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【J1:第23節 F東京 vs 鳥栖】レポート:平山1005日ぶりの復活ゴールも、F東京が鳥栖に突き放される(13.08.29)

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「観ている人にとってはおもしろい試合だった」。試合の感想を求められたポポヴィッチ監督の率直な言葉は、的を射ていた。それほど、すばらしいゴールの競演だった。

前半40分、豊田陽平は金民友からクロスに飛び込み、頭で先制のゴールネットを揺らした。さらに、続く41分には池田圭がエリア内へと持ち込み、DFを切り返しで振り切って右足で追加点を挙げた。

後半に入ってF東京は、平山相太とルーカスを投入。平山の高さを軸に、鳥栖のお株を奪うダイレクトプレーで反撃に出た。すると、81分に、左サイドの太田宏介の足元と、平山の頭が線で結ばれる。正確なクロスと、圧巻の高さで追撃の得点が入る。これで勢いづくと、84分には右サイドに張った東慶悟が中央へボールを転がす。平山の目の前を過ぎ、待ち構えていた渡邉千真が受け取って左足を振り抜く。渡邉のシュートが左隅を突いて同点に追いつくと、国立競技場のボルテージは最高潮に達した。

しかし、その直後の85分、水沼宏太が右サイドを抜け出すと、ゴール前には豊田が走り込む。水沼はDFとGKの間にボールを転がし、そこに豊田は体を滑らせて合わせる。一度はGKに当たったが、それを押し込んで鳥栖サポーターに歓喜の声が沸き起こった。試合後、会見の席に座った鳥栖の尹晶煥監督は「まだ試合が終わったばかりでなかなかコメントすることは難しい。今、この興奮を落ち着かせることが難しい」と言葉にして試合の興奮を伝えた。

多くの得点が生まれたのは、DFを無力化し、ゴール前まで運んできた水をグビッと飲み干すストライカーが両チームにいたからだろう。豊田の体の強さや、エリア内での動き直しの質はやはり特筆すべきだった。平山の高さと、渡邉の決定力の高さも他にはない武器だ。ただ、それを生かしたのも、勝負を分けたのも、やはりチームの力だった。水沼は「トヨくん(豊田)の存在感が抜群なのでそれを生かすのが自分たちの役割」と言いきる。

ゲームをつくったのは鳥栖だった。試合開始からダブルボランチも、両サイドバックも過度な攻め上がりを自重した。自陣で待ち構えてブロックを組むと、ゴール前で体を張った。先制点の場面は、左サイドバックの金がこの試合初めて敵陣深くまでオーバーラップして生まれた。その機を見た攻め上がりを得点につなげた豊田の集中力も感服ものだ。さらに、2点目、3点目もカウンターによって生まれている。チーム全体が高い集中力を保ち、チーム全体で守備をして豊田へとボールを届ける。そのプランを遂行した鳥栖は得点を重ねてF東京の追い上げを振り切った。順位は変わらないものの、3連勝と一時の不調を脱した。

F東京はボールを動かして相手ブロックを崩そうと試みたが、その時間帯にゴールが奪えず、逆に鳥栖に隙を突かれた。ボールを保持することは強みだが、一方でそこにはらむリスクがそれを上回ってしまった。「後半攻めて追いついたが、そこで突き放されてしまった。今年は、そういった形がほかのゲームでもあった。ああいったときほど、リスクマネジメントしなければいけない」と、長谷川アーリアジャスールは悔いた。先制点を奪われた直後に焦って2点目を奪われ、気持ちが逸ったところで3点目を入れられた。このリスク管理を怠る悪癖が直らない限り、上位進出は叶わないだろう。

ただし、F東京にとってはポジティヴな出来事もあった。それが平山の得点だろう。2度の骨折によってポジションを失い、今季に期する思いも強かった。それを知るF東京サポーターも、背番号「13」がピッチに立つ度に大声援で迎えてきた。本人も、そのひときわ大きな声に報いたいと思ってきた。「きれいなゴールじゃなくてもいい。ごっつぁんだろうと、泥臭いゴールでも何でもいい。とにかく得点を決めたい」。その言葉をようやく実現できたが、公式戦では1005日ぶりの得点を挙げた試合直後、記者に囲まれた表情は強張っていた。「個人的にはゴールができてうれしい。ようやくスタートラインに立てた。だけど、試合に負けているので悔しい気持ちのほうが強い」。囲み取材が解かれ、ようやく見せた安堵の表情。その顔で親指を上げて「次っす、次」と語った。
この日の結果で12位に転落し、F東京は苦境に立たされている。今夏の移籍期間で補強を行わなかったが、この待望の男の復活は何よりも大きい。広島、浦和と上位クラブとの対戦が続く。課題は明確だ。下を向くよりも平山の言葉どおり、まず顔を上げて次に向かうべき力を養うべきだ。

以上

2013.08.29 Reported by 馬場康平
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