J1リーグ再開初戦となる第14節、大宮アルディージャはホームNACK5スタジアムにサガン鳥栖を迎える。中断前の時点で大宮は10勝2分1敗の勝点32で首位に立ち、鳥栖は2勝4分7敗の勝点10で15位に沈んでいる。これからACL出場権、さらには優勝を争っていくために、この再開初戦は大宮にとって「良いスタートを切るための重要な一戦」(ベルデニック監督)だが、残留争いに巻き込まれかねない鳥栖にとってもそれは同じ。この中断期間でチームをどれだけブラッシュアップできたかが問われる一戦となる。
大宮は中断期間に入ってすぐ10日間のオフを選手に与えたが、再始動後は連日2分練習のハードなトレーニングを課した。1週間の群馬嬬恋キャンプも含め、選手たちが口を開けば「しんどい」「体にキテる」と漏らす中、「疲労がある状態でも、実戦でいかにプレーできるか」(ベルデニック監督)を狙いとして、ほぼ週2試合のペースで9つの練習試合も行った。J1、J2、大学と相手はさまざまだが、その9試合いずれも勝利で終え、特に非公開で行われた6月29日の新潟戦では4−0の完勝を収めたことで、「コンディション、戦術面、技術面、トータルで向上している。この準備期間は非常に上手くいった」と指揮官は上機嫌だった。
中断期間のテーマは「攻守におけるスピードアップ」。より速い攻守の切り替え、守備では寄せの速さと、攻撃でも素早いサポートで速くボールを動かすことを求めた。さらに新しい試みとして、守備でFWの追い込みからサイドバックに出させ、そこで奪ってショートカウンターを仕掛ける形をこの中断期間で重点的に取り組んだ。その形に「新潟との練習試合でもハマって何度も得点機を作った」(渡邉大剛)ことで、チームも手応えを感じている。
一方の鳥栖は、10日間の韓国キャンプを含め、大宮を上回る11もの練習試合を行っている。ここまで31失点はリーグワーストであり、昨シーズンは34試合で39失点(リーグ4位)だったことを考えれば守備崩壊と言っても過言ではなく、当然、この守備の立て直しに力が注がれた。「守備のやり方を変えたということではなく、やるべきことを選手たちの間で確認しあうことができたのでは」と、鳥栖担当のサカクラゲン氏。ただ、11の練習試合でトータル14失点を喫しており、その成果は蓋を開けてみるまで分からないというのが正直なところだろう。攻撃ではここまで計20得点と悪くない数字を残しており、堅守復活となればまだまだ巻き返せる。そのためにもこの首位との試合を零封し、自信をつかみたいところだ。
この一戦、互いに重要な選手を欠く。大宮は先週半ばから別メニュー調整の続くズラタンが間に合わない見込みで、鳥栖は藤田直之が累積警告で出場停止。ズラタンの代役には長谷川悠が入るが、攻撃の迫力とバリエーションは多少落ちることは否めない。ただ、献身性とゴール前での強さが長谷川の強みであり、「チームとして悠(長谷川)の特長を生かしたい」(渡邉)。鳥栖守備陣が中断期間前までクロス対応に難を見せていただけに、長谷川とノヴァコヴィッチのツインタワーにクロスを入れる形を練習でも取り組んでいた。それを抑えにかかる鳥栖のセンターバックは、呂成海とプロ1年目の坂井達弥がコンビを組む見込み。昨年から特別指定選手として出場している坂井はここまでカップ戦での出場が多かったが、守備の立て直しを図るチーム事情の中、スピードとはね返す力を武器に頭角を現した選手で、その奮闘に注目だ。鳥栖は藤田の代わりに、展開力に優れる末吉隼也を起用する見込み。ロングスローで相手に脅威を与え、何よりキャプテンとして精神的支柱である藤田の不在は、大宮にとって有利に働くことは確かだろう。
順位上は大宮優位だが、中断期間が挟まったことと、「ロングボールをトップに当ててセカンドボール勝負」(青木拓矢)という鳥栖のストロングポイントを考えると、そうとは言い切れない。特に、大宮が唯一記録した仙台での敗戦が、まさにその形で後手を踏んだ結果のものだったからだ。鳥栖は当然ながら仙台戦の再現を狙ってくるはず。ただし大宮としても、鳥栖がそのやり方で来ることが分かっているだけに、そうそう後手を踏むことはないだろう。「前から追って蹴らせないのが理想だけど、それを90分やるのは厳しいので、DFラインを下げて後ろでコンパクトにすることと、臨機応変に使い分けたい」(下平匠)と、そこでしっかり対応できれば、ここまで磨いてきた速くボールを動かしての攻撃がハマるはずだ。
いよいよ関東にも本格的な夏が到来し、NACK5スタジアム大宮も暑くなりそうだ。長かった中断期間が開けて、ブラッシュアップしたチームがその成果をどれだけ発揮してみせてくれるかを楽しみにしたい。そして去年は熊谷開催だった鳥栖サポーターの皆さんには、ベストアメニティスタジアムに勝るとも劣らないNACK5スタジアムの雰囲気を堪能していただきたいと思う。
以上
2013.07.05 Reported by 芥川和久
J’s GOALニュース
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