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【J1:第24節 広島 vs F東京】プレビュー:苦闘から学び、逆境に立ち向かう選手たち。実力者・F東京を迎え撃つ広島の巻き返しを見逃すな。(13.08.30)

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しとしと降っていた雨が、広島の選手たちがピッチに入ってきたとたん、土砂降りになった。エディオンスタジアム広島で行われた試合前日練習は、ホームチームが抱える今の苦境を象徴するかのような天候でスタートした。

ただ、選手たちのテンションは決して低くない。かつて青山敏弘が「雨の時はむしろ、気持ちが高ぶってくる」と語ったことがあるが、そういう要素だけではない気持ちの充実ぶりを感じさせた。身体と身体を激しくぶつけあい、チャレンジのパスを出し、走る、そして走る。甲府戦完敗後の消沈した表情とは全く違う彼らが、雨の向こう側で躍動していた。

ここ3試合で1敗2分。結果以上に内容に広島らしさを感じさせない戦いぶりに、佐藤寿人は「今が正念場」と危機感を口にする。パスをまわしてもそこに「危険さ」が伴わず、相手が固めるブロックの中に、ボールを運ぶことができない。ボールは動いても人が動けない状況で、相手の守備に脅威を与えることができなくなっている。それが苦戦の要因だ。3試合2得点。甲府戦では今季初の零封負けを喫し、シュート数もわずか6本。ビッグチャンスは、強いてあげれば相手GKのスローをカットした高萩洋次郎のシュートくらいで、自らの攻撃で創造した決定機は1つもなかった。

西川周作は甲府戦後、「球際での戦いで相手に遅れをとっていた」と語っていた。どんな戦術をとっていても、球際での戦いを支配できなければ、相手に先手をとられてしまうのは必定。ボールを奪うか、奪われるか。そこの戦いで負けていては、ボールを握るとか、ポゼッションするとかの話ではない。

「大分や甲府の選手たちが見せてくれたものこそ、僕らが立ち返る場所である」と指揮官は選手たちに説く。「それは球際の強さだったり、運動量、粘り強さ。そういう泥臭いけれど大切な部分を、彼らは我々との戦いで見せた。でも、それを自分たちがずっとやってきたからこそ、昨年の優勝や今季の結果がある」。指揮官の熱い想いは、選手たちの体内にガソリンとなって流れ込む。「でも、僕の言葉どうこうよりも、そういうことは選手たちが感じてくれていますね。絶対にやってやろうという意気込みを、トレーニングでも感じました」。

選手たちは、切り替えた。甲府や大分から自分たちの原点を学び直し、明日の試合の勝利に向かって集中度の高いトレーニングを行ったことも確かだ。しかし、サッカーとは相手あってのスポーツ。F東京の能力は個々としても、組織としても高い。一筋縄ではいかない相手であることは、間違いない。12位という順位とF東京の実力はリンクしていないのである。

前回の対戦で広島は、チーム全体の守備意識を徹底させてきたF東京の堅い戦いに苦しんだ。最後はパク ヒョンジンの劇的なFK弾で勝利したが、そのまま引き分けになってもおかしくない展開だった。
そして忘れてはならないのは、この時はF東京のエース・渡邉千真がケガのために出場していないという事実である。リーグ再開後の9試合で7得点、今季16得点は大久保嘉人(川崎F)に続き2位。チーム合計得点(39点)の半数近くをたたき出しているエースがいるといないとでは、F東京の攻撃力は全く違う。

渡邉とマッチアップする機会が多くなるであろう塩谷司は、F東京の絶対的エースについて「Jでも1〜2を争うくらい、シュートが巧い」と語る。ただ一方で、広島が誇るストッパーは「彼らの攻撃は渡邉選手だけではない」と警戒を強めている。「長谷川アーリアジャスール選手やルーカス選手をはじめとして、一人で点をとれるタレントがそろっている。しかも個々の力で突破するだけでなく、コンビネーションを使ってくるのが、彼らの強み。マークのズレも許されないし、入ってくるボールに厳しくいく集中力も必要なんです」

ただ、ディフェンスのことばかり考えても、事態は好転しない。前述したように、ここ3試合の低迷の原因はチームとしての攻撃にある。闇雲にリスクを冒す必要はないが、ここぞという場面では決然たる姿勢を見せ、全員で攻める意識を持つ必要があることは言うまでもない。ここ最近の対F東京戦を考えても、相手は強固な守備ブロックをつくりつつ、鋭いカウンターを狙ってくるだろう。確かに、F東京の速攻は脅威だが、それを恐れてばかりでは、何も生まれないのである。

台風の進路はまだ、予断を許さない。たとえ広島直撃はさけられたとしても、今日から雨が振り続けば、ピッチ状態の悪化も考えられる。しかし、選手たちの頭の中には、台風や気象に対する要素はほとんどない。どういう天候になったとしても、彼らが考えるのは勝利を目指して、全力を尽くして戦うのみ。
ならば、僕たちも見届けよう。自らの尊厳をかけ、サポーターから受ける愛に応えるべく走る、両チームの勇士たちの熱闘を。

以上

2013.08.30 Reported by 中野和也
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