ライトグリーンとイエローが鮮やかなコントラストを描いている。BMWスタジアム平塚では今季最高となった10,918人が見守るなか、先制したのはホームの湘南だった。前線でキリノが競り、ハン グギョンがセカンドボールを拾う。サイドに開いたキリノのクロスは千葉DFがカットするも、こぼれ球にいち早く反応した永木亮太がゴール右隅を鋭く突いた。ライトグリーンが揺れる。
永木は振り返っている。「相手に縦パスを通させないという部分ではよかったと思う。ボランチのところで全部防ぐことは難しいが、DF3人とも連携がとれていたし、前に行かれたときにもしっかりプレスバックできていた」。立ち上がりから28分の先制ゴール、また前半を通して湘南のコンパクトフィールドはしっかりと体現されていた。ポゼッションは譲るも、前線から始まる圧力によって容易には運ばせない。セカンドボールで先手を取れたのも選手間の緊密な距離を裏付けていた。
「相手に持たされている感じがあった。なかなか前のほうにボールを持っていくことができず、足元のプレーが多くなってしまった」他方、千葉の佐藤勇人は前半をこう振り返る。また4試合ぶりに先発復帰した山口智は、「ボールを取って攻撃のスイッチを入れなければいけないときに単純なミスをしたり、雑だったりということが多かった」と語る。実際、前半の千葉は解れない湘南の守備網に推進力を削がれていた。
1点を追う千葉は、後半開始から攻勢を強めていく。「中央でもうすこし相手の守備を崩したいと思った」そう語るのは左サイドハーフの谷澤達也だ。長いボールを契機にゴール前に侵入し、あるいはミドルを狙った。思えば、谷澤は前半終了間際にも中に絞って中央突破に絡んでいた。この際のトライが後半の足がかりとなったのかもしれない。
千葉の圧力が増すなかで、湘南の守備の集中力も切れない。次第に長いボールが増えていくと、カウンターにチャンスを見出しもした。ハンから高山薫、キリノと左サイドへ展開し、逆サイドから古林将太が合わせに出る。古橋達弥、永木、菊池大介と繋ぎ、古林のクロスにふたたび菊池が走り込む。だがフィニッシュがなかなか合わない。
交代出場の下村東美は自戒を含めて振り返っている。
「速い攻撃は僕らの生命線として必要だと思うが、それが止められたときにいかに攻めるか。休む暇がなくみんな息があがっていたので、チーム全体でもうすこしボールを動かせればよかったかなと思う」
互いに選手交代を重ねた先でスコアは動く。つぎの1点を奪ったのは千葉だった。オーロイ投入直後、そのオーロイを経て、同じく交代出場の藤田祥史が相手DFを背負いながらキープする。後方から走り込んだのは佐藤勇だ。湘南もゴール前に人数をかけるが、密集を縫うようにしてゴールを射止めた。85分、土壇場の同点弾にイエローが沸く。その後も千葉はオーロイを起点に攻勢に出ると、湘南もカウンターで応戦する。長い笛は間もなく響いた。
残り3試合、千葉は山形、松本、徳島と、そして湘南は富山、鳥取、町田と、いずれ違わぬ難敵との対戦が待っている。「湘南のチーム力を示すときだと思う。みんなを信じて、僕は僕のやるべきことを精一杯やってきたい」U-19日本代表へ向かう遠藤航は複雑な胸中を語った。副キャプテンの帰りを笑顔で迎えたい思いは、皆な等しいに違いない。熱戦のリカバーを施したのち、湘南、千葉ともにあらためて最後の戦いに臨む。互いに悔しさの混じる、しかし意味あるこの日の勝点1を携えて。「積み上げてきた足跡は嘘をつかない」。湘南の曹貴裁監督の言葉だ。
以上
2012.10.22 Reported by 隈元大吾
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