昨季2位の仙台と、5位の鳥栖。それぞれJ1で躍進したチームが、今季序盤は苦戦を強いられている。勿論大切なのは現時点での順位ではなく一年間を終えてからのトータルの順位なのだから、どちらもまだ焦る必要はない。ただし、順位とはまた別に、サポーターに披露すべきもの、戦う姿勢を、それぞれのチームはピッチで伝える必要があった。
立ち上がりに攻勢を見せたのは鳥栖だった。前半45分間はシュート数が仙台3、鳥栖2というように互いにシュート前でつぶし合う展開だったが、数字だけではわからない出足の鋭さで鳥栖が上回っていた。尹晶煥監督が「我々の本来の姿をところどころで見られたと思う」と評価したように、藤田直之と末吉隼也の両ボランチを中心とした鳥栖の強力なプレッシングが、仙台に落ち着いてボールを回す暇を与えない。そして15分に仙台ゴール正面でFKを得ると、藤田のキックが壁に当たってコースが変わり、鳥栖が先制した。
仙台は「コンディションの問題というより、自分達のミスが多かった。最近は特に前半はボールの取られ方が悪い試合が続いています」と試合後に梁勇基が反省したように、プレッシャーをかわすパス回しの中でミスが出たことが響いて、不完全燃焼のまま折り返す。富田晋伍が前半に痛んだこともあって、手倉森誠監督はハーフタイムに攻撃色を強める選手交代を決断。武藤雄樹を投入して左サイドに置き、梁をボランチに回す。
この修正が実り、後半は仙台ペースで進む。「『どんどんしかけてこい』と言われていたし、後半は相手のサイドのスペースが空いていて自分の特徴は出しやすかった」という武藤が、ACLブリーラム戦の疲れもなんのその、むしろブリーラム戦でつかんだ自信を披露するかのように左サイドからの突破を繰り返した。すると54分に、ウイルソンからのパスを受けた武藤が左から抜け出してシュート。これは惜しくもポストに当たってしまったが、「うまく自分のところにこぼれてきたので押しこむだけだった」という赤嶺真吾がしっかり詰めて、押しこんだ。
同点ゴール後も仙台が攻勢をかける一方で、鳥栖もカウンターから池田圭らが仙台の背後を狙い続けてチャンスを作る。だがシュートまで持ちこんでもギリギリのところで入らず。エースの豊田陽平もこの日は数人がかりのプレッシャーを受けることとなり、仕事はできなかった。
終盤も仙台ペースは続くが、「(ACLとJ1との)連戦の中でのフィニッシュの精度が課題」(手倉森監督)となって追加点には至らず。試合は1-1で終了した。
厳しい展開を跳ね返して追いついた手倉森監督は「ビハインドを負ってから、しっかり力を出し切る、やり切る、そして勝ちきるという姿勢までは見せたゲームになりました」、逃げ切れなかったがアウェイでの勝点1獲得に成功した尹監督は「1-1のドローゲームだったのですが、勝ちに値するゲームだったと思います」とそれぞれの手応えを記者会見で述べていた。
前半に優勢だった鳥栖と、後半に攻勢を見せた仙台。それぞれ勝利のために見せ場を作ったチームが、ともに勝点1で終わっている。勿論大切なのは45分ずつの内容ではなく90分を終えてからのトータルの結果だから、どちらも勝てなかったことは悔しいだろう。
ただし、悔しい結果とはまた別に、サポーターに披露すべきもの、戦う姿勢は、確かにそれぞれの見せ場の中で伝わったのではないだろうか。
以上
2013.04.29 Reported by 板垣晴朗
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