試合後の記者会見で、先に話したアウェイのレヴィー・クルピ監督が「両チームともディフェンスにおけるミスがない、タフなゲームでした」とコメントすれば、続くホームの手倉森誠監督は「C大阪のリーグで2番目に失点の少ない守備力と、我々の本来の持ち味の守備力で、お互いに隙を作り合わないゲームをしました」と振り返った。
その両チームのタフな守備を一度ずつ破ったのは、その守備に関与していたボランチだった。
試合を先に動かしたのは仙台だった。負傷による選手の出入りが多い中で、ここ2試合無得点と攻撃の修正が必要だったホームチームは、C大阪の堅い守備を相手にするにあたり前節から先発メンバーを代えてきた。負傷から復帰した梁勇基をボランチで先発起用し、深い位置からの配球でC大阪の守備を動かす狙いだった。
右サイドでは太田吉彰と石川大徳の高速コンビが「互いに連係が良くなっている」(太田)ところを発揮して突破を見せ、左サイドではこの日は連係にミスが多かったC大阪の隙を突いて松下年宏が石川直樹とパスを交換する。こうしてばらけてきたC大阪の守備に対し、24分、ウイルソンのパスを受けて飛び出した梁が巧みなゴールを決めた。
梁は負傷から全体練習に合流して迎えた26日の紅白戦で、シュートへの意識を高く持って2点を決めている。その調子をこの試合でボランチの位置からでも発揮。切れ込んだときには相手もプレッシャーを複数人でかけていたが「ゴール前でも落ち着いてシュートを打てた」と、シュートコースを射抜いた。
一方、この梁に対して「自由にボールを持たせてしまっていた。近い選手がボールに寄せないといけなかった」と反省したC大阪のボランチ・扇原貴宏は、この後も仙台にチャンスを作られる展開の中で大きな仕事を果たす。山口螢とともにばらけていた中央のスペースを引き締め直すと、前半も終わろうとする45分にシンプリシオからのパスを左サイド遠目で受ける。「GKの位置は見ていなかった」と言うが、思い切り打ったシュートは見事な弾道を描いて仙台ゴールに突き刺さった。
クルピ監督は会見の場でミドルシュートの反復練習をしていたことを明かし、その成果であることを語ったが、さらに扇原は柿谷曜一朗からも「明日(28日)は決めるよ!」と言われていたそうである。こちらのボランチも、練習で流した汗が実った。
後半になると両監督が交代選手で攻撃に変化を加えて、相手守備陣に対して新たな攻略法を模索した。C大阪は63分に、両サイドのMFを枝村匠馬と杉本健勇に交代。押されていたサイドを修正するばかりでなく押し返そうとした。しかしトップの柿谷になかなかボールを渡せず、渡っても彼が前を向く前に弾き返されて攻撃に厚みを生めなかった。
一方の仙台は「下(足下)ではがせる状況だった」と言う手倉森監督の意図のもと、武藤雄樹、ヘベルチ、佐々木勇人といった選手を投入し、速さと技術でC大阪を崩そうと畳みかける。両センターバックも相手攻撃陣を食い止めるだけでなくボールを奪ったら素早く押し上げたりパスを配球したりしてチャンスを作った。しかし終盤にウイルソンがヘベルチや佐々木のスルーパスをゴールにつなげられなかったように、攻撃の工夫はゴールというかたちでは実らなかった。
1-1の結果の背景には、互いの攻撃の工夫と、それを上回るほど引き締まった守備があった。その両方に関与するボランチというポジションの面白さが見えた試合でもあった。
以上
2013.08.29 Reported by 板垣晴朗













