J2第32節、京都は西京極に熊本を迎え撃つ。前節までの3連戦、京都は1分2敗と悔しい結果となった。徳島戦で中盤の選手からは「上手くつなげていて、(前線への)選択肢は多かったが…」と口にし、自分たちのやっていることに手応えはあるが、結果がついてこない状況となった。
大木武監督は、結果が出ない状況に陥ることで、「(勝ちを逃す要因となった)犯人探しが始まるよね」と口にした。誰かのミスとか、誰かが決めないからとか、勝利が遠のく理由をそんなやり方で解決していこうとすることの危険性を指摘したのだ。
では、この状況を好転させるためにどう捉えるのか。大木監督は「自分たちはこういう結果が欲しい。だから、こうしていこうと、そういうポジティブに持っていくこと」とした。なるほど、と思う。「ネガティブな要素を出さない様に」ではなく、「顔を上げて、向かっていく様なポジティブな姿勢」にすること。点を取って勝利して、また一歩を踏み出していくイメージが沸き易いのではないか。
一度、守備について記しておきたい。ピッチを縦に3分割し、右と左のサイドと中央に分ける。ゴールを守る時に、一番攻め込まれたくないエリアはどこかと聞かれれば、「中央」となる。中央と言っても、京都ゴール前、京都陣内バイタルエリア、中盤、相手陣内と分けられるが、京都ゴール前が一番危険なエリアであることも言うまでもない。逆に言うと、ここで相手にボールに触らせなければ失点は減る。当然だ。京都の守備はボールを中心に行われる。ボールに行く、周りはマークを捕まえる。これが連続する。だが、どんな守備だろうと中央のエリアは危険地帯で最高度の警戒が必要だ。
例えば、京都が、サイドバックの攻め上がり後の、その裏へボールを送られたとする。そのボールにセンターバックが行く。ここで、センターバックが縦に一発で抜かれたらどうするか。もう一人のセンターバックがボールに行くのか、それとも中盤のアンカーが行くのか。
二人で囲むのも手だが、その時、危険な中央、しかも「ゴール前」は誰が守るのか。「ボールに行く」のが京都の守備でも、一番危険な中央はしっかりとマークを捕まえないといけない。要は、中央はしっかりと閉めて、そこからボールへ、となるのである。これが京都流のスライドであろうし、昔言われた「逆サイドを捨ててでも」という表現になる。先述の例なら、大事なのは、サイドで抜かれても、一人がボールへ行くと同時に、他が中央を閉める、となる。攻撃していたインサイドハーフも、遅れてもいいから中央へ戻る。自陣バイタルエリアまで戻れれば、上がってくる相手を捕まえられる、或いは味方がはじき返したボールをそこで拾える。これが基本となるだろう。
今季第5節の富山戦でソ・ヨンドクに決められたが、これもサイドを突破されて、そのボールに行くことで中央のソ・ヨンドクのマークを外した。ボールに行くことと、中央のマークの徹底を両立させないといけない(ひょっとすると中央のマークの方が重要かも知れない)。
「中央」は危険だ。中盤でも、相手陣内でも中央で持たれると、相手にやられる印象がある。だから、即、サイドへ追いやり、そして、中央から締め出す。「サイドを変えさせない」という表現に通じる考えがここにある。「ボールを取り返す」ことが京都の守備の柱だが、それが表現出来ない時もある。その時には「中央ではやらせない」と、意識を下げて、粘りのある守備を展開してもいいのではないか。
守備の理屈を並べれば、そう簡単に失点する気はしないのだが、現実はそう甘くない。だが、これらの意識が統一されて、プレーで表現できれば攻撃へも波及すると思う。要は、何らかのみんなの手応えが、サッカーを好転させる力を持っているのではないか、ということ。
さて今節の試合だ。対戦相手は熊本。前節の北九州戦は、試合途中の雷雨のために中止となった。前々節は徳島と対戦し0-1で敗れている。大木監督は、前々節の徳島戦について「(熊本が)良かった」としながらも、前節の試合中止となるまでの北九州戦について「押込まれていたね」と、試合毎に変わる内容に素直に印象を語った。「3-4-3で、藤本主税がのびのびプレーしている印象。ウーゴとかもボールタッチの質はいいね」とポイントを挙げつつ「(そこばかりでなく)本当は仲間、堀米、齊藤と能力の高い選手が揃っているんだけどね」とアタッカー陣の力の高さに警戒する。
熊本は、徳島戦、群馬戦と連敗。その前も3節続けて引分けと、ここ5試合勝ちがない。ただ、失点は全て1点だけと、悪い流れの中でも粘り強い戦いをしているとも言える。タフなゲームになりそうだ。
京都は今節、バヤリッツァに加え、安藤淳と工藤浩平が累積警告のため出場停止。ここに誰が入るのかも楽しみな点だ。久しぶりの無失点へ、流れを変えてくれる選手の登場となるか。興味深い試合となる。
以上
2013.08.31 Reported by 武田賢宗
J’s GOALニュース
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