選手を責めないため、チームを守るために、気を使って“優しい”言い方をしたのかもしれない。試合後の記者会見で、オズワルド アルディレス監督は「ナーバス」という言葉を繰り返した。しかしそれは今日の試合に限ったことなのだろうか?FC町田ゼルビアは、愛媛FC戦も含めて9試合連続で先制点を許し、そのうち6試合は前半20分までにゴールを許している。そしてそういう悪い流れを、今日も食い止められなかった。
21位・鳥取と勝点4差で迎えた第39節。町田にとっては“絶対に負けられない”だけでなく、“絶対に勝点3が必要”な試合だった。愛媛がその出鼻を挫いたのは、開始4分の先制点。浦田延尚が左サイドにダイレクトで大きく蹴り入れ、前野貴徳は俊足を飛ばしてスペースに抜け出す。最後は加藤大がニアに入ってクロスに合わせ、プロ初ゴールを決めた。「プレッシャーが掛かっている」「前へ出てくる」町田に対して、「ショートカウンターを使って有効に攻撃する」というバルバリッチ監督の思惑を、愛媛の選手は早々に実行してみせる。
13分の2点目もやはりカウンターだった。愛媛は浦田延尚が自陣深くで縦パスをブロックし、村上巧は2タッチのスルーパスを縦に送る。「ワンテンポ溜めてくれて、動き出しも上手く合わせられた」(有田光希)という絶妙のお膳立てから、有田は両CBの間を抜け出す。完全に裏を取って、1対1の状況から難なく流し込んだ。
町田は開始早々に2点のビハインドを背負う。太田康介は「最低の立ち上がりだった。僕は久しぶりにCBに入ったんですけど、感覚が戻る前にやられてしまった」と悔いる。しかしその太田が18分にCKからヘディングを決め、1点差に追い上げる。更に21分、32分とドラガン ディミッチが枠内シュートを放つなど、町田は若干の盛り返しを見せた。ただ愛媛も引き続いてカウンターの“罠”を張っていた。45分には、関根永悟がロングフィードから伊東俊がエリア内に抜け出し、決定的なシュート。ここは町田のGK修行智仁が何とかブロックし、有田光希の打ち直しも太田が身体で跳ね返す。
2-1とリードして後半を迎えた愛媛は、48分にもショートカウンターから石井謙伍が決定機。更に59分、有田光希が中盤に降りて戻したボールを、村上巧がワンタッチで左サイドに展開する。ボールに食いつき、ラインを高く上げていた町田の最終ラインが、サイドチェンジ一発で崩された。前野貴徳のシュートはGKにブロックされるが、加藤大がこぼれ球を頭で合わせて本日2点目。リードは再び2点に拡がる。町田は75分、ディミッチのFKから太田が本日2点目を決めて詰め寄る。しかし84分、愛媛はまたしてもカウンターからゴールを奪う。石井謙伍がドリブル突破からチャンスを作り、相手DFの跳ね返しを東浩史、渡邊一仁がつなぐ。最後は伊東俊が移籍後初ゴールを流し込んだ。
愛媛はバルバリッチ監督の狙いが的中し、カウンターから面白いようにチャンスを重ねた。攻守の素早い切り替えに、浦田延尚や村上巧の的確なロングパスが噛み合う。3バックと4バックのミスマッチを生かし、左サイドからは前野貴徳が再三再四と抜け出した。「お互いのことを知っているし、サッカー感も似ている」(有田光希)という3トップの連携、抜け出しも出色。3トップのゴール揃い踏みに、今季13得点の有田も「自分以外の2人が初めて点を取ったというのが、自分のことのように嬉しかった」と誇ってみせる。
町田は焦りが焦りを呼び、守備に著しい混乱が生じた。「結構ズレているというか、隙はあるかなという感じだった」(加藤大)、「DFラインの間もそうですし、DFと中盤の間も空いていた」(有田)と、愛媛の攻撃陣も首を傾げる。守備の柱イ ガンジンという“個”の不在があり、そこに不慣れな連携、残留へのプレッシャーといった負の要素も連鎖したのだろう。残り3試合で、21位・岐阜との勝点差が6。JFLはJ2ライセンスを持つV・ファーレン長崎が2位と勝点5差の首位で、自動昇格圏内にいる。町田はいよいよ崖っぷちに追い込まれた。次節に岐阜との“直接対決”を制することが、残留に望みをつなぐ唯一の方法である。
以上
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