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【J2:第39節 松本 vs 水戸】レポート:『北アルプス』の王者・松本が、『北関東』の覇者・水戸に勝利!勝敗を分けた要因は、点を取るべき人が取るべき時間帯に取ったか取らないか。(12.10.22)

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『TOP OF 北アルプス』王者の松本、対するは『北関東ダービー』覇者の水戸。言うなればこの一戦は、“東日本王座統一戦”と言えなくもない。前半対戦時(第5節)は、0-0のスコアレスドロー。水戸のアタックを松本の堅守が良く止めたという言い方も出来るが、「あの試合はチャンスが作れなかった」(多々良敦斗)というのが正確な表現であろう。

あれから半年。ここまでのチームの成長を水戸に見せつけたいところだ。

松本は鐡戸裕史が、水戸は鈴木隆行と西岡謙太がそれぞれ出場停止。このポジションを埋める選手起用にも注目が集まったが、松本はシャドーでの出場が多い楠瀬章仁を左サイドへとスライドし、空いたシャドーの位置には大橋正博を起用。水戸はチーム得点王の岡本達也と三島康平の2トップ、ボランチには潰し役として身体を張れる石神幸征を起用してスタートした。

前半をスタッツと共に振り返ると、水戸のシュート数8本に対し、松本は2本となっている。ポゼッション率は3:7かそれ以上かという内容。能力の高い選手が揃う水戸のサイド攻撃を受けて、後手に回った松本は守勢を強いられる。特に市川大祐はさすがの動き。機を見てはゴール前まで攻め上がり、質の高いクロスを何本も供給。その都度、松本のファン・サポーターから絶叫が上がるほどの正確さであったが、これを2トップが決める事が出来ない。試合後の記者会見において、柱谷哲二監督が「鈴木隆行がいないことは痛かった」と語ったが、前半に水戸が先制点をあげればこの試合は全く違う展開になったはずだ。結局、主導権を掴みながら、スコアは0-0のままで折り返すことになった。

ここで反町康治監督が勝負に出た。「このスタイルだと噛み合わせが良くない。並びを替えないと難しい」と、3-4-2-1のフォーメーションを4-4-2にチェンジ。前半から「前線の斜めの飛び出しについていけていない」(反町監督)水戸のCB2枚の弱みを突くために、サイドの厚みを増して後半に臨んだ。これは中2日で疲労が溜まっていたサイドの守備の負担軽減という効果も生み、攻守にバランスの良くなった松本が形勢逆転。47分、大橋の右足から放たれたパスが水戸の最終ラインの裏へと走り込んでいた船山貴之の眼前に落ちると、チャンスを逃さず右足一閃。船山自身が「コースよりも気持ちで入れた」と語る先制弾で、遂にゲームは動く。その8分後にCKを細川淳矢に決められて試合は振り出しに戻ったものの、1万人を超えるファン・サポーターの後押しで気持ちを切り替えた松本はその後もサイドを起点にして水戸ゴールに襲いかかる。幾度かあったPA内でのチャンスは“北関東のレフ・ヤシン”こと本間幸司の好セーブに阻まれたものの、遂に74分、バイタルエリアでボールを受けた大橋がディフェンスラインの頭をふわりと超える浮き球パスを送ると、絶妙のタイミングで飛び出した塩沢勝吾が右足で流し込んだ。記念すべき二桁ゴールを本拠地アルウィンで、しかも相手は古巣の水戸。「(元チームメイトの)本間さんから決めた事は本当に嬉しい」と語る、強烈な“恩返し”。このゴールを最後まで守った松本は2-1で勝利。結局、後半の試合展開は、水戸の8本に対して松本は18本(!)だったシュート数が物語っている。

この勝利で松本は9位まで浮上。プレーオフ出場圏内の6位浮上という微かな望みをこの先に繋げた。一方の水戸にとっては「試合に勝って勝負に負けた」一戦だった。しかし、前半にあった多くのチャンスを結果的に逃したのは事実。三島・岡本の2トップは精力的な守備やポジショニングなど動きそのものは悪くなかったが、求められるのはやはりゴールだ。一方、松本は船山と塩沢という得点を期待されている選手がチャンスを確実に生かして点を取った。フォーメーションの変更など勝負の『あや』はあったが、やはり点を取るべき選手が取るべき時間帯に取ったチームは勝つ。その逆もまた然り。

以上

2012.10.22 Reported by 多岐太宿
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