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【J2:第33節 鳥取 vs 山形】レポート:鳥取が、またもJ1昇格を狙う相手から粘りの勝利。山形は手痛い取りこぼしで5位に後退。(12.09.15)

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後半のアディショナルタイム3分間が過ぎて試合終了のホイッスルが鳴ると、鳥取の戸川健太、内間安路の両センターバック、GK小針清允、MF三浦旭人は、ペナルティエリア内で抱き合って勝利の喜びを分かち合った。押し込まれながらも粘り強く守った末の鳥取の勝利は、29節以来。そのときもホームで千葉を下しており、またしてもJ1昇格を狙うチームをホームで下して、貴重な勝点3を手にした。

立ち上がりから山形がセットプレーから惜しいシュートを放つなど、押し気味に進めていたが、16分に先制したのは鳥取だった。相手の右サイドからの攻めをチェイシングで押し返すと、山形の西河翔吾が自陣の誰もいないところにバックパスを送るミス。これを拾った奥山泰裕のドリブルが大きくなり、前に出たGK清水健太に止められるかと思われたが、両者が交錯した後、ボールは再び奥山の足元へ。「ゴールにカバーがいるのは分かったんですけど、運ぶところでミスをしているし、思い切って、強いシュートを打てた」という奥山のシュートが、前田和哉のカバーの及ばないところを突き、ネットを揺らした。奥山にとっては、これがJリーグ初ゴールだった。

山形も直後から反撃に転じ、20分にブランキーニョが強烈な右足ミドルを放ったが、クロスバーに当たって決まらず。22分には左右に大きく振る展開から、またしてもゴール前でブランキーニョがシュートを放ったが、これも右に外れた。両サイドが高い位置を取って、なおも攻め込む山形は24分にも、右サイドバックの小林亮のセンタリングを、左サイドバックの石川竜也が中央からヘッドで狙ったが、これもGK小針の好セーブに遭って決まらない。
それでも30分、左CKのこぼれ球を拾ってセカンドチャンスにつなげ、小林の送ったセンタリングを、フリーになっていた林陵平がヘッドで決めて同点。前半のうちに追い付いたことは、山形にとっては大きいと思われた。
勢いに乗る山形は40分、宮阪政樹が約45メートルの距離からロングシュート。強い追い風に乗ったボールはゴールの枠を捉えたが、クロスバーに当たって下にはね返り、GK小針の体に当たったものの、ゴール内には入らずにマウスの外へ。鳥取のファン・サポーターからも称賛の拍手が起こった、このシュートが決まっていれば、流れは完全に山形のものとなっていたはずだが、ほんの少しの運に見放され、結局前半は1―1で終わった。

後半も立ち上がりから山形が押し気味に進め、48分には永田亮太がブランキーニョとのパス交換から狙ったが、前に出たGK小針が体に当ててセーブ。その後、鳥取も何度か攻め込んだものの、山形はボール支配率で上回り、サイドや中央など、さまざまなエリアから攻略を試みた。しかし、4―3―3の両ウイングも引き気味に構え、両サイドのスペースを消して対抗する鳥取の守備を、なかなか崩すことができない。前半から何度も良い形を作ったセットプレーでも、75分にブランキーニョのFKから前田がゴール前で押し込んでネットを揺らしたが、オフサイドの判定でノーゴールとなった。

この後、77分に鳥取が勝ち越し点を奪う。ルーズボールの奪い合いから、鳥取がカウンター気味に左サイドから攻め込むと、64分から交代で出場し、中盤に落ち着きをもたらしていた吉野智行がキープ。タッチライン際には美尾敦が張り出していたが、一気に内側にコースを変えてダッシュしたところに、吉野のパスがピタリと合った。
美尾はスピードに乗ってトラップし、内側にカットインしたが、ボールは利き足の左足ではなく、右足の前。それでも思い切り良く右足を振り抜いたシュートは、鮮やかに逆サイドに突き刺さった。「トモ(吉野)がタメを作ってくれたので、相手と駆け引きができた」と振り返る美尾は、プロになってからは、たぶん3点目くらい」という右足でのゴールだった。

その後は山形が怒とうの反撃を見せ、両サイドからのセンタリングで攻略を目指したが、自陣に引いてゴール前に人数を割き、泥臭く守る鳥取の守りを崩せない。84分には萬代宏樹を投入して中央に高さを加え、アディショナルタイムには前線へのロングボールを林がヘッドでつなぎ、エリア内での相手のクリアのこぼれ球が萬代の目の前に落ちたが、シュートは鳥取の三浦修が体を投げ出してブロック。結局、鳥取が2―1で逃げ切って勝利を手にした。

山形は5試合ぶりの黒星で5位に後退。前田が「負けてはならない相手だったと思うし、負けられない戦いだったので、本当に悔しい」と振り返った通り、アウェイとはいえ、下位相手に痛い取りこぼしとなった。奥野僚右監督は「トータルで見て相手が上回ったということが、この結果だと思います。少しずつのプレー、すべてにおいて相手が上回ったので、ガイナーレが得点した。勝利への執着心もそうですし、気迫の部分も大きい。少しずつ、相手が上回ったという認識です」と振り返ったが、多彩な攻めで多くのチャンスを作りながらも、ゴール前でのわずかなミスや、相手の粘りの前に得点が奪えずに勝点を落とす、最近の試合によく見られるパターンでの敗戦となった。
試合後の会見に少し遅れて現れた奥野監督は、「この結果をしっかり受け止めて、3日後に向けて気持ちを切り替えるよう選手には伝えました」と、会見に来る前、試合後のロッカールームで次節への準備を始めていた。その次節はホームで、J1昇格争いのライバルである京都との直接対決。敗戦を引きずらずに踏みとどまることができるか、正念場の戦いとなりそうだ。

一方、連敗を2で止めて4試合ぶりの勝利を収めた鳥取は、富山の勝利もあり、引き分け以下なら21位に後退していたところを、逆に19位に順位を上げる大きな勝利となった。とはいえ、今後も残り9試合、J2残留を懸けた厳しい争いが続くことは間違いない。次節はアウェイで首位の甲府と対戦。吉澤英生監督が「ここで勝って、次につなげられるか、(残留争いから)抜け出せるかどうか。今日は喜んで、明日の練習のときには、切り替えられているようにもっていきたいと思います」と語ったように、鳥取も勝ったことで、次節以降、さらにJ2残留につなげていくことの重要性を、あらためて感じさせられる一戦となった。

以上

2012.09.15 Reported by 石倉利英
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