風間八宏監督はこの試合の敗因として「2つの大きなミス」があったと話す。1つは、点を取った後のリスク管理の部分。そしてもう1つが、決定機を得点にできるかどうかという部分である。
1つ目のミスについては、稲本潤一が3失点目について言及している。72分に中村憲剛が2−2の同点に追いつくヘディングシュートを決めた直後の76分の場面だ。
「失点が簡単でした。3点目はぼくが入っていれば問題なかった」と稲本。川崎Fの攻撃を跳ね返したG大阪が、右サイドのレアンドロにパスを付けてカウンターに。レアンドロはゴール前の佐々木勇人にクロスを入れるが、これは合わず。ただ、そのこぼれ球をフリーの家長昭博が蹴りこむという得点だった。佐々木に対し、センターバックのジェシと實藤友紀の両選手が対応してしまったという伏線を経て、稲本を含めた中盤の選手がバイタルエリアにスペースを作ってしまっていたという複合的な要因が重なっての失点となった。また、58分に川崎Fが同点ゴールを決めた後も、わずか6分後に勝ち越しゴールを奪われているという点も試合運びのまずさの一例であろう。
決定力の欠如という部分も深刻な問題だった。風間監督は「1対1が2本ありましたし、それを決めてもらえればまた違うと思う」と敗因を述べている。その2本の1対1のうちの1つに関わった風間宏矢がその場面を説明してくれた。83分の場面である。
G大阪の攻撃を凌いでのカウンターは、楠神順平の見とれるようなトラップとそこから連続して行われた前へと持ち出すターンによって始まる。楠神は「トラップした時にはフリーだったので、前を向けました」とその場面を振り返る。そしてその楠神を追い越した風間宏矢に絶妙なタイミングでパスを出した。走りこんだ風間宏矢にとっては決定的なチャンスだったが、その瞬間の風間宏矢は「冷静さが足りなかった」のだと話す。ファーサイドを狙ったという風間宏矢のシュートは、その狙い通りには飛ばず、GKの藤ヶ谷陽介に阻まれてしまう。
この風間宏矢の決定機に加え、中村の2点目が決まった1分後の73分には、小林悠も1対1のシュートを藤ヶ谷に防がれている。試合中に決定機を外すことは珍しくないが、それにしても「決められたかもしれない」という場面を外しているだけに悔しさを口にする川崎Fの選手は多かった。
決してG大阪が良かったわけではない。ただ、前半15分に佐藤晃大がケガにより倉田秋と交代。その結果としてG大阪は攻撃の形を作り始める。21分の家長のゴールは、交代出場の倉田からのダイレクトパスを落ち着いて決めたもの。まさにケガの功名とも言える試合展開となった。
この家長の1点目。そして藤春廣輝の2点目とG大阪は数少ない川崎F陣内でのパスワークをフィニッシュに持ち込むだけの連動性を持っていた。その一方で、川崎Fが見せた丁寧なパスワークには機動性がなく、G大阪が帰陣して守備ブロックを作る時間を作らせていた。
決定機を決め切れないチームに対し、中村は「決められないのなら、チャンスの数を増やすしかない」と話して前を向いた。決定機を作るところまでがチーム力で、そこから先が個人能力であるとするならば、川崎Fがチームとしてやれることは、中村の言うとおり決定機を増やしていくことしかない。そして、そこから先については風間監督が会見で述べた「(決定機を)決めるのは課題ですが、これは個人的に伸びていってもらうしかない」ということになる。今シーズは残すところあと5試合。少しずつでも、伸ばしていくしかない。
川崎Fに競り勝ち、勝点3を奪ったG大阪ではあったが、他会場の試合の結果、今節も降格圏から脱することができなかった。ただ、それにしても今日の勝点3の意味は大きい。15位大宮との勝点差はわずかに1。残留圏への浮上に向け、一歩前進した形だ。
以上
2012.10.21 Reported by 江藤高志













