取って、取られて、また取って。2位の仙台と3位の浦和の上位直接対決となったこの一戦は、最終的に3-2の「打ち合い」となった。第15節に対戦したときには互いに慎重な試合展開のまま0-0で終わったが、今回の顔合わせではやはりこの終盤戦で首位の広島を追いかける者同士、勝点1ではなくあくまでも3を狙うために攻撃をしかけ合った。その結果がこの派手なスコアである。
ただしこの3-2は、逆転に次ぐ逆転というシーソーゲームではない。「自分たちが常にリードしていて、点を取られても落ち着いていました」と太田吉彰が試合後に振り返ったように、浦和がゴールで追いすがることが2度あったものの、仙台が追いつくことも許さないまま逃げ切ったゲームだった。
そのトータルでの展開を考えてみても、開始から2分で決まった仙台の先制点は重かった。「いい守備からいい攻撃を」(手倉森誠監督)というのが仙台の戦前のゲームプランだったそうだが、それは最初から守りに入ることのみにあらず。ボールを持ったら即座に攻撃のスイッチを入れ、勢いよく前を目指した。
その立ち上がりに、中盤でボールを受けた太田は右寄りの位置で猛然とドリブル突破。浦和守備陣がそこに引きつけられると、右に開いたウイルソンにパス。ウイルソンがクロスを放った先には、マーカーを外しフリーになっていた赤嶺真吾がいた。「いいボールが上がってきたので、合わせるだけでした」。平常心で決めたゴールは、自身の今季10点目であるとともに、貴重な先制点となった。
「開始早々の失点で、自分たちの首を自分自身で絞めてしまった」とマルシオ・リシャルデスが振り返ったように、その後しばらく主導権は仙台が握る。浦和は中央での攻撃を角田誠と富田晋伍にカットされてしまい、サイドからの攻撃に活路を見出そうとする。しかし梅崎司と平川忠亮が再三クロスを上げるところまで持ちこむも、前半は2本しか浦和にシュートが生まれなかった。
そして仙台は後半に、もう1人のストライカーのゴールで突き放す。カウンターで今度は梁勇基がドリブルによりボールを運び、相手DFを引きつけて左に抜けたウイルソンにパス。マーカーの外れたウイルソンは自らシュートを決めて、リードを2点に広げた。
ここからの展開は目まぐるしかった。ウイルソンのゴールからわずか2分後に、阿部勇樹とマルシオ・リシャルデスがつなぎ、最後は攻め上がっていた槙野智章がフィニッシュして1点差に。しかし空中戦に強い中原貴之投入で攻勢を強めた仙台は、79分に田村直也からのロングボールにその中原が競って、最前線に届いたボールをウイルソンが相手DFをかわしながら拾って蹴りこんだ。これで、再び2点差。しかしそのさらに3分後、浦和がもぎ取ったCKからマルシオ・リシャルデスが意地のゴールを決めた。
しかし、この取り合いの中でも、リードをしていたのは仙台のほうだった。浦和は終盤にマルシオ・リシャルデスが抜け出して同点のチャンスを迎えていたのだが、林卓人のファインセーブの前にゴールならず。試合時間が経過するとともにボリュームアップしていく仙台サポーターの声援も力にして、浦和にサイドを支配される時間も経験しつつ、仙台が逃げ切りに成功した。
2得点1アシストと殊勲のウイルソンは「自分たちの仕事をしっかりやって、落ち着いて広島の試合を見ることができます」と語った。13時キックオフの上位直接対決で首位に近づく結果を出したことで、仙台は19時キックオフの広島に対してプレッシャーをかけることにも成功した、ということである。もちろんこの仙台vs浦和の試合自体でも、勝たなければならないプレッシャーが両チームにはあっただろうし、ユアテックスタジアム仙台を埋め尽くした両サポーターの熱気もかなりのものだった。そのなかでシーズン2桁得点をともに達成した両ストライカー(ウイルソン、赤嶺)が常にリードする試合展開をもたらしたことで、仙台が広島追撃のために抜け出すこととなった。優勝争いは、まだまだ目が離せない。
以上
2012.10.21 Reported by 板垣晴朗













