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【J1:第23節 川崎F vs 大宮】レポート:大久保嘉人の今季18点目が決勝点。連敗を阻止した川崎Fに対し、大宮の連敗は8に(13.08.29)

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連敗を止めたいはずの大宮にとって、警戒すべき選手は明白だった。この日、北野貴之に代わり先発のピッチに立ったGK江角浩司は「相手のポイントは中村憲剛、大久保だとわかっていた」と話す。ところが彼らを「FWとボランチのところでつかみきれず、簡単に前を向かせてしまった」と悔やんだ。

大宮が警戒すべき選手の筆頭である中村が「初めて見た景色でした」と振り返るのは、開始早々の3分に決めたループシュートの場面。森谷賢太郎がボールを持った瞬間のことだった。
「賢太郎が持った時に来るかなとは思ったんですが、一応相手のセンターバックとサイドバックの間から出ようと思った」と中村。完璧なタイミングの動き出しを見せた中村に対し、森谷からパスが出る。大宮の最終ラインを置き去りにした中村は、1対1になったGK江角浩司のポジションを冷静に見極め「背が高くてもあれだけ空中にスペースがあると関係ないので」とループシュートを決めた。

1点をリードされた大宮は、その3分後にノヴァコヴィッチが自らが得たPKを決めて1−1の同点に追いつく。ただ、そのさらに3分後の前半9分に、大久保嘉人が目の覚めるような30mほどのロングシュートを決め川崎Fが再び勝ち越す。
「練習の時にあれ(ロングシュート)がやたら決まっていたので、行けるかなと思って。完璧でした」と大久保は自らのゴールを振り返る。決めるべき選手がともに決めた試合は、開始から10分もせずに2−1となった。

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連敗を止めたい大宮に対し、連敗したくない川崎F。どちらの負けたくない気持ちが強いのか。試合開始直後にそれが明らかになる。大宮のキックオフで始まった試合は、自陣に下げたボールに対し、大久保が激しいプレスを仕掛けていきなり動く。追い込まれた高橋祥平がセーフティーに試合を進めるべくシンプルにクリア。これを拾った川崎Fは、山本真希の縦パスがスイッチになり、大久保、中村と繋いで森谷がエリア内でシュートを試みるという場面を作る。立ち上がりから気迫を見せた川崎Fの攻撃は、高い流動性を持って実行された。右サイドハーフの森谷がペナルティエリア内に入るのはもちろん、中村、大久保は前後左右にポジションを変える。ボランチの稲本潤一が右サイドに展開し、中央には山本が飛び出していく。がら空きの中盤にはFWのような動きを見せた中村が一転してポジションを落とし、守備に備える。川崎Fの選手たちは、コンビネーションを失わない程度の距離感を保ちつつ、激しくポジションを代えて大宮を攻め立てた。

そんな川崎Fの前半の攻撃について、右サイドバックの田中祐介は深く感心しつつ「前半は後ろから見ていても、いいサッカーをしてましたね」と評していた。だからこそ、その前半で試合を有利に進めたかった。
「4点くらい取れたはず。それくらいのビッグチャンスは作っていたので、そこはまだまだ甘さがあった」と中村は反省することを忘れなかった。

前半の悪さからの反動もあるのだろうが、後半は大宮の負けられない気持ちが川崎Fを圧倒する。
「川崎Fも何年か前に8連敗くらいしてたので、気持ちはわかる。なりふり構わず出てくるのでね。あれだけ圧力を掛けてくる」と攻勢に出た後半の大宮について中村が語る。ただそうした相手に対しても、もっと楽に戦う方法があったと口にする。
「後半はカウンターのチャンスがあったので。そこで仕留められるともっと楽だと思います」(中村)
なりふり構わず前に出てくる相手ほど厄介な敵はない。彼らは1点差であろうと2点差であろうと負けは負けという割り切りを持って前に出てくる。首尾よく同点に追いつけば、一気に流れをつかめる。あわよくば逆転も可能になる。そんないつぞやの天皇杯(2012年12月15日の天皇杯4回戦)のような展開を大宮は狙った。だからこそ、耐えしのいだ川崎Fはカウンターに活路を見出したかった。そして実際に途中交代出場のアラン ピニェイロが数回のカウンターを見せた。ただ、効果的なカウンターを打ち続けるには、コマが足りなかった。

「最近では足をつったのは珍しいですね。ずっとつってなかったので。朝から食事、ドリンクのタイミングとか意識しているんですが、あれでつるとどうしていいかわからないです」と苦笑いしつつ、足をつらせてしまった自らについて話す登里享平に加え、前半から攻守に体を張っていた森谷。そして大久保まで足をつらせてしまい、川崎Fはカウンターに持ち込むコマを失う。
だからこそ、ズラタンの落としからノヴァコヴィッチがフリーになった90分+3分の決定機を含め、川崎Fが逃げ切りを成功させたのには意味があった。今までも守りたくて、守りきれない試合を川崎Fは続けてきた。この試合も結果的に1失点しているが、内容の悪かった後半をゼロで終えることができた。最終的に勝点3を奪い、上位に這い上がれる勝点差を維持したという意味でも収穫のある試合となった。

連敗を阻止し、上位浮上のきっかけを掴んだ川崎Fに対し、連敗を8に伸ばしてしまった大宮は形を作っているだけに、これをやり続けるしかない。その中で痛いのが、ズラタンの出場停止であろう。56分に交代出場し、試合の流れを大きく大宮側に引き寄せていただけに、試合終了間際の退場が悔やまれる。ただ、試合の入り方さえ間違えなければ戦えるチームであることはここ数試合が証明している。今は前を向いて戦うしかない。

以上

2013.08.29 Reported by 江藤高志
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