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【J2:第34節 横浜FC vs 松本】プレビュー:鋭いカウンターを持つ松本は間違いなく難敵。横浜FCにとって、昇格へのタフさが問われる一戦(12.09.16)

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今節対戦する松本は、横浜FCにとって昇格に向けた残り9試合で一番の「難敵」になるかもしれない。もちろん、大分、東京Vといった上位との直接対決のほうが「強敵」なのかもしれないが、ポゼッションスタイルのチームを数多く破っていった隙のない松本スタイルは、間違いなくやりにくい部類の対戦相手である。そして、後半戦12試合で勝点20を挙げ、京都と東京Vから勝点3を、湘南、山形からも勝点1を奪っている。まさに昇り龍とも言える勢いは本物。横浜FCにとっては、その松本に勝利できるどうかが、目標である昇格や優勝に値するかどうかの試金石となる。

前節の町田戦(9月14日)において、カウンター攻撃を見事に炸裂させて3-0の勝利を収めた後、反町康治監督は「ヘタフェがバルセロナに勝ったような試合」と称した。実際には、翌日の9月15日にヘタフェで行われた同カードはバルセロナの勝利で終わったが、ポゼッションスタイルを持つ町田に対して冷静にカウンターを狙い勝利を収めたことについて、してやったりという感想を述べた。全員がタスクを怠ることがない守備のハードワークからペースを掴み、セットプレー、そしてカウンターのチャンスをモノにしていく戦い方は見事だった。そして、その戦い方がチームとして統一されているところに強さを感じさせる勝利だった。
その反町監督が今節の対戦相手である横浜FCを称して「今度はマドリーと戦えるので楽しみにしています」とレアル・マドリードになぞらえているが、ポゼッションを基調とする相手に町田戦と同様の展開を狙っているのは明らかだ。実際に8月26日に行われたレアル・マドリード戦でヘタフェは2-1で勝利した。ゲームはほぼレアル・マドリードが支配した中で、ヘタフェが後半カウンターを決めて逆転勝利。6位との勝点差11で昇格への望みを残す松本は、ヘタフェのように虎視眈々と勝利を狙う。

その松本を迎え撃つ横浜FCは、ベースとなる「前進する保持」はぶれずにキープしながらも、難しい試合をタフさで乗り切る試合が続いている。前半戦で6連勝していた時のように、内容でも圧倒して勝利するという試合は減ってきている。これは8月に上位対決が多かったという事に加え、相手の研究が進んでいることが大きな要因であるが、逆にそういうプレッシャーが掛かる難しい試合で結果を残す力を付けてきた証拠でもある。
前節の愛媛戦も、9位(横浜FC)と18位(愛媛)の対戦であったがシュート数は横浜FCの5本に対して、愛媛は16本。特に、田原豊を怪我で交代させざるを得なかった前半は、うまく選手間の距離感を調整できずに愛媛に押し込まれる展開となった。一方で、そのような展開でも選手が守備でのハードワークを惜しまず前半を無失点で終えたことで、後半には自らのサッカーを取り戻した。その二枚腰、三枚腰とも言える自己修復能力が、タフさの源になっている。愛媛戦だけでなく、9月8日に行われた天皇杯2回戦で、栃木から延長後半に先制点を奪って勝利したのも、このタフさの賜物だ。今回の難敵・松本戦での勝利の鍵もやはり、このタフさということになるだろう。
さらに、トップスコアラーである大久保哲哉が愛媛戦で第28節・山形戦以降5試合ぶりのゴールを奪ったのも明るい材料。「本人にとって非常に欲しかったゴールだと思うし、チームとしても彼のゴールは波に乗ることができるので、非常に大きなゴールだった」という山口素弘監督の言葉の通り、大久保のゴールで波に乗りたい試合となる。

冒頭に書いた通り、ポゼッションが身上の横浜FCとカウンターを狙う松本の構図が、そのまま展開されるようであれば、横浜FCにとって悪いボールの奪われ方は絶対に避ける必要があり、いわゆるリスクマネージメントに細心の注意を払わないといけない。松本も、カウンターを狙うあまり守備の位置を低くしすぎると、押し込まれて勢いを出せなくなってしまう。その意味で、お互いに相手の良さを消しながら、細かい隙を狙っていく展開になる。この試合のキックオフは13:00で、J2のリーグ戦では久しぶりのデーゲームとなる。原稿執筆時点では曇り時々雨で最高気温30度の予想。9日前の天皇杯で経験済みとは言え、高い気温・湿度が中2日で試合を迎える選手にとって厳しいコンディションになるのは間違いない。まさにタフさが求められる試合となる。

山口監督、反町監督は、横浜フリューゲルス時代、アルビレックス新潟時代など、長い縁を持つ間柄。直接対戦していない試合にも関わらず、試合後の記者会見で反町監督から山口監督の名前が出るなど、お互いを非常に意識している。「ここから総合力というか、相手を分析して力強くゲームに入ることが出来るか」と、反町監督は前節後にコメントを残している。一方の山口監督は、反町監督が横浜FCをレアル・マドリードに例えたことについて「僕をモウリーニョと思っているのかな。ありがたいね」。両監督が多くの思い出を持つニッパツ三ツ沢球技場では、前述のような試合展開を頭に、緻密な分析に基づいた意地の駆け引きが見られるはずだ。

以上

2012.09.16 Reported by 松尾真一郎
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