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【J2:第33節 栃木 vs 徳島】レポート:徳島は逃げ切りに失敗。勝点1を拾った栃木は最低限の結果を残した。終盤戦での粘り腰は大きな収穫だ。(12.09.15)

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滴り落ちる汗を手で拭いながら、杉本真は勝点1をこう解釈した。
「チャンスがあっただけに勝ち切れなかったのは悔しい」
先制されながらも自らのゴールで追い付き、その後も引き離すチャンスを作れたのだから、当然ながら勝点1に不満は残る。相手が下位に位置する徳島ならば尚更だ。しかし、終わりが見えて来たリーグ戦で重要なのは負けないこと、つまり着実に勝点を積み重ねていくことである。自動昇格圏内の2位・湘南との勝点差は10に拡がったが、逆にプレーオフ圏内の6位・京都との差は2に縮まった。まずは6位以内を目指す栃木にとって最低限の結果を残せたと言える。赤井秀行は言う。
「これまでは早い時間帯に失点して気持ちが落ちる部分があったけど、今は落ち着いて試合を運べるし、今日は2点目を狙えるところまで行けていた。悲観する試合ではない」
勝点1を拾ったことをポジティブに捉え、中2日で挑む次の岐阜戦に向けて気持ちを切り替えたい。

「あそこでだいぶ収められたし、ヘディングも全然勝てなかったので、そこで相手にリズムを取られたのかなという部分はある」
宇佐美宏和が悔しさを滲ませたのは、ドウグラスへの対応だ。徳島は長身FWの高さを活かしながら主導権を握った。一方、セカンドボールが拾えずに後手を踏んだ栃木。廣瀬浩二と佐々木竜太が果敢にシュート放ち、強引に流れを引き戻しにかかるが思うに任せない。松田浩監督がポイントのひとつに挙げていた「ボールの失い方と奪われ方」が悪かったことも、リズムを掴みきれなかった一因となった。苦しい展開が続いたが、25分に佐々木が西嶋弘之からボールを奪い、ドリブルシュートで決定機を作ったあたりから潮目は変わる。ようやく落ち着きを取り戻し、ボールが回り始めた。だが、ドウグラスの脅威は薄れない。終盤にはFKからポスト直撃のヘディングシュートを食らってしまう。

辛くも窮地を脱した栃木だが、後半開始早々の2分に先手を取られてしまう。それも警戒していたセットプレーで。CKからドウグラスの折り返しを、「こぼれ球を狙おうというのは前半から気にしてやっていた」衛藤裕がねじ込んで徳島が先制。その後も徳島が攻勢に立ったが、GK武田博行が好セーブで追加点を許さずに踏ん張ると、松田監督の交代カードが奏功する。62分に登場した杉本が同点弾を突き刺したのは、そのわずか3分後。右サイドから廣瀬が上げたクロスに対し、絶妙のタイミングでニアサイドに潜り込み、右足のボレーでゴールネットを揺らした。杉本の2試合連続ゴールで振り出しに戻した栃木が一気呵成に攻め立てれば、徳島も勝利への執念を見せて巻き返す。最終盤に向けて試合はヒートアップしたが、両者ともゴールを得るには幾分か冷静さと決定力が足りなかった。

前節の山形戦に引き続き、いい試合をしながらも勝利は遠かった徳島。「最近の傾向として点は取れるのですが、点を取られてしまっている」と小林伸二監督は嘆く一方で、「チームはかなり変化してきている」と手応えも口にしている。衛藤の言葉を借りれば、「前期のようにサッカーをやれていないなという試合運びではなく、自分達が主導権を取れてやれている」。勝点1だけではなく、自信も手に入れた。あとは、リード後の試合運びを修正し、ゲームコントロールができるようになれば、今度こそホームのサポーターとともに歓喜を分かち合えるはずだ。上位との連戦で得た収穫を、中2日で迎える水戸戦に活かしたい。

残り9試合で問われるのは総合力。そう考えると、途中出場の杉本が結果を残したことは好材料だと言える。杉本が結果を残せば、高木和正も菊岡拓朗もうかうかしていられなくなる。互いを高め合うことで更なるレベルアップが望める。最後までチーム内で競争原理が働いていることが、松田監督の理想。サバイバルが続けば、自ずと選手層は厚くなる。選手層が厚くなれば、必然的にチーム力は上がる。最後の最後まで成長を止めなければ、欲しいモノは必ず手に入れられるはずだ。残り9試合、上だけを向いて戦い抜きたい。

以上

2012.09.15 Reported by 大塚秀毅
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