうだ。
ちなみに端戸は熊本との前回対戦(6月17日)で2ゴール。8月19日の福岡とのダービーでも2ゴールと、バトル オブ 九州に強い。端戸は「たまたまですよ」と笑うが、今節でもアシストに、シュートに、目の離せない選手であることに違いない。
片や熊本はその北九州の攻撃に対して、持ち前の堅守で対抗することになる。熊本も直近4試合は2勝2分で負けなし。この間の失点はわずかに1と守備が堅い。堅守は重心の位置や出足の遅さとトレードオフの関係になることもあるが、攻撃への切り替えを早め、長いボールを入れながら2枚看板の武富孝介、齊藤和樹に当てることでもたつきを解消。確実に結果を残してきている。今節も堅守で相手の攻撃をはねのけながら、間延びしたエリア、間延びする時間を使ってゴールを狙っていきたい。
底からサッカーを作る北九州に対して、熊本が前に出てくるか、ブロックを築くかで、中盤の攻防の様相は変わるだろう。両チームの現況を考えれば、中盤を北九州がある程度は支配しブロックを前に揺さぶりを掛ける展開になる可能性は高い。ただ、ダービーが醸し出す空気感は互いのサッカーに自信を与え、選手を戦士へと変えてくれるだろう。試合後に振り返ればどちらかに流れのあるゲームだったとしても、時計が回っている間は熱い攻防が繰り広げられることを期待したい。
追い求めるサッカーをぶつけて、追い求める位置へ。深化と継続の秋の陣が始まる。
以上
2012.09.01 Reported by 上田真之介
J’s GOALニュース
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