前節・松本戦をドローで終えたことにより、徳島の今季におけるJ1昇格の可能性は完全に消滅してしまった。もちろんすでに何節も前からかなり厳しい状況に立たされてはいたのだが、とは言えもう僅かな光も残らない可能性ゼロの宣告はやはり例えようがないほどの悲しみ。チームの受けたショックが図り知れない大きさであったことは容易に想像できる。
しかし、その悲しみを引きずってはこの2012シーズンが苦いだけのものになってしまう。目標への道が閉ざされたという結果は他でもない自分たちの戦いによって呼び出されたものなのだから、選手たちはプロフェッショナルらしく責任を持ってそれを受け止め、ならば次にすべきことは何かと考えて意識と集中の向きを切り替えなくては。
ただその「すべきこと」の答えは思案を巡らすまでもないだろう。今季も支え続けてくれたファン・サポーターへの恩返しとして、残り5試合でひとつでも多くの勝利を挙げること─。それ以外にはないはずで、だからこそ今節のチームには青と緑の戦士としての強い気持ちが相当に問われよう。
また、迎える相手を考えると、精神的部分の重要性はさらに高まってくる。なぜなら対するはJFL降格の危機を脱しようと必死の戦いを続けている富山。全員が全てのプレーに魂を込め、絶対負けないという想いを強烈に見せている集団だ。しかもそうした鬼気迫るプレーによって、実際最近の富山は危険ゾーン脱出に必要な勝点3を非常に高い確率で手にしてきている。前節も安間貴義監督が「最高の答えを選手たちが持って来てくれたのではないかと思います」と振り返る頑張りで上位・京都を降したが、9月に入ってからの7戦は実に5勝1分1敗。チームは強固な一枚岩となり、目指すJ2残留に向かって猛進しているのである。
それだけに徳島は一瞬足りとも気持ちを弱められない。もし少しでもそうしたところを見せようものならきっと彼らの勢いに飲み込まれるに違いないし、それをキッカケに一旦受けの立場になってしまったならその状況をひっくり返すのはかなり難しいこととなろう。
そこで徳島としては、90分通して強い気持ちを維持し続けることが求められるし、プレーの部分においては特にセカンドボールへの反応に徹底してそれを体現していかなければならない。それを拾えるか拾えないかによってピッチ上のチームに流れる空気は丸っきり違ってくるのだから。
言うまでもなくセカンドボールの多くを我がものと出来れば波状的な展開に繋がり戦況を優位にもっていける。しかし、そうしたゲーム内容的な面だけでなく、その行方は選手たちのメンタルに大きな影響を与えるもの。それを自分たちの方へ向かせられればひとりひとりには前向きな意識がいっそう増し、そこから積極性やいい大胆さも生まれてくると言えよう。そしてセカンドボールの支配によって得るゲームの中での自信は、上質の潤滑油ともなり、組織全体のプレーにも好循環をもたらしてくれるのである。
ハイレベルな技術・戦術がぶつかり合うプロ同士の戦いと言っても、最後に勝負を分かつ最大要素は胸の中に燃える炎の大きさであろう。気持ちの強い方が勝つ。この一戦については特にそう言って間違いない。
「J1昇格という目標は達成出来なかったが、それが今の僕たちの現状。そのことをしっかりと受け止めた上で、今季の残り5戦では意地を見せて戦っていきたい」という福元洋平の言葉からは偽らざる決意が伝わって来た。徳島は悲しみを振り払い、眼前の戦いへもう一度全てを注ぎ込んで臨む。
以上
2012.10.20 Reported by 松下英樹
J’s GOALニュース
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